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走りながら思想しよう “列車霊と女神のエクソソーム”

困難な仕事に一区切りついて、春の嵐の先駆けが吹く日。私の中にロマンチシズムが兆し、余計なものにとらわれない、純粋な探索の一日にしようとでかけた。胸の中にもやもやと詩情が湧くと、風や雲の形、ゆき花が物を言う。
駅で3歳くらいの男の子と若い父親がおり、男の子がアナウンスに父親を急かす。「来るかもしれないよ」。次の瞬間、濃緑の気配をまとう瑞風が走り過ぎてゆく。男の子のために瑞風は気品ある出会いの記憶をプレゼントして行ったのだ。私には列車にも列車霊のような疑似人格、疑似霊格があるかもしれないと感じた。設計者、技術者、運転手、車掌そして乗車する旅人達の想い。時代の空気と山野の息づきをエネルギー化して醸造された、その列車の命。撮り鉄、乗り鉄、呑み鉄などは列車霊にかどわかされて、一生地に足がつかない気の毒な放浪者となる。永遠の若者にとっては相席のみずみずしい少女達のエクソソームが否応なく沁み込んでくる。まるで天使と格闘するようだ。
或いは昨日から食している霊薬ニンニクの魔力が効きはじめたか。探索者のための霊薬カンコヒで生々しい女神の惑わしの霊力を詩や文章に変換する。この時期の雲はもっとも神秘的で物語をはらんでいる。もっとも原初的な思想は女神のエクソソームの考察である。


■画像はヤフー春の女神画像より。

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