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『バブリンカ』はさすがにやめてほしいなあ…

外国のスポーツ選手(の名前)をどのように読んで(呼んで)どう表記するか、とても難しい問題です。
以前も日本のプロ野球で活躍した陽岱鋼選手の名前について考えました。

で、今回はテニス選手のお話です。
スイス出身の男子有力選手にStan Wawrinkaがいます。

出身地のローザンヌはスイス西部のフランス語圏。
父親はドイツ系チェコ人で母親はフランス系スイス人だそうです。
名前の"Stan"は"Stanislas"を縮めたものだそうですが、"Stanislas"はスラブ系によくある名前ですね。
そして、"Wawrinka"はドイツ系の名前ということのようです。
ドイツ語で"w"は英語の"v"のように発音するので、日本語で原音に近く表記するとすれば「ヴァ」「ヴィ」「ヴ」「ヴェ」「ヴォ」のようになります。

いわゆる「ウ点」(「ヴァヴィヴヴェヴォ」)の話は、以前投稿しました。

「ヴァ」「ヴィ」「ヴ」「ヴェ」「ヴォ」は日本語本来の音にはないので、「ワ」「ウィ」「ウ」「ウェ」「ウォ」とするのが通例です。

こちらは日本新聞協会「新聞用語集」の外来語に関する「表記の基準」ですが、「『ヴァ、ヴィ、ヴ、ヴェ、ヴォ、ヴュ』は使わず、『バ、ビ、ブ、ベ、ボ、ビュ』で表す」とはっきり書かれています。
これは特定の言語についての基準ではないので、すべての外国語に当てはまる原則です。

Wawrinkaについてこれを当てはめると「原音に近いのは『ヴァヴリンカ』だが『バブリンカ』と書こう」ということになりそうです。

一方こちらは、「外国地名の書き方」の中のドイツ語に関する部分。
(「地名」に関する基準ではありますが、人名にも援用されると考えていいと思います。)

「語頭の"W"は『ワ』『ウィ』『ウ』『ウェ』『ウォ』と書く」となっています。
これは上記の「『ヴァ、ヴィ、ヴ、ヴェ、ヴォ、ヴュ』は使わず、『バ、ビ、ブ、ベ、ボ、ビュ』で表す」があったうえでの、ドイツ語についての基準と考えられるので、ドイツ語ではこちらが優先されると判断されます。

つまり、「英語だったら"Va"は『ヴァ』ではなく『バ』とする」「ドイツ語だったら"Wa"は『ヴァ』ではなく『ワ』と書きます」ということですね。

したがって、「バブリンカ」という表記は、表記の基準を中途半端に適用した形と考えられます。
これがOKであれば、「ウィーン」(Wien)は「ビーン」になってしまいます

ちなみに、Wikipedia情報ですが、Wowrinkaについては、マネージメントを担っている日本企業がメディアに対して「『英語で探しやすいように“ワウリンカ”で統一してほしい』との要望を出した」ということです。

ということで、「バブリンカ」の表記はやめてほしいなあ、と思っています。


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