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"3つの得意の掛け算"はダメ! マイナー分野こそ市場サイズで勝負せよ

「好きを仕事に!」
「やりたいことを仕事にしたい!」
「夢を追いたい!」

など願う人は多い。どうすればできるのか?とネット記事や本を探して、いきつく手法の1つが、「3つの得意orキャリアを掛け算して100万分の1の人材になる」という藤原和博氏のキャリア論だ。ホリエモン(多動力2017)、キングコング西野(魔法のコンパス2016)など著名人たちも続々賛同して広く知られるようになった。globis 2018.09掲載の講演録がよく整理されており、要点図がこちら ↓

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藤原氏の場合、東大経済学部から急成長中のリクルートに入社し、
①〜27歳:営業とプレゼンでサラリーマン100人中のNo1
②〜37歳:管理職100人中のNo1
(自由人生活を経て)
③47歳〜:学校教育でトップビジネスマン100人中のNo1
と大きく3ステップを経て、日本のトップ100級の有名人になった。

本では2013年発売、2020年に加筆文庫版、変化の激しいビジネス書での古典的存在:

明快かつユニークなのだが、大きな前提条件が2つあり、

キャリア前半での①「大成功」を「メジャー分野」でしている

これは藤原・堀江・西野氏みな共通。

まとめていえば、

市場サイズが大前提である

課題1.100人に1人になれますか? 三連続で?

1つめの課題とは「競争の激しさ」。100人に1人になるとは、たとえば高校の野球部員は1学年あたり1.6万人程度、その中で100人に1人=160人=甲子園出場者の上位2割レベル=大学推薦入学などが狙えるレベルでは。
その中でさらに100人に1人=高卒ドラフト1位レベル。
その中でさらに100人に1人=イチローダルビッシュ大谷レベル。

こう書くと真の難易度が見えてくる。にもかかわらず、かんたんに思わせるのが「ドラフト1位クラス」のセールススキル。小学生レベルのかんたんな式と図とが効いているんだと思う。

課題2.市場サイズは十分ですか?

2つめの課題とは「市場のサイズ」。当時のリクルートのような、おカネもち企業相手に(新卒採用できる会社はなにかしら余裕がある)、高収益商材を売って成長中の大企業、しかも最前線の法人営業職とは、そもそもが恵まれた市場だ。

一方で、世の普通に地味で低賃金な仕事では、100人に1人の成功ができたとしても、たいして待遇がよくわなるわけではない。1万人に1人レベルになればNHKプロフェッショナルとかに「カリスマ○○員」など紹介されることはあるかもしれないが、そのご褒美は「バイトから正社員になりました」程度だったりする(参考事例:2020年3月放映NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀 “夢の国”スペシャル 知られざる、魔法の秘密」↓ )

生涯賃金が高くなるのは、新卒入社した100人中80番目の働かない(働けない)正社員の方だったりする。

これら2つの課題を同時にクリアできるのが、キャリア前半に「メジャー分野」で大成功することだ。

藤原和博氏のキャリア事例

藤原氏の場合でみてみよう。キャリア前半=ステージ1〜2ともにメジャー分野だ。急成長企業の法人営業とは、文系で最高の花形職業といっていい。人気の総合商社・外資金融(数理IT系は除く)戦略コンサルなども、ようするに法人営業職。その超メジャー分野で100人に1人の存在となったのが、27歳までの第一ステージ。東大という有名大卒である点も20代のうちは有効な武器だ。

その先の第二ステージとは、ようするにエリートサラリーマンとしての勝者となること。リクルート社史上おそらくは(創業の江副浩正社長を除き)圧倒的な出世スピードを実現し、フェローという新ポジションを創立させ、住みたい海外の都市に住み、おカネ的にも最高年収4500万円を達成した。

この37歳までは連続的キャリアとみるべきだろう。高校野球部員が1万人に1人のドラフト1位レベルにまで出世しました、という状態。ステージは実質1つだ。

それら踏まえての第三ステージで、方向を大きく転換したことで、注目を集めた。これは有名選手が早くに引退してTVタレントに転身するようなものかもしれない(例:バレー益子直美さん、サッカー中田英寿さんも引退早すぎ)

似た例では、ROLAND氏も近いかもだ。キャリア前半で、上位層は(だけは)高収入を得られる歌舞伎町のホスト業界にいたから、そこで100人に1人になった後の転身に意味がうまれた。お笑い芸人などもざっくり1000人に1人レベルまで勝ち上がれば、その先が動きやすくなるのではないだろうか?

