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だるまちゃんが好きです。だるまどんも好きです。てんぐちゃんはもっともっと好きです。

かこさとしさんを知っている人はどれくらいいるだろう。

からすのパン屋さんという絵本の作者と言うと、ああそれなら見たことあると言われるかしら。

だるまちゃんとてんぐちゃんという絵本もご存知かしら。

絵本なんて子どもの物だなんて思わず、誰にでも見てほしいのが、かこさとしさんの絵本。中でも、だるまちゃんとてんぐちゃんという絵本はぜひともに。

だるまちゃんがお友だちのてんぐちゃんの持ち物や身につけているものを見ては、家に帰って、てんぐちゃんと同じものを探すの。そして、お父さんのだるまどんがこれでもかってくらいまじめに一生懸命にだるまちゃんの探し物のお手伝いをするの。でも、見当違いで、結局だるまちゃんが思い通りのものは見つからず、だるまちゃんが工夫しててんぐちゃんのとよく似たものを用意していく。それが繰り返されるだけの絵本。あら、私の説明では下手すぎて、ちっともおもしろそうじゃありませんね。

手にとっていただかないと伝わらないだろうなあ。ページをめくる度にワクワクするの。小さな子は素直にわーって声に出して目を輝かせる。私も小さな頃があって大好きで何度も何度もだるまちゃんとてんぐちゃんの本の世界にどっぷりつかった。今でもだるまどんが探しだして並べたものが広がっているページを開く瞬間はワクワクするし、開いた時はわーって目が輝く。いつでも新しい発見があって新しい世界が見える。

甥や姪もみんなだるまちゃんとてんぐちゃんと仲良くなった。そして息子の月もだるまちゃんとてんぐちゃんが大好きで仲良くなった。寝る前にだるまちゃんとてんぐちゃんを持ってきては、自分だったらこれにするとか、これにしたらこんな話になるとか、いろいろ想像して世界を広げていった。私も一緒に想像しては一緒にだるまちゃんとてんぐちゃんになりきって楽しい夜を過ごした。

中学生になった月はだるまちゃんとてんぐちゃんと遊ばなくなったけど、私は時々会いにいく。

だるまちゃんは好奇心旺盛で素直な心の持ち主で、自分の好奇心に従って動く。そしてちゃんと自分の求めるものを自分で手に入れる。

だるまどんはこれまた素直な心の持ち主で大事な息子のだるまちゃんの求めに応じて、自分にできる精一杯のことをする。あまりに見当違いで、最後にだるまちゃんに、とうとう怒られるけど、いかつい顔のだるまどんが困ったように頭をかくのがたまらない。ええお父ちゃんや。

ようようだるまちゃんが何をしたかったかがわかって、家族みんなでお餅つきするのは、うふふのうわわのホカホカである。

そんなだるまちゃんとだるまどんのやりとりがとっても笑えて、キュンと胸が痛くなって、ふわーっとポカポカお花畑にいるような気分になる。

そこにてんぐちゃんですよ、てんぐちゃん。

いいものみつけたね

ってニコニコと言ってくれるてんぐちゃん。

自分の真似をされるのも嫌がらず、だるまちゃんが真似したものはいつもちょっとてんぐちゃんのものとはズレているけど、それ違うよとケチをつけるでもない。

いいものみつけたね

って笑顔でうけいれる。

最後は自分が捕まえたものより、だるまちゃんが捕まえたものの方が大物のような感じだけど、嬉しそうなだるまちゃんと一緒に喜んで仲良く楽しそうに笑って遊んでいるてんぐちゃん。このおおらかな懐のひろさはさすがてんぐちゃん。心が満たされている余裕を感じるよ。

だるまちゃんとてんぐちゃんの仲良く手をつないで笑っている最後の場面だけで幸せになる。

だるまちゃんもだるまどんもてんぐちゃんも、みんな愛おしい。こんな人になりたい。こんな友だちでいたい。こんな気持ちを大事にしたいと思わせてくれる。

せっかくの名作をこんな理屈で台無しにしてしまうだろうか。でも、あふれでてくる大好きな気持ち。まだまだたりない。でも、ここまでにしとこ。

見るのも楽しいけど、描いているかこさとしさんも楽しかっただろうなと思うだるまちゃんとてんぐちゃん。

ぜひともページを開いてみてほしい。仲良くなれると思うんだ。

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