見出し画像

屋上で走れるショッピングモール

2015年4月27日、JR大阪環状線森ノ宮駅近くの日生球場跡地に開業した複合商業施設「もりのみやキューズモールBASE」。東急不動産グループが開発・運営する商業施設「キューズモール」の1店舗で、阿倍野、箕面、尼崎に続き、4番目に開業した。延べ床面積約2万4000平方メートル、地上3階建てに約50店舗が出店。商業施設としてはやや小ぶりだが、ユニークな施設が話題となり、海外からも注目を集めている。

 JR大阪環状線森ノ宮駅から中央大通り沿いに西へ徒歩3分。阪神高速をはさんで北側には大阪城公園が広がる。昭和25~平成9年まで、この地には日生球場があり、プロ野球の公式戦も行われていた。市内屈指のランニングスポットでもある立地環境を生かし、もりのみやキューズモールは「スポーツと健康づくり」をテーマに開発。球場の形をモチーフにした外観やイベント広場は、大歓声に包まれたかつての日生球場を思い起こさせる。 

施設内は開放感のあるオープンモール形式で、商業施設というより公園といった雰囲気。近隣の会社で働くビジネスマンや近所の住民、親子連れ、観光客らが訪れ、平日にもかかわらず思いのほか、にぎわっていた。東急不動産SCマネジメントの広報担当者によると「オープンして1カ月は、想定の2倍近い来場者があった」という。 

1階「ショコラトリー エクチュア」には、ベルギー産チョコレートを使ったオリジナルソフトクリームを求める行列ができていた。カカオ本来の風味が味わえる逸品とあって、この日は午後2時過ぎに完売。大型連休の時は多い日で800本売れたそう(✳︎)。「バランス食堂&カフェ アスショク」も人気。鹿屋アスリート食堂のプロデュースによる新スタイルのレストランで、スポーツ栄養学に基づいた5種類の定食が好評だ。疲れたときや、がっつりパワーを出したいときなど、体調に合わせてメニューを選べるのも楽しい。

屋上に上ると、目の前に人工芝を敷き詰めたランニング用トラックが現れた。「エアトラック」と名付けられたように、空中に浮かんでいるように見える。1周約300メートルで3レーン。本格的なトラックは商業施設としては日本初だ。大阪城を望みながらウオーキングも楽しめる。 

休憩時間に大阪城公園を走っているという自営業の男性は「平日は空いているので走りやすい。若い頃、陸上競技をしていてトラックが好きなので無料で利用できるのがいい」と話す。

3階には、東急スポーツオアシスとアディダスとのコラボによるランニングステーションを開設。「予想以上に好評で、晴れた平日は30人前後が利用している(✳︎)。大阪城公園でのランニングの前後や仕事帰りに夜、走る人も多い」と、東急スポーツオアシスのサブマネジャー・米原徳彦さん(✳︎)。週1回開催するランニングイベントも常に満員状態という。 

モール内には、ボルダリングができる施設や、本を通じて人と交流できる市民参加型の図書館「まちライブラリー」も。かつての野球の聖地は、スポーツと健康づくりとにぎわいの拠点として地元に浸透しつつある。

*2015年の取材時点の情報です

#大阪 #フリーライター  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?