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湯河原ツムツム日記

世の中はゴールデンウィークに浮き足立っている。そのムードに僕も感化されて、真上にある太陽が燦々と降り注ぐ三連休日曜日に小田急線藤沢行きの電車に飛び乗った。向かう先は、湯河原。1日かけてじっくりと温泉に浸かり、今日だけは世忘れ人になる予定だ。


片道1時間半のショートトリップ。電車にはそれなりに人が乗っている。平日の朝にはない賑やかな雰囲気がある。みんな僕と同じGWトリッパーなのだろうか。


僕は座席に座りながら本を読んでいたのだけど、ふと外の景色をぼうっと眺めたくなって席を立った。すると僕の前に立っていた若い女性が僕の座っていた席に座った。その人が座った瞬間に彼女の携帯画面がちらりと見えた。ツムツムだ。僕は景色が見たくて席を立ったわけで、決してツムツムを座りながら集中してやって欲しいために立ったのではない。ただ景色が見たいから立ったのだ。


座席は座る人・立つ人が入れ替わり立ち替わる。好きなタイミングで立つ人もいれば、空いた席にスッと座る人もいる。端の席が空けばそこに移動する人もいる。ただそれが座席一つひとつで行われているというだけのこと。


そんな何の役にも立たないことを湯河原へ向かう電車の車窓からの景色を見ながら思った。ツムツムの彼女には、ぜひこれまでにない高得点を狙ってもらいたい。

社会学や文化人類学の力を借りて、世の中に生きづらさを感じている人・自殺したい人を救いたいと考えています。サポートしてくださったお金は、その目標を成し遂げるための勉強の資金にさせていただきます。