あんさんぶるスターズ!エクストラ・ステージ~Memory of Marionette~ 感想メモ

2022年10月に書いた感想メモです。
舞台の話より原作のValkyrieの話の方が長い。


「ステの宗はすごい」というのを色んなところから聞いていたんだけど、確かにすごいな。所作や表情が斎宮宗だなって納得できる。みかも普段のふにゃんとした雰囲気とステージの凜々しさのギャップが出てて格好良くて可愛かった。

最初はなずなもちゃんとValkyrieが好きで、Valkyrieに所属しながらもっと自分を高めてユニットに貢献しようとしていたんだなあ。
というか原作のなずなよりステのなずなはValkyrieのことがちゃんと好きだな。

原作なずなは「自分やみかをないがしろにしてまで勝利に執着する意味はあるのか?ただ宗の自尊心を満たすためだけに自分やみかの青春は消費されるのか?それはごめんだ」って思っていたのが、ステのなずなは「宗が身を削ってまで勝利に執着していて心配だ、だが自分やみかが手を貸すこともできず、なにもできることがなくて無力だ」って宗を心配する気持ちが大きくなってる。

私は原作のすれ違ってる宗となずなが好きなのでこの改変はあんまり好きじゃなかったな。
原作マリオネットのなずなは「勝ったところでお師さんのプライドを満足させる以上の意味があるのか?(=勝つのは宗個人のため)」と思っているけど、宗は「失敗させないことが愛情だと思っていた(=勝つのはなずな・みか、Valkyrieのため)」と思っているすれ違いが好きなんだよね。

この場で純粋に宗のことを心配してるのはみかだけで良くて、だからみかはValkyrieに残ったし、なずなはValkyrieを出て行ったんじゃないの?ここ改変されるとValkyrieの根本が変わってしまうのでは?
物語としては美しくなったのかもしれないけど、みんな自分勝手で未熟でそれでも大切な青春だったなってのがマリオネットや追憶編の良いところなんじゃ……?と私は思うんですね。

中学時代の友也と創が美人さんのなずな(と渉)に見とれているという設定だけで私は興奮できてしまう。
ステの旧Valkyrieのダンス、激しくて不気味なところが好きだな。非対称的で歪で。

音響が止まった後に一番最初に歌い出すのがみか=Valkyrieを最も愛していてValkyrieに一番必要な人間はみかだった、というのが好きだし、でもなずなはみかに対して「お前も歌いたかったんだな」と自分とみかが同じ気持ち(宗に対して不信感を持っていた)と誤解しているのも好き……なんですけど舞台ではこの描写無かったね。スタフェスですれ違いの伏線回収できないからかな?二人とも純粋にValkyrieのために歌っていたように思えた。

そして自分がアニオリでこの後に入っていた部分がめっちゃ好きなのに気づいた。
この時点では「ただの事故」と思っていた宗が、この後、全部英智に仕組まれていて自分が嵌められたことに気づいて絶望して再起不能になる、というのがアニオリであって、それが本当に好きだった。英智がとどめを刺さなければ、Valkyrieはもしかしたら3人のまま復活できたのでは?と思えるから。

あとアニメではなずなが、みかからブラウスと一緒にブレスレットをもらっていて、舞台上で落としたブレスレットが旧fineの誰かに踏んづけられて壊されて、でもそれをなずなは拾って直してスタフェスで着けているところまで好きだった。アニメのマリオネットってすごく私好みの改変をもらっていたんだなあ。あんスタのアニメめっちゃいいじゃん!って思ってる理由の半分はアニメのマリオネットが好きだったからかも。もう残り半分はエレメントをやってくれたこと、あんずとつむぎが会話していたからです。

両端でぐるぐる回る舞台セットの上で友也と渉と追いかけっこしてるの好き。いいセットだ。

「お人形」はなずなにとって悪口なんだけど(たぶんほとんどの人にとっては悪口。宗とみかにとっては褒め言葉だけど)その「お人形」はなずなが選んだものなので自業自得なんだよね。それをわかっている渉はちゃんと周囲を見てるんだなとわかる。