中間まとめ:まずメジャー分野に入り込め

マイナー分野では「掛け算」ではダメ!

ではマイナー分野では、どうすればいいのか?

重要なポイントとして、マイナー市場では、下手に掛け算して絞り込んでゆくと、貧しくなってしまう。たとえばプロスポーツ選手では、同じ行動をしていても、

・プロ野球やJリーグの有名選手: 2×2=4
・マイナー競技: 0.5×0.5=0.25

と乗の差で格差が拡がってしまう。

先日参加したClubhouseで、ちょうどそんな話が盛り上がった。元のテーマはアスリートのデュアルキャリア。スポーツイベントプロデューサーの佐藤奨さんと、プロボクサー現役時代に起業したデュアルキャリア歴8年の山川カズカゼさんが、プロ・アスリートのビジネスキャリアについて語る:

僕も途中からスピーカー参加させていただき、このテーマの理解を深めることができた。ボクシングも(競技自体は知名度が高いが)、競技者の生活面でいえばマイナー競技。日本王者くらいではなんらか副業は必須。

どうすればいいのか?

マイナー分野こそ市場サイズ勝負

本noteの結論:マイナー分野からメジャー分野へとブリッジをかけろ

太極拳だけの市場は小さいとしても、たとえば「人気アニメの必殺技×キッズ向け」という大きな市場との間で、掛け算をする。(キッズ市場=子供+親、なのでそれ自体で掛け算が発生する)

・・・

このようにマイナー分野版を考えてみたとき、藤原氏の方法論のもう1つの意味が浮かび上がるのではないかな?

・メジャー分野で成功すれば、おカネと地位と効率よく獲得できるが
・それだけで人は充たされることはなく
・希少性ある存在となることを望む

つまり、3つのキャリアの掛け合わせとは、「よくいる成功者」から「特別な成功者」へと脱皮するための、勝者限定の絞り込みのロジック。マイナー分野は絞り込んだら餓死、広いところに出るべきだ。

先の山川さんだと、ボクシング競技者という存在自体はマイナーでも、「ボクサーへの憧れ」とか「ボクサーの身体管理術から学びたい」とかの心理はメジャー、そこをビジネス化したわけだ。

もう1つTwitterフォロー先から事例を。こちら中島さんの事業は、商材自体はニッチ性あるが、自治体レベルで地域密着イベントとすることで「メジャー接続」を実現されてる感じ。

中小企業マーケティングの革新者、神田昌典氏も以前「ニッチ領域でのメジャーかメジャー領域のニッチにならないとダメ、ニッチニッチは最悪」と言ってるそうだ。ここまで3,000字ほど書いてきたことを一行で言い当てられてしまった笑

上記の中島さんは、スポーツツーリズムとしてのサイクリングのイベントを開催する事業を拡大されている。自転車というスポーツ自体は特に日本ではマイナー分野といえるが、地方自治体と一緒に参加型イベントを開催できれば、その地域の最大メジャー勢力とつながる形になるわけだ。

(2/24発表の、自転車ロードレースのプロリーグへの、不動産会社+経営コンサルティング会社の経営参加も、共通する要素があるかなと思った、この話 ↓ )

結局、市場サイズの確保は、マイナー分野であるほど、重要。

・・・

一度、広い場所に出た後は、藤原氏の方法論を辿ればいい。そこからは同じスタートライン。

だから、藤原氏の考え方を、「どうすれば自分でもできるのか?」とプラスに分析していけばいいと思う。

2/21追記:スポーツ記事まとめ掲載

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