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複合型ライフスタイル・センター

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
久しぶりの投稿となります。
 今回は、アメリカ、ボストンのシーポート地区にオープンした現代人のライフスタイルを反映し、建築的にも特徴的なライフスタイル・センター「The Superette(ザ・スーペレット)」を見ていき、このような本格的な商業施設の形態が日本でも今後増加していくのか考えたいと思います。

1. The Superette

(出典:Dirty Water Media youtubeより)

  ボストンを拠点とするWS Development社は、現在33エーカーの巨大な「Seaport Squareプロジェクト」を進行しており、その内の一つとして、今年の夏に「The Superette」をオープンしました。
 ヨーロッパの歴史的な広場と、ボストンで最も急成長している地域を地図に載せたイノベーションを組み合わせたものとして構想されたこの小売スペースは、2020年初頭にオープンした高級マンション・アパート開発、「Echelon Seaport(エシュロンシーポート)」の1~2階を占めます。

 「The Superette」のデザインは、ヨーロッパの都市によく見られる「親密な」公共広場をイメージしており、約125,000平方フィートに及ぶ約40のショップ、レストラン、エンターテイメント施設が中央の中庭を囲むように配置され、年間を通じて特別なプログラムや様々なアクティビティが開催される予定となっています。
 また、広場の周囲には、傘で覆われたビストロテーブルやパブリックシートが配置され、人々がリラックスしてしばらく滞在できるような工夫がされていたり、街区全体に広がる屋外ショッピングスペースには、テントで覆われたブースが並ぶレーンも設置されます。

 この「Echelon Seaport」の設計を担当した設計事務所、コーン・ペダーソン・フォックスは、「エクスペリエンス・ファースト(体験を最優先)」アプローチで計画を進めたと言います。

2.施設の特徴

 「The Superette」には、「Le Labo」、「Rag & Bone」、「Scotch & Soda」、「Todd Snyder」、「Vince」などの小売業者が出店している他、「Mack Wheldon」と「Daniel Cremieux」もボストン初の店舗を構える予定で、高級電気自動車メーカー「Lucid」のニューイングランド初の店舗もこの場所にできる予定となっています。

 中でも「The Superette」を盛り上げる中心的な役割を果たす「Puttshack」は、このリテールプラザにニューイングランド初の店舗をオープンしました。

(出典:Dining Playbook: Puttshack youtubeより)

 この「Puttshack」はハイテク・ミニゴルフ&ファインダイニングの店舗で、床から天井までの窓、ネオン照明、26,000平方フィート以上の広さを持つ高級感あふれるデザインで、ミニゴルフを未来に導くものと言われています。
 各ボールはTrackaballテクノロジーを搭載しており、ミニコンピュータに変身します。この技術により、各ボールはプレーヤー個人のプロファイルにリンクされ、スコアや動きを自動的に追跡することができます。
 4つのコースにあるカスタムテーマのホールでは、次の順番を待つ間、トリビアなどのミニゲームで遊ぶことができ、プレイヤーの名前とスコアはインタラクティブなリーダーボードに表示され、参加者はゲームプレイの記録を気にすることなく、交流や食事、飲酒を楽しむことができます。

 また、「Puttshack」に加え、この複合施設には数多くの飲食店があります。
 スピークイージー形式のカクテルバーを専門とする「The Garret Bars」は、ニューヨーク市以外では初の店舗となり、「Seaport Barbers」は、同エリアで2店舗目となるフルサービスのサロンをこの場所にオープンする予定となっています。

 「The Superette」は、市内、国内、世界各地から観光客を呼び込むだけでなく、「Echelon Seaport」の一部としても 顧客基盤を持つことになります。

3. Echelon Seaport

(出典:A Boston Seaport Guide by EchelonSeaportより)

