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嫌いな自分の苗字で、南アフリカではチヤホヤされるお話

日本で最も多い苗字をご存知だろうか。案外答えられない人もいるが、佐藤さんである。
約190万人が佐藤の苗字を名乗っており、67人に1人がそれにあたる。
次いで、多いのは私、鈴木である。約180万人居る。
無い物ねだりではないが、僕は32年間"鈴木"に満足したことがない。
周りにいる珍しい苗字がとても羨ましい。
叶うものなら、神宮寺や、西園寺、結城、氷室、神本などいくつもあがる。憧れ始めたらキリがない。

鈴木なんて、イチロー様がいなければフォーカスされなかったであろう苗字である。はたまた、レストランの予約の偽名として使われる便利さ以外にイイねぇ。なんて思われることはない。No.2だから。

小学生の頃から、「鈴木君」「スズキ」と呼ばれることに異常に抵抗感があり、当時からありふれた自分の姓に嫌悪感があった。

それがだ。

その32年間ともに過ごした”SUZUKI”を好きになりそう、いや、「お陰だよ、ありがとう」と感謝を伝えるようになった。
物事の意味合いは自分次第。という言葉が好きだが、今まさにその状態である。

そう、四輪車メーカー、SUZUKIだ。

はじめに、様子がおかしいと気付いたのは、Uberを手配した時だ。
車が迎えに来て、名前を告げると、
「わお!日本人か!Mr.Suzuki!Cool」と何もしていないのに褒めてくれるのだ。
渡航して間もない英語がわからなすぎる自分のリスニング能力と彼らのAfricaan Englishが相重なり、何を言っているかちんぷんかんぷんだが、なぜか悪い気はしないのは、熱烈に褒めてくれているのが表情でわかるからだ。

同じ内容を様々な人から聞くと、こちらの耳も慣れてきて、何度目かでようやく、
車のSUZUKIと君の苗字一緒だな!
SUZUKIの車は最高だよ!
君は、息子かい?
というようなことを言ってくれているのかとわかってきた。
最近になってようやく、うちの両親が社長だ。といった冗談を言えるようになったことで、ちょっぴり英語の成長を感じることができるのだ。また、SUZUKIの車が迎えにくると、これは俺のファミリーの企業だぜ。と自ら調子乗るようにもなった。

ちなみに、SUZUKIはTOYOTA、Volkswagenに次ぐ3位の出荷台数を誇っているようで、ジムニーとSwiftが人気。

Jetroより引用

少し調べると、カーオブザイヤー受賞によるブランドの認知向上や、経済的な価格帯、在庫の供給が安定的なことが売上が向上している理由のようだ。

南アフリカはクリケットやラグビー、サッカーは放映されるもののメジャーリーグは全く放映しているのを見ない。だからおそらく鈴木イチローさんを知っている人はほぼいない気がする。(実際数名に聞いたが誰も知らず)

こちらにきて、いろんな方とお会いする際、Suzukiと名乗ることで向こうが覚えやすいのと発音しやすいのもあり、楽しく名前を呼んでくれることで1st コミュニケーションが円滑になるという素晴らしい効果がある。

珍しい苗字の人が、名刺交換や自己紹介の時に、勝ちゲームをしている。
その経験を羨ましく思っていたが、まさか南アフリカでそれができるとは思わなかった。
日本人という珍しさに加えて、SUZUKIということで覚えやすく、円滑に話ができるので、今まで好きではなかったこの苗字に今はとても感謝をしている。というお話でした。

1分もしたら英語が話せなくて、会話が止まってしまうので、今はそこがとても課題ではありますが。

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