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ドラマ『人は見た目が100パーセント』と私の人生を変えたアナウンサーの一言

大学3年生の頃、フジテレビで放送していた桐谷美玲さん主演のドラマ
「人は見た目が100パーセント」にハマっていた。
女子力を高めるために、あれやこれや努力をし、とんでもなく可愛い見た目に生まれ変わる話だったが、見ていた理由は出演者のひとり、町田啓太さんのことが好きだったからだ。
同時に将来の進路で悩んでいた時期でもあった。
就活に関しては周囲と比較してもだいぶロケットスタートだった私。
ドラマの放送時期と就活開始が重なったおかげで、人生のスタンスを変えるありがたい言葉に出会えた。

人を見た目で判断するな

「顔も大事だけど、中身はもっと大事だよね」
女子小学生の頃から知っていた事実だ。だから人付き合いは慎重だったし、実際に過去〜現在まで交際した異性や仲良しの友達は、どこに出しても恥ずかしくない、人間力の高い人たちばかりだ。(誰目線だよ偉そうにww)
人を見る目に関しては自信があったし、私自身人の見た目だけではなく、中身までしっかり見ているタイプの人間だと自負していたからこそ、テレビ局員に対していつも思っていた。
「人を見た目で判断するな」と。

私はどうしてもアナウンサーになりたかった。
当然、アナウンサーは見た目が重要視されることもわかっていた。
しかし、それと同じくらい中身も大事である。
そう、分かってくれる人もいると思っていた。

あまりにも高すぎる目標

昔から周囲の人に「可愛いね」と言われていたし、
勉強もスポーツも得意だったせいか、学生時代はモテた方だと思う。
大学に入り、「アナウンサーを目指しなよ!」なんて周囲の声を鵜呑みにして、いつの間にか強い目標に変わっていた。
人前で話すのも好きだし、頭の回転も速い方だし、見た目も特別綺麗ではないがスカウトされたことはある。いけるかもしれない!
ほんの少しだが、自信を持って飛び込んでみたアナウンススクールで、その自信は消え去った。

頑張ることを恥ずかしいと思った

某キー局のアナウンススクールには、「もうデビューしてるのではないか?」と思う程、綺麗な女性が並んでいた。
見た目だけではない、みな生い立ちも凄かった。
アナウンサーの娘、モデルの娘、地元で有名な神社の娘、有名人のイトコ…
背も高かったし、痩せていたし、幼稚園から慶應なんて子もいた。
彼女たちをみた瞬間、世間知らずな自分が恥ずかしく、
同時に諦めモードに入った。

それでも、親に高いお金を払って通わせてもらっていたこともあり、
途中で辞めるなんて親不孝はできず、最後まで通うことにした。
もちろん頭では、私はアナウンサーにはなれないと分かっていた。
課題をちゃんとやったって、発生練習をしたって、背筋を伸ばして歩いたって、
私は彼女たちには勝てない。
見た目で既に負けている。
中身なんて見てもらえないだろうと。
生まれた瞬間からレベルが違うと。

“見た目だけで生きてきた恵まれた人たち”

綺麗な顔と抜群なスタイルを持っている彼女たちのことを、
そう思うことで自分の心を守っていた。
アナウンススクールの最終日、私は女子アナからは到底かけ離れた、ダボっとしたラフな服装で講義に向かった。
女子アナっぽい服を着ることで、彼女たちと比較されることが怖かったからだ。

キー局アナウンサーからかけられた「人は見た目が100パーセント」という言葉

最終講義も終盤に差し掛かり、実際の面接を想定してか、
好きなテレビ番組についての話題になった。
受講生が順番に、好きな番組とその濃すぎる理由を発表する中、
私はテンパって「人は見た目が100パーセントです」とバカデカい声で回答した。
理由はもちろん、「今放送中のドラマで咄嗟に出てきたから!」とは言わず、
「人は中身が大事だと思うからです。」そんなことを言ったと思う。
自分でもアホだと思ったが、
周囲にいる“見た目だけ”の女性陣への負け惜しみだったのだろう。
さすがに呆れられたと思っていたが、
講師を務めていたアナウンサーはすごく真面目な顔で、
“だからそんな服装なのね”とつぶやいた後、ハッキリとこう言った。

『人は見た目が100パーセントですよ』

見た目で判断していたのは私の方っだった

さらにそのアナウンサーはこう続けた。

『外見は中身の1番外側です』

衝撃的で、今でも鮮明に覚えている。
私は自分が何故この言葉をかけられているのか、すぐに理解した。
私の腐った思考は、態度や姿勢、そして見た目に出ていたのだろう。

人を見た目で判断し、勝手にレッテルを貼っていたのは私の方で、
思い返せば周囲にいた彼女たちは、ものすごい努力をしていた。
いつも大量のメモをとり、講義の前には発生練習、休み時間には講師にエントリーシートの添削や、アナウンステクニックの質問をしていた。

私はそんな彼女たちを見て不貞腐れていた。
アナウンサー試験なんてくだらない。
どうせ私は受からない。

彼女たちとの間に線を引いているうちに、
大事にしていたはずの自分の中身が空っぽになっていた。

アナウンサーの言葉を受けて私は気付かされた。
彼女たちも努力して生きてきた人たちだと。
みんなそれぞれ目標や悩みを持って頑張ってる人たちだと。

頑張ることは恥ずかしいことではない。
そこからのアナウンサー試験は、我武者羅に頑張った。

やっぱりひとは見た目が100パーセント

結局、私はアナウンサーにはならなかった。
正確には、なるチャンスはあったが、ならない道を選んだ。
このことに関しては大声で主張させてほしい。
アナウンサーになりたかった理由もまた、
浅く表面的なものだったと気が付いたからだ。

社会に出てみて、よく分かった。
やっぱり、『外見は中身の1番外側』で人間の悪い部分はいつか絶対外側に出る。
ルックスだけではなく、態度や発言・行動など目に見える部分に出てきてしまう。
“外見に気を遣う”ことは、“自分の中身にも目を向ける”ことだと思う。

『人は見た目が100パーセント』

これは対人間だけではない。
万物共通で、“物事の本質をみる”という意味で、
私の人生の教訓となっている。

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