 「Seaport Square」の「ブロック M」開発エリアに位置する、アーバンリゾートリビングに特化した高級レジデンス「Echelon Seaport」は、2020年初頭にオープンしました。
 733 の豪華な所有権と賃貸ユニットで構成されており、シーポート ブルバード 133 番地と 135 番地にある 2 つのタワーの間に 447 棟の高級コンドミニアムが配置されています。
 また、「The Alyx」 という3 番目のタワーは、285 のアパートメントで構成されており、建物の高さは21階建てとなっています。

 「Echelon Seaport」には、19,000 平方フィートの造園された広場もあり、そこは一般に公開され、屋内と屋外のプール、フルサービスのフィットネスセンター、24 時間年中無休のドアマン、バレット、複数の共用屋外スペース、地上階の「The Superette」など、豪華なアメニティが揃っています。

 「Echelon Seaport」と「The Superette」は大規模な開発となりますが、「Seaport Square」という複合施設を構成する小さな要素に過ぎず、この開発によって、急成長中の地域の33エーカーのウォーターフロントの土地は完全に生まれ変わることになります。
 開発業者のウェブサイトによると、最終的には100万平方フィート(約9,000坪)以上の店舗がこの開発区域内に建設される予定で、完成後の「Seaport Square」は、20市区をまたいで、760万平方フィート以上の広さになり、320万平方フィートの住居、110万平方フィートの小売店、280万平方フィートのオフィスおよびライフサイエンス施設、800室の客室を持つホテル4軒、約8.8エーカーの公共オープンスペースが建設される予定となっています。

 歴史ある街の中心にあるシーポートは、新しいもの、予想外のものなどのすべての道標となり、ここは、テクノロジー、イノベーション、アート、ちょっと変わったことをするための拠点で、新しいもの、次のものが生まれる地域になりそうです。

4.最後に

(出典:EchelonSeaport Commercialより)

 近年、アメリカでは、いわゆるライフスタイル・センターと呼ばれる、屋外に設置され、レストランやカフェなどのテナントを中心とした複合施設が多く出現しています。
 また、これらのセンターは住宅地に併設されていたり、住宅地から徒歩圏内に位置していることが多く、ダウンタウンのようなライフスタイルを送るには理想的な場所となります。
 ライフスタイル・センターは、デベロッパーと小売テナントが、仕事と遊びの両方、1日中、1週間のあらゆる時間に対応できるような施設を構築しています。
 また、ライフスタイル・センターは、郊外のストリップモールや屋内型ショッピングセンターよりも、都会のプロムナードに似ているのが一般的で、従来のショッピングセンターとは異なり、これらの施設のテナントは、ショッピングだけでなく、ダイニング・シアター、スパ、さらにはコワーキングスペースなどの日常的なレジャー活動も提供しています。

 このようなセンターの最も新しい例としては、本編の「The Superette」が挙げられます。
 「The Superette」のコンセプトは、ヨーロッパ風の並木道のような中庭に、「Lunya」や「Framebridge」などのデジタルネイティブなブランドと、地元のカフェやバー、レストランを点在させるというものです。
 このデザインは、日常生活の中で人々がブティックや小売店の前を通り過ぎることを意図して作られており、小売業に参入する若いブランドにとっては、こうした人通りの多いエリアは、一般的なショッピングモールよりも魅力的だといいます。

 日本でも、10数年ほど前より、アメリカのライフスタイル・センターを真似たような日本型ライフスタイル・センターと呼ばれるショッピングセンターが出現しましたが、単なる屋外型モールであることが大半で、住居、文化、娯楽、ショッピング、レストラン、公園などが複合されている本来のライフスタイル・センターにあたる施設はほとんどありません。
 日本でも自分なりのライフスタイルを確立し、それを大切にする人々が少なくないと思います。
 生活エリア内で、明るい太陽の下で開放感あふれる街路風景を楽しみながら、充実したゆとりのある時を過ごせる、単なるタウンセンターではなく、大規模な商業施設でもない、魅力的な街路のような施設が出てくることを楽しみにしています。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
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