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その立場にならないと人は理解ができない。

毎日多くの人からメッセージを頂戴する。
すべてに目を通しているけど、すべてに返信できるわけではないので、返信がないからといって怒らないで欲しい。

宗教や健康食品の勧誘メッセージを読むたび、あなたがガンになったらやりなさいよとうんざりしながらも、こういう人と結婚しなくて本当によかったと幸せを噛み締めながら次のメッセージに進む。

健康食品や特定の治療法を勧める人はこれを読んでから勧めてくれ。

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毎日だいたい平均して40通、多いときは100通を超えるメッセージで一番多いのが悩み相談だ。

進路や就職、家族や友人など対人関係に悩んだり、心の不安や生き方から恋愛相談までくる。「死にたい。」というメッセージが暖かくなるにつれて増えてきた。

頑張って考えて答えているけど、幼稚園児に世界情勢を聞くようなものだと期待しないでほしい。

twitterを利用した質問箱で受け付けている。
質問者は匿名で質問できて文字数制限は無いようだ、僕のタイムラインで公開することが答えになる。

twitterの制限上100文字以内で質問に答えなければならない。
短文で返信することで、言葉の難しさを痛感しつつも勉強になり、長々と一通のメッセージに時間を割くことができなくなったのでメリットが多い。
質問を公開出来るので重複する質問も減ったので楽になった、企業のウェブサイトにある「よくある質問」という感じだ。

今回Facebookのメッセンジャー経由できた相談を紹介したい。
相談者には了承を得ている。

相談者は50歳男性 無職。
彼は15年前、振込詐欺や架空請求詐欺に手を染めていた。
金の無い大学生に2万円で開設させて購入した口座にどんどんお金が入金される。
たったの一ヶ月で一億円が手に入った。

35歳で一億円しかも一ヶ月、退職の手続きもせずに仕事をやめて豪遊した。
欲しいものはなんでも買えた、車も時計も服も女もなんでも手に入り罪悪感は微塵も感じなかったそうだ。

取り締まりが厳しくなり、捜査員と思われる男性が彼の自宅マンションの撮影をしていたことに気づき怖くなり一切止めた。すでにお金は使い果たしている。

去年、年金生活をする80歳の彼の母親がオレオレ詐欺に引っかかってしまった。
詳細な手口は伏せるけど、息子が心配で息子を助けたい一心でお金を払ってしまった。自分は騙されないと信じていた母親はショックからひどく落ち込み、死にたいという言葉を漏らすようになった。

彼はそこで初めて自分が過去にとんでもない犯罪を犯していたことを自覚し、死にたいという母親を目の当たりにして後悔に苛まれ、いまになり罪悪感に襲われているが、どうすることもできない。

そこで僕にどうすればいいのか相談をしてきた。
面識のないガン患者になぜ犯罪の告白のような相談をするのかは僕には分からなかったけど、文字通り秘密を墓場まで持って行ってくれるからだと思う。
僕は彼を告発する気も、晒しあげる気もない。

僕が何を言いたいかというと“人は相手の立場に立たなければ理解ができない。”ということだ。

自業自得という言葉が僕は嫌いだ。

その言葉は彼に騙された被害者、罪のない彼の母にもぶつけられる。
後悔している彼自身も救う言葉にならない。
自業自得という言葉で誰がスッキリするかというと、言った本人だけだ。
目の前で悩み苦しんでいる人に対して「自業自得」なんて言葉はありえない。

「自業自得ざまぁw」とそれでも思う人は安心してくれ、絶対に君に人生相談はこない。ただ、君の友人や大切な人や子どもは滲み出る君の言動を見ているから相談ができないんだ。

そして僕のような幼稚園児レベルの人間に相談がきたり、メンタルクリニックに行列ができる。本来ならば親や家族、友人に悩み相談ができれば一番良いと思う。

「過去には戻れないので、今日から気をつけましょう。今日から良いことをしましょう。」と僕は彼に幼稚園児並みの回答をしてしまった。これが正解なのか不正解なのか分からないけど、彼は心が楽になったと言ってくれた。

本心は分からない、これも彼の立場にならないと理解はできない。

少しでも心が楽になって、これからの生活が良くなってくれれば良い。犯罪を犯した人を排除することが再犯を招く。

背骨のガンが神経を圧迫して下半身に麻痺が起きて車椅子を利用していた。
車椅子利用者になって初めて理解したことが多かった。

エレベーターの鏡は身だしなみチェックではなく、車椅子利用者が後方確認するためのものだ。おしゃれなタイルの歩道やちょっとした段差は車椅子利用者にとっては悪路でしかない。

もっと平坦でツルツルの歩道にすれば良いのにと思ったけど、白杖を利用する目の見えない人にとっては段差を杖で探り歩くため平坦でツルツルな歩道は逆に怖いそうだ。相手の立場にならないと、理解ができないことは社会的弱者も例外では無い。

様々な立場の人が考えや感情を発信して社会に認知させることで、社会は少しづつ成長していくのではないだろうか?

一番最後の写真は鈴木心さん撮影。

サポートされた資金で新しい経験をして、それをまたみなさまに共有したいと考えています。