2014年4月

３月中に何日か打ち合わせに行った後、４月１日きっちりに私の仕事は始まった。
着慣れないスーツに身を包んだ新入社員達が乗る電車に乗り込んで、少しだけこなれた服装の私も同じように緊張していた。

仕事に合わせて、いくらか洋服を新調した。
15年前はデパートの中か紳士服専門店でも揃わなかった女性の働くための服が今は豊富に揃う。楽天でいいショップを見つけたので、出かけずに済んだ。

和也は初めて春やすみにひとりで過ごした。それも中学校に入るという期待が大きく、お昼を自分で用意して食べるくらいは苦にならなかったようだ。
丈太郎は部活で忙しい毎日だった為、ひとりで気兼ねなく家で過ごせる時間は彼の人生にとっては初めての経験だった。
元来出不精の彼は、その環境を満喫していた。
今しかできないからとyoutubeに夢中になっていた。まだ13歳、観る番組は、ゲームの攻略法や面白動画などだった。

私はいきなり忙しい朝になった。

朝ごはんとお弁当の用意に加えて自分の支度が増えたのだ。
朝の時間を短縮するために、必然的に夜の作業が増えた。
翌日のあらゆる食事の準備に時間を割いて、洗濯も夜派に切り替えた。
結果睡眠時間はかなり削られることになった。

世の中の働く母親はこんなにも大変なのか。

ブログやインスタで披露されるキラキラな生活とは裏腹に、実は髪を振り乱して必死で家庭を守っているものなのかもしれないな。
家事代行のサービスもあるけれど、日本では憚られる気がしていた。

どうして日本人はこうも裕福を嫌うのか。