11/22/63

スティーヴン・キング著「11/22/63」(上中下巻)を読走した。1963年11月22日にJFK(ジョン・F・ケネディ)はダラスでのパレード中に暗殺される。主人公はその史実をタイムリープで改変することに挑戦する。紹介文には「落涙保証の感動大作!」とあった。落涙、ねえ。スティーヴン・キングらしいもったいぶった展開で、全く先に進まない。のに間延びしない(若干、主人公とタイムリープ先での恋人・セイディーの関係に焦点が合っていたときには感じたかもしれないが、この小説の肝だということは分かっていたので辛抱できた)。著者は「ショーシャンクの空に」や「グリーンマイル」、「スタンド・バイ・ミー」など、多数の映像化作品も生み出しているアメリカにおける文壇の重鎮である。フィリップ・カーに始まり、ここのところ、ねっとりした重厚さがまとわりつくような外国小説ばかりを手にしている。次はピンチョンか?トマス・ピンチョンなのか?と思うも、翻訳小説の書籍代は馬鹿にならない。と二の足を踏む。不意にオルダス・ハクスリーの「すばらしい新世界」を読み返したい気持ちになる。レイ・ブラッドベリの「華氏451度」もいい。やっぱりディストピア小説は好きだ。昨日、熊本まで行く折があったから、長崎書店(および長崎次郎書店)へ。やっと本に出会える、やっと本を買える。と浮き足立った。駆け足ながらもケイト・ザンブレノ著「ヒロインズ」、坂口恭平著「発光」、内沼晋太郎著「本の逆襲」、ヘミングウェイ著「移動祝祭日」、それからオルダス・ハクスリー著「すばらしい新世界」、レイ・ブラッドベリ著「華氏451度」もぬかりなく計六冊を購入。割りかし日記が多い印象。誰かの日記を読みたい。誰かの日常生活に身を置きたい。という最近の猛烈な欲求が満たされた。これでしばらく次に何を読むべきか心配する必要がない。なんだかホッとする。よかった。読み差しの本が終わりに近くにつれ「次は何を読めばいいのか・・・」と思案するから、次に読まれるべき本が積まれていることは非常に心強い。わたしは並行読みをしてしまうタイプで、小説を一冊、その他文藝を一冊、たまにエッセイを一冊加えたりする。その上、積ん読もしてしまうので、もしかすると無頓着なフリースタイル読書なのかもしれない(そもそもフリースタイル読書とは如何に)。ただ、途中で挫折してしまうのは本当に稀で、百冊に一冊程度。持ち合わせているのは読み続ける根気だけ。

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