舞台でもアニメでも削られてしまったがなずなの「いちばんじゃなくても(ドリフェスで勝たなくても)やりたいことをやって誰かを笑顔にする、俺たちはそんなささやかな報酬を受け入れるべきだったんじゃないか?」というセリフがあってこそ、ここの渉の「宗はあなたの笑顔が一番好きだと言っていましたよ」に繋がると思うんだ。宗も最初はやりたいことをやって人を笑顔にしたいと思っていたはずで、目的を見失ってしまったのが良くなかったんだよねとなる。

でも根本的に宗となずなってわかりあえない二人だと思うんだよね。
宗はもちろん自尊心を満たすために勝ちたいのもあるかもしれないけど、それ以上に高みを目指して努力するのが好きで苦にならない人で、なずなは仲間やファンが笑顔になれるなら今のままで良いと思う人。なずなにとって一番幸せだったのはValkyrieの三人が笑ってチケットをばらまいている時で、でも宗はたぶん一緒にレッスンしたり一緒に高みを目指してる時も幸せだったはず。だから二人が一緒にいると息苦しくなっちゃうんだよね。魚とチューリップは、どっちかは息が出来てない(©脳内ポイズンベリー)

例えばブレーメンの音楽隊では、捨てられた動物たちがブレーメンに行って音楽隊に入ろう!って協力するんだけど結局ブレーメンまで行けなくて、途中の森にあった家が気に入ってそこで幸せに暮らすようになる。ブレーメンに行かなければ音楽隊にも入らない。
なずなはブレーメンの音楽隊みたいに理想とは違っても幸せならそれでよかったんだ思えるけど、宗は「ブレーメンに行きたまえよ!」って思うタイプ。そういう宗となずなのわかりあえなさが好き。
そして一年後のなずなが、Ra*bitsのリーダーをやったことで宗の苦しみを理解するようになって、少し歩み寄れるようになれるところも好き。お互いのことを理解できたとしても、別々の道を行くしかない宗となずなの関係が好きだな。

Ra*bitsの子達も、少なくともValkyrieのアカペラの歌に心を打たれた友也と創は、なずなと同じで最終的に高みへ届かなくてもみんなで精一杯がんばったことを幸せだと思えるひとたち。だからなずなは彼らといるのを選んだよね。もちろんRa*bitsも向上心がないわけじゃなくて、紅月に負けて悔しくて、もっと頑張ろうと思える子ではあるんだけど。

ところで男気ジャンケン(勝った子がなずなの胸を触る)は日替わりなのかな?毎回光なんだろうか。

地下ライブハウスに乗り込んできた英智につかみかかるみか、すごく好き。
みかはなずなが裏切ったと思ってるけど、宗はなずなと自分の思想の違いとか、なずなを自分に合わせようと押さえつけてしまったことを自覚してるから理解があるし、出て行くときも「どうせ失敗して泣いて戻ってくるんだからその時は再調整してやる=泣いて戻ってくるのを許してやる」と言っているので(アプリで)情け深い男だ。

なずなといい紅郎の母親といい、宗は昔の思い出をずっと大事にしてる奴なんだよね。マドモアゼルも、宗が「あの人がもしまだ僕の側にいてくれたら、きっとこうして励ましたり叱ったりしてくれたに違いない」という支えなんだと思う。

客席と絡むみか、好き。うちわを「みして!みして!」ってしてるのが可愛い。客席=転校生と思っているので、みかは(和解した)あんずともこういうやり取りをするんだと信じている。


紅茶が凍っちゃいました~(激ウマギャグ)それはJoKに置いてきてよかったのでは?マグロはどう受け止めたら良いんですか?
宮澤さんの敬人は姿勢が美しくてやっぱり好き。

ステのみか、ふにゃんとしてるけど宗の手を引いて出てくる所とかキャキチャキした部分もあるの好きだ。

笹森さんの英智は前山さんの英智と比べて儚げで王子様だなあ。

宗は表情の付け方とか仕草がすっごい斎宮宗!ダンスも優雅なんだけど「怒り」の強さを感じる。ライブ後の英智に感情をぶつけるところ、英智が感情を堪えるように顔を引きつらせてるの、すごいな~。この時の英智の感情を今まであんまり考えたことがなかったんだけど、怒り・恐怖・憎悪・喜び……?どれか一つじゃなくて色々混じった複雑な感情の気がする。この後の「たたたんだよ、たたたん」のとこ(ステで「たたたん」はカットされてしまった……)からすると、この世に魅力的なアイドルがいることが嬉しいけど、自分がそこに至れないことを悔しく思ってはいるんだろうか。

