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変わるひと、変わらないこと、変わること

2023年2月14日の夜、私はラーメン屋にいた。近隣で人気の味噌ラーメン専門店は、閉店時間が近かったため私以外にはお客がおらず、私に提供するラーメンを作り終えた店員さんたちは、洗い物などお片付けを始めていた。

その味噌ラーメン専門店は、やはり近所にあるラーメン屋の2号店だ。本店の方では醤油と塩(と、時々カレー)のラーメンを提供していて、UberEatsやテイクアウトも出来る油そばなど、地元民の評価は高い。

味噌専門の2号店は、元々本店で毎週(火)に提供されていた味で、切り盛りしている店員さんは、2号店が出来るまで本店にお勤めだった。
そして私は、そんな彼の前職のお客の1人だ。

「サッカー仲間がラーメン屋での修行を終えて、自分のお店を開くことになったので」
と、本店の名前や地図が描かれた名刺サイズのカードを、夜勤で働く彼が熱心に我々お客に配っていたのは何年前だったか。
「最近仕事が終わった後に、仕込みを手伝っているんです」
と、Wワークを始めた頃。
「今の仕事を辞めて、ラーメン屋で働くことになりました」
と聞いて、寂しくも門出をお祝いした頃。
「今度新しく出来る、2号店の方で働くことになりました」
と聞いたものの、コロナ禍からか開店準備が遅れていた2年前。

母が亡くなって以降、すっかり疎遠になってしまっていたが、
「随分お久しぶりですね」
と、入店したらすぐ声を掛けてもらえた去年。
彼は着々と前進し続け、そして今度は、
『4月から独立し、自分の味で勝負致します』
とうとう自分のお店を持つそうだ。

ラーメンを食べながら、店員さんたちが がしがしと厨房を洗っている姿を見ていたら、なんだかいつも同じ景色を見ている気がする。と、感慨深くなった。
前職の彼も夜、奥で調理器具などを洗っていることがよくあった。中断して手を拭いたりするのは面倒だろうと忍びなく、水の音が止むのを、店内をうろうろしながらなんとなく待ったりした。
どんどん成長して変わっていく彼と比べ、自分は正社員になった会社を退職し、また派遣に逆戻り。相変わらずふらふらしていて、情けなくもあるけれど。
この眺めは変わらないなぁ。と、心のなかでフフッと笑った。

私は相変わらずだけれど、そういえば今年はちょっとした抱負がある。意味も意義もないかもしれないが、文章を書きたい。
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お店は味噌ラーメン専門店を改装し、4月にオープン予定だそうだ。
煮干しらぁめん、楽しみにしてますね。


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