2024年4月29日における為替介入:5兆円規模か(ラフな推定)

昨日、介入の規模について簡単にメモを記載しましたが、今日結果が発表されたので、簡単にメモをしておきます。

(2024年4月29日)為替介入規模の推定に関するメモ|服部孝洋(東京大学) (note.com)

下記の通り、昨日(4月29日)、為替が大きく円高に動き、為替介入がなされたという議論がなされていました。

まず、2024年5月1日(介入が疑われる4月29日の2営業日後)について、資金需給予測(財政等要因)に係る民間の予測はおおよそ-2.15兆円です。この値は短資会社の予測の平均値です。下記がその内訳ですが、各社の予測のブレが少ない、というのが今回の特徴であるとおもいます。この値については為替介入の影響が含まれていない点に注意してください。

上田八木:▲2.3兆円
セントラル:▲2.05兆円 
東京短資:▲2.1兆円

これまで説明してきた通り、為替介入の規模は、「短資会社による財政等要因の予測-日銀公表分の財政等要因」で計算されるので、2024年5月1日(介入が疑われる4月29日の2営業日後)の財政等要因を見る必要があります。下記がその内容ですが、5月1日分については-7.56兆円(為替介入の影響あり)であることがわかります。

したがって、「-2.15兆円-(ー7.56兆円)≒5.4兆円」程度が為替介入の規模のラフな推定ということになります。為替が大きく動きましたが、5兆円規模の介入があったということですね。

なお、下記に記載されているとおり、「10月21日の介入額は5兆6202億円で、1日あたりの規模はデータを公表している1991年4月以降の円買い介入で最大となった」であることから、今回も当時と同じ規模である可能性があります。

もっとも、この推定はラフなものであり、ノイズが大きい点にも注意が必要です。例えば、2022年9月22日についても同種の推定をしており、実際との乖離を計算しましたが、推定については8000億の乖離があるので、それなりに大きなノイズがあり得る推計結果だと理解してください。
外為特会の基礎⑤:為替介入規模の推定|服部孝洋(東京大学) (note.com)

なお、月間の結果は2024年5月31日の午後7時に判明します。実際の詳細については今年の8月に公表されるというのが今後のスケジュールです。

上記については必要に応じて加筆修正します(実際にどれくらいであったかが判明したら加筆修正します)。

<追記>
なお、5月1日の財政等要因の速報値が出て、▲7.56兆円から▲8.28兆円にマイナス幅が拡大しています。介入の規模が6兆円程度あった可能性があります(この推計はラフであり誤差があることには変わりありませんが)。

なお、下記の通り、速報と確報の乖離はありません。

https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/jd240501.htm

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