みかのパフォーマンスをみて桃李がショックを受けるの、原作ですごく好きな部分だからもうちょい掘り下げて欲しかった。家族や弓弦に愛されてそだった桃李は自分が傷つけば周囲の人間も悲しむことを知っている、だから自分の未来をなげうってまでステージに尽くすことはできない。でも孤児だったみかには愛された記憶がない、だから自分の将来を捨ててでも、たった一度の舞台に全てを注ぐことができる。桃李が絶対に超えられないところにみかがいる。桃李の価値観ではみかの境地には至れない。生まれた環境の差のせいで届かないものがある。恵まれた家庭に生まれた桃李が恵まれないみかに叶わないものがある不公平さを知って衝撃を受ける。というのが残酷で好き。

顔を合わせたらなずなに罵詈雑言ぶつけてしまう、だからなずなには会えない。なんて健気な男だよ、斎宮宗……。
この時点でなずなとみかを和解させるために1幕の二人の思想の違いはカットされたんだな。

なずなと宗がちょっとだけ和解して、宗がみかもいつかなずなのように人間らしく自由になるべきだ。人形ではなく、人間として生きるべきだ。観客にそう思わせておいて、思って、でもみかは自分は宗の作品で宗の一部であると言う。Valkyrieの3人で一番おかしいのはみかなんだな、とゾッとするシーンだった。でも私はあんスタのこういう、人形が人間になって幸せになっても良いし、人形のまま幸せでいようとしてもいいというところが好き。

まあ最終的に宗は「みかも一人の人間として扱う、自分と対等なアーティストになってほしい」と願うようになるのですが……。自分の弱さを自覚して支えてくれる人が欲しいと思うのは少年期の終わりだったんだと思います。
魅惑劇のめちゃくちゃ格好いいパフォーマンスの後に「おおきに~」とぺこぺこしだすみか、可愛いのだがこいつに舞台上で喋らせたら世界観がメチャクチャになるという宗の判断は正解だな。タモリになるな。

Singin'☆Shine!宗がキャラ保ったまま踊ってるのすご……🙏
Singin'☆Shine!のフリがキャラごとに差があるの好きなので宗のSingin'☆Shine!めっちゃ好き。2番のサビなずなと宗が隣同士なのてぇてぇわ。


(これは賛否ありそうなひとたちの話)

弓弦、前回よりうまくなってるやん!全体と比べると上手ではないけどあんステフェスの「セリフを覚えてきました!」って雰囲気と比べるとちゃんと演技になってて多少安心して見ていられる。歌は棒読みだけど音はあってるし……歌が棒読みって何だ???
ところで今の弓弦のSingin'☆Shine!のフリが控えめなのって二代目のリスペクトなんですか?

颯馬も別に演技悪くないしちゃんとしてると思った。どっちかっていうと歌は敬人のほうが高音危うい感じしたし(これ生歌なの???)
樋口裕太さんの解釈とはまた違った颯馬だけど役者さんによって解釈が違うのは2.5次元の醍醐味なので私は演技そのものは別に気にならなかった。発言で炎上してなかったらたぶんそこまで叩かれなかったんじゃないかな。私はこの人の演技よりは弓弦の演技の方が気になったし、この人の「なめるな」より千秋役の人が千秋楽のコメントで「お前は彼女じゃ無いけどな」をネタにした方が100万倍嫌だな。炎上ごめんなさい謝罪で噂の大千秋楽の謝罪は映像だと全カットだったので「お前のせいでカーテンコールのあいさつカットじゃねえか!」でキレてるのは、わかる。
(円盤には収録されてるんですか?配信だとコメント全カットですよ??)

そういうわけでオタクはしょうもない身勝手な理由で役者にキレたり逆恨みするので発言には気をつけて欲しいというのは本当にそう。

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