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外国人が日本のジェンダーギャップを批判するほど日本の女性労働力にバックファイアする

Quora上での日本のジェンダーギャップに関する議論を見ていてもやっとするところがあったので、言語化しておくことにする。

日本のジェンダーギャップは先進国で125位

2023年版の世界経済フォーラム(WEF)による「ジェンダー・ギャップ指数(Global Gender Gap Index)」で、日本は146カ国中125位だった。とくに経済(123位)、 政治(138位)での順位が顕著に低く、女性の政治参画や管理職への進出が大きく遅れていることが影響している。

男性優位→きつくても権力がある仕事をするのが男性

では、何事においても男性優位なのかというと、物事はそう単純でもなく、家庭内では女性優位・職場では男性優位というすみ分けがある。

家庭内では女性が財布の紐も、教育の裁量権も握っている。2021年の日本政策金融公庫の調査によると、家計の管理を担うのは「妻のみ」が46.4%、「夫婦で」が35.9%、「夫のみ」が15.9%と、妻が家計を管理している家庭が多い。また、内閣府の「男女共同参画白書(2022年)」によると、子どもの世話をするのは「妻がほとんど」または「妻が多い」が70.6%である一方、「夫がほとんど」または「夫が多い」は3.1%にとどまっている。

その一方で、職場での管理職や決定権のある地位は男性のものだ。総務省の労働力調査(2022年)によると、管理的職業従事者のうち女性の割合は15.1%にとどまっている。議員や大学教授のような発言力が強い地位も男性が多く占めている。

権力のある仕事をするのが男性だから、結果として物事が男性の都合をより考慮したほうに動いていくという実態はある。

女性職員の増加は職場における移民問題

女性は職場においては郷に入って郷の掟を書き換える侵略者だ。従前までは性分業のすみわけで家庭にとどまっていたが、最近になって職場に入って来ては文句を言ってやり方を変える移民なのだ。女性が働き始めた当初は、男性(原住民)がやりたくない、人が足りてない、給料が少ない仕事を女性(移民)に割り当てていたが、不平等であるという批判からそれが陽にはできなくなった。いくらお茶くみを廃止し、給料水準を同じにして、育休を伸ばして女性に配慮をしても、まだまだ配慮が足りないという批判ばかり。
人間は直截的に自分の利益にならない急な変化は好まない。特に女性(移民)の職場での権利の拡大は、男性(原住民)が独占していたパイを奪うことになるため、男性からは歓迎されない。女性が増えるほど変化が速くなるので、男性はルール違反にならない形で可能な限り女性を追い出す選択肢を取る。女性のなかでも、特に旧来の体制やありかたを支持する人を評価し、女性の権利拡大を訴える者の評価を下げるのも男性の自己保存的には合理的な選択肢だ。男性の心の根っこに「女性(移民)は要らない」という本音が残っている限りは、いくら不平等な扱いを取りやめるようなルールを作っても抜け道ばかりが増えていくだけだろう。

男性が女性の支援のもとで限界まで働くことを前提にした勤務体系が宿痾

外様がいくら日本は女性差別がひどい、遅れていると批判しても、日本人男性の被害者意識が強まって、結果として弱い立場にいる女性職員への風当たりが強まるだけだ。なぜなら、日本の男性は自分が優遇されていると思っていない。自分の役割である仕事がめちゃくちゃきついから。それに最近は女性が職場に増えて、配慮してもまだ無意識のバイアスがあると指摘されて疲労しているから。

OECDのデータ(2022年)によると、1週間に49時間以上働く労働者の割合は、日本では22.9%で、OECD平均の10.7%を大きく上回っている。過労死も大きな社会問題となっている。

長時間労働は男性にとって以上に、働く女性にとって重たい十字架だ。長時間労働で体力勝負をするときに最初にダウンするのは、典型的に体力ゲージが短く、家庭での役割も兼ねていることが多い女性だ。結果として、家庭と仕事を両立できずに、出産を機に退職・非正規雇用になる女性も多い。

このような劣悪な労働環境と家庭内での役割分担の現状から、「女性は従来の性分業に従って主婦や男性をサポートする役割を行う方が幸せ」という認識が広まり、結果としてジェンダーローリングに基づく分業が固定化されている。

重要なのは、馬車馬のように働けないと使えないやつになるルールでは、男性は不幸だし、女性も不利であるという事実だ。共通の敵は従来の労働環境なのだと認識できれば、それがゲームチェンジャーになりうる。性分業が社会システム上固定化されていたころにできた労働慣習が薄れさえすれば、それに伴って管理職を志望する女性も増えようし、家事・育児を楽しむ男性も増えるだろう。

だから外国人から見えるポストに女性を無理やり転属させるのやめて

なるべく一般化して書いたけど、ここは完全に個人的な恨みである。引きこもり体質の研究開発者は、英語で論文がかけるからと言って国際関係に携わるのが好きってわけじゃないのである。もともとの、より適性が高い業務から無理やり引っこ抜かれて、外国人に向かって微笑んだり、茶菓を用意し、文書を整理して、秘書のようにふるまう仕事をさせられて休職中の先達はすでに2人いる。3人目はもはや日本には帰ってこなさそうだ。いい加減やめてくれー!!

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