見出し画像

着物警察/お局ロリィタに見る、コミュニティによる文化衰退


こんにちは。ハヤカワです。

本日のテーマはこちら。
「着物警察/お局ロリィタに見る、コミュニティによる文化衰退」


発端はこのツイート。

そう、つい昨日、私は超お気に入りの浴衣を着てお祭りに行きました。とってもお気に入りの浴衣に帯合わせだったので、是非見てもらいたくて、さらにはブランドのことも知ってもらいたく、朝から仕事で動きっぱなしだったため少々着崩れた写真しかありませんでしたがTwitterに全身写真をアップしました。

そしたらなんとこんな感じのツイートがいくつかメンションで飛んでくるではありませんか…。


「ハヤカワさん綺麗!でも襟元が緩んでるし、ウエストが細いから帯がずれてしまっている。もっと綺麗に着れなかったのか…。服を扱う仕事なのに、こんな扱いをしていてとても悲しい。」
「もっと綺麗に着れるのに、残念。」
「もっとこう着たらどうでしょうか?」

などなど…。


って

うるせーーーーーー!!!!!!!!

こっちは楽しく着てるんだからよくね?!!!??!?
着方は母親が日舞で名取りしてるくらいだからわかっとるしググれば出てくるわ!完璧な状態で皆様〜に綺麗に見えるような写真いけないんかー!!!


こういったメンションは通称「着物警察」「着物ヤクザ」などと言われていますが、なんと自撮りで襟元が左右反転してしまった写真についてアプリの仕様だと説明してもしつこく叩いてきたり、町中で通りすがりの着物警察から履き物について非難されたりすることもあるらしいです。


めんどくさ…。

それに比べてジーンズとかは、いくら丈感がズレてても放っておいてもらえるので楽で仕方がないですね(嫌味ですよ)。


でも、この嫌な感じ、私どこかで以前に経験したことがあるんですよね。それもそう。

ロリィタ服カルチャーがまさにそんな感じだ…!


私は勝手にお局ロリィタと呼んでいるのですが、つまり、ロリィタ界隈を仕切っている(風の)古参ロリィタさんのことです。


具体的に私が経験したところでいうと、

・すれ違いざまに舌打ちをされる
・すれ違いざまにわざとぶつかってくる
・聞こえる声で嫌味を言われる
・掲示板にて名指しでその日のコーディネートを叩かれる(写真はアップしてない)

…などなど。


何が怖いかって、これ全部、全く知らない他人にされたことなんですよね、笑。

さらには、私でなく周りの話でいうと、コーディネートを盗撮されてそれを掲示板にアップされ叩かれていたみたいなこともありました。


そんなこともあり、ロリィタ服自体は大好きなのですが着るのが面倒すぎて、しかもロリィタ服を知らない人からの盗撮とかではなく同じロリィタさんからのアレコレがしんどすぎて結局着なくなり、次第に買わなくもなってしまいました。


この"お局ロリィタさん"の話はもう5-6年前の話ですが、もう現在は原宿でロリィタさんを見かけることもめっきり少なくなってしまいました。店頭には中国のバイヤーさんばかりです。そして、その国内ロリィタさんの減少はブランドや雑誌などにもちろん影響があり、KERAやバイブルといったロリィタ系ファッション雑誌は休刊廃刊が続き、ブランドの終了やショップ閉店もここ2-3年で恐ろしく多くなっています。


ここで考えたいのが、ファッションのコミュニティ形成とそれによる文化の衰退について。

今日は「着物警察、お局ロリィタ」という切り口から、コミュニティ形成の重要性とそれによる文化の衰退について考えていきたいと思います。

目次
・ロリィタ、着物のしきたり
・ルールゆえに洗練されるコミュニティ
・supremeのコミュニティ
・ファッションにおける保守と革新
・ルールと宗教における教義
・ブランディングにおけるコミュニティの重要性
・「半年ROMれ」の優しさ


ロリィタ、着物のしきたり

まずは、お局ロリィタと着物警察の言い分を整理しておきましょう。

双方に共通するのは
・着方について絶対的ルールがある
・そのルールに基づき、全ての人はより素敵に着た方が良い

ということではないでしょうか。

具体的には、ロリィタさんで言うと
・パニエを履いて綺麗にスカートを膨らますべき
・パニエを履く際は絶対にドロワーズ(かぼちゃパンツ)を履くべき
・肩は露出してはいけない
・肌の露出は最低限に
・メガネもかけない方が良い

みたいな感じですかね。

丁寧な言葉遣いをする…みたいな割と素敵なルールもありますが、実際はそういったスピリット的な部分より、先に挙げたしきたり的なルールの方が多いイメージですね。


ちなみに、双方とも「昔からのルールだ!」という意見もありますが、着物警察の言うような着方は明治以降のものなのでここ100年ちょっとくらいの話ですし、ロリィタ服も40-50年くらいの話ですので割と最近のことですね(夫婦別姓の議論に近いものがあるな…)。


ルールゆえにコミュニティが洗練されることは多い

このようにロリィタ服や着物は色々面倒なルールが多いのですが、その一方で、このような着方等のルールの統率によってコミュニティが洗練されるということも知っておかねばなりません。

例えば、これはあるブランドの話ですが、ブランドのデザイナーが痩せてる子にしか着て欲しくなかったので、細めのサイズ展開しかしないだけでなく、そもそも店の店の入り口を細くして痩せてる子しか入店&購入ができなかったみたいな話があります。でも実際、そのブランドの服は細くて可愛らしい子が着ているイメージが強く、それもまた魅力的で、着ている人ひとりひとりがそのブランドのモデルさんのようでした。それが例えば、ゴムで伸びるようになっていて、太っている人でも似合わないなりに着れることができていたら、憧れられる存在ではなかったかもしれません。


あと最近あったバーバリーが売れ残り在庫を焼却処分した話。

これも、例えば、在庫処分ということで値段を下げて販売されたり、廃棄在庫が盗難され安価で転売されたりなどしたら、本来エルメスを手に取るべきでないような人も気軽に手にとってしまうことができてしまい、その結果ブランドのイメージ毀損になっていた可能性があったと思います。


めちゃsupremeのTシャツ着てるやん

その一方で、supremeのように多くの人に着られても成立しているブランドもあります。

自分は元々ストリートに詳しくないので調べたなりの感想になってしまいますが、おそらく多くの人に着られても成立して”見える”理由としては、ハイブランドとのダブルネームや生産数の調整などで常に希少価値を上げ続けていることと、そもそも元々着ていたクラスタが離れて新しいクラスタに入れ替わっているということではないでしょうか(離れた先はバレンシアガとかなんですかね?あれもキャップつけてる人増えすぎた感あるけど)。

多分、そもそもの古参ファンは、supremeの文脈を知らない大学生とかがオシャレ〜!ってsupremeのボックスロゴTを着ているのは望んでなかったでしょうけど、それはダサいし一緒にされたくないなって「ブランドから自然と離れる」のだと思います。その結果、実は中のファンの属性は変わっていますが、ボリュームとしては大して変わらないのでうまく継続していくという。

〜〜〜
ここから先は有料コンテンツになります。
こちらの記事単体(400円)をご購入もしくは月額マガジン(4記事で月800円)をご購読いただくことで以下のコンテンツをご覧いただけます。

・ファッションにおける保守と革新
・ルールと宗教における教義
・ブランディングにおけるコミュニティの重要性
・「半年ROMれ」の優しさ
〜〜〜

ここから先は

2,225字

¥ 400

いつも読んでくださりありがとうございます!サポートは、お勉強代として活用させていただいております。