古代人の叡智と手相学(五元素論)
Everything is balance.「すべてはバランス」
手相学の書物を読むとよく出てくる言葉です。何度も出てくるということは、手を読むために心得なければならないことなのでしょう。
最初はなんのことかよくわかりませんでした。けれど、手から得られる情報を深く知れば知るほど、バランスの大切さに気づかされます。
今日は<手から知るバランス>を五元素論の視点でお話ししましょう。
五元素論とは
東洋・西洋を問わず、占術の歴史や読解方法を深めていくと、必ず五元素という理念に行き着きます。
インドのアーユルヴェーダでは、土・水・火・風・空という五元素を組み合わせて三つのタイプ(ヴァータ、ピッタ、カッパ)を形成しています。
西洋では、古代ギリシャのアリストテレスが確立したとされる、土・水・火・空気・エーテル体という理念がベースになっています。占星術で、火の星座、水の星座・・・などと表現していますね。
西洋における五元素論の起源
古代ギリシャの哲学者エンペドクレス(前493-433年頃)は「土、水、空気(風)、火」の四つを始源物質であると論じました。万物はこの四つの物質がさまざまな割合いで混合されて成っているという概念です。
のちに、アリストテレスは、Hot - Cold, Dry - Moist という相対立する四つの性質を付与し、四つの元素となり、さらに5つ目の元素の存在を提唱しました。
4つの元素は自然界に存在するものであり、宇宙に存在する物質的力の象徴です。
4元素はそれぞれ以下のような性質をもっているとされます。
土は「Cold & Dry (冷-乾)」
水は「Cold & Moist(冷-湿)」
空気(風)は「Hot & Moist(温ー湿)」
火は「Hot & Dry(温-乾)」
土と水は「重さ」の性質をもち、空気と火は「軽さ」の性質を持っています。
土と水は自らの性質に応じて下降運動し、空気と火は上昇運動します。
五つ目の元素はそれら4つの元素を上手にバランスする役割を担う「エーテル体・気」、インドのアーユルヴェーダでは「空」で表現されています。
手の形を4元素で分類する
1900年代、二人の手相家が手相学を2つに分類しました。
Chiromancy <掌線学> 主に掌のシワをリーディングする分野
Chirognomy<手型学> 主に手の形や指の様相などをリーディングする分野
みなさんがご存知の手相占いは【掌線学】という分野です。
手型学の分野には、手の形の特徴から人の気質を4つのタイプに分類します。
長い指か短い指か、掌が長方形か正方形か・・・これらの特徴の組み合わせで手の形を観察する方法です。
左から順に・・・
地のタイプ: 短い指 + 四角い手のひら
火のタイプ: 短い指 + 長方形の手のひら
風のタイプ: 長い指 + 四角い手のひら
水のタイプ: 長い指 + 長方形の手のひら
19世紀の有名な手相家キロは、手全体の特徴から人の傾向を8つに分類していますが、上述の4元素の分類の方がシンプルかなと思います。
4つのタイプ(地・水・火・風)の気質
あなたはどのタイプでしょう?では、それぞれのタイプの気質をご紹介しますね。
4元素は自然界に存在するものなので、その特徴をイメージするとわかりやすいでしょう。
● 地のタイプは地面や大地のイメージ ●
現実行動タイプ。しっかりと地に足をつけて物事に取り組める人です。ただ、同じ場所で足踏みしていると硬くなって岩になってしまうごとく、頑固になってしまう傾向がありますので、ご注意を。とにかく行動すると良さが発揮されます。
● 火のタイプは燃え上がる炎のイメージ ●
情熱行動タイプ。火は上へ上への燃えていきますね。情熱的で向上心が強い人。目的に向かって行動すると良さが発揮できます。ただ一度火がつくとなかなか消えず、どんどん燃え盛るがごとく猪突猛進になりやすいのでご注意ください。
● 風のタイプは頭をくるくる動かすイメージ ●
現実思考タイプ。風は動いていないと風とは言いません。常に情報収集をしながらくるくる頭を動かしているイメージ。現実対応に優れ頭の回転が早いのが特徴です。けれど、あまりにも強く吹きすぎると竜巻や突風になり、周りを巻き込み破壊してしまうかもしれませんので、頭を休めることも大切です。
● 水のタイプは流れるイメージ ●
調和と順応タイプ。透明な水は何色にも染めることがで、どんな器にも入れることができます。穏やかな水の流れは”しなやかさ”の象徴です。協調性がありどんな状況やどんな人とでも合わせることができるのがこのタイプ。透明な水に赤い絵の具を入れると赤くなり、白を入れるとピンクに・・・という風に、自分を何色にも染められる柔軟性を持っていますが、青や黄色、黒などどんどん絵の具を足していくと真っ黒になり自分を見失ってしまいますので気をつけましょう。
4つのタイプで性格分析
人の性格は以下の4つの層で構成されると言われています。
気質と気性は、その人の土台となるもの、習慣的性格と役割性格は後天的に培われた特徴であり、コントロールして変えることができます。人はそれぞれ個性があり、二人として全く同じ性格の人はいません。
前項で紹介した4つのタイプによる分類方法は<気質>にあたり、ベースとなる性格。そこに様々な特徴が加わり、一人の<人>と作っています。
そこで、手の硬さや暖かさ、血色、4本の指の様相、手のひらのシワ(手相)・・・と掘り下げて分析する必要があるのです。これらのチェックポイント全ては4元素の視点で分析することができます。
例えば、手が暖かいと「火」、冷たいと「水」、手が硬いと「地」、カサカサしていると「風」・・・
指の4本は、習慣的性格をチェックするポイント。それぞれ4つの元素の特徴を表しています。
終わりに〜すべてはバランス〜
人は皆、地・水・火・風の要素を持っています。各元素の保有しているパーセンテージの違いが、一人一人の気質や性格を形成しています。それに加え、現状分析をしていくと4つの元素のバランスを知ることができます。
手の形、指、手のひら、温かさなど、全部「火」だから、私は火のタイプ!と喜んでいる場合じゃありませんよ。特定の元素が過剰になると、悪さをすることがあります(笑)
東洋でいう陰陽の概念には、こんな法則があります。
〜陽が強ずれば陰となり、陰が強ずれば陽となる〜
すべてはバランスです。
4つの元素を上手にバランスするためにどうしたら良いか・・・調整する役割が5つ目の元素。それは、人が持っている<生きる智慧>ではないでしょうか。
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