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春侯爵詩片

音楽とは不思議な
ものですね


窓外の
五月に向かう
浅緑の木々から
私の想念は一気に
半世紀を飛び越えて
中学生の頃にもどり
ある夏にいました

そこではまだ
現在演劇集団を率いて
一時代を築いている友が
自主制作映画に乗り出したばかり
いっしょに伊丹十三の『お葬式』を
食い入るように見ています

凶暴なくらいの衝動が
夏の嵐の森に噴出し
あの頃の世代の日本人の
白刃のような問いが
今の私に
突きつけられました

性か死か

唐突な
夏の霊のいざないは
老いの不完全燃焼を
蹴散らして

狂え

言いました

静かな号砲が

半世紀たって
鳴り響いたような
感じです

『お葬式』画像より。浅井慎平撮影。




■辻󠄀井伸行、『戦場のメリークリスマス』坂本龍一を聞きながら。
■画像はヤフー、窓外の光景画像より。

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