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日本一小さな町のnote #01

カメラマンの鹿野貴司と申します。早川町観光協会がnoteを開設するにあたり、少しばかりお手伝いをすることになりました。しばしの間、写真と文を担当させていただき、早川町の魅力をお伝えしてまいります。

早川町は山梨県の南西、静岡県との県境に接しています。北に日本第2峰の北岳(標高3193m)、南に信仰の山として知られる七面山(標高1982m)がそびえ、南アルプスの山懐に抱かれた町です。町の96%は山林で、清流・早川に沿って小さな集落が点在しています。古くから名湯・秘湯で知られ、登山やキャンプなどのアウトドア、ジビエや野趣あふれる料理など、観光面では多くの魅力を有しています。そんな自然環境でのびのびと子育てを…ということで、近年は山村留学にも力を入れています(ご興味のある方は町役場のホームページをどうぞ)。

早川町の紹介の後は、著者の紹介を。僕は先に紹介した七面山を2010年頃からライフワークとして撮影しています。それが縁で町の方々とも知り合いましたが、昔ながらの風習や生活様式を大切にしていることに感銘を受けました。僕は生まれも育ちも東京ですが、高校生まで夏休みは母の故郷・大分の山村で過ごし、日が暮れるまで山や川で遊んでいました。大分の山村は高速道路が開通して少しばかり都会になりましたが、記憶に残っていた風景が早川町にそのまま残っていたのです。

それを写真に残したいと考えましたが、早川町には日本でもっとも人口が少ない町(2024年2年1日現在で881人)という肩書きもあります。当時は1000人を超えていましたが、それなら全員撮れるのではないか…。そう思って撮り始めた結果、4年かけて町民ほぼ全員を撮らせていただき、2016年に町政60周年記念写真集『日本一小さな町の写真館』(平凡社・刊)にまとめることができました。

タイトルはもちろん日本一人口が少ない町であることに由来していますが、一方で面積は約370平方キロメートル、東京23区の6割くらいあります。機材を詰め込んだ車で東京からやってきて、広い町内を走り回る僕はさしずめ“移動写真館”でした。つまりタイトルには日本一小さな“町の写真館”という、自分自身のこともちょっとばかり込めているのです。そして久しぶりに“町の写真館”が復活して、町の皆さんに再会できること、そして写真をこうして多くの方々にご覧いただけることを、とてもうれしく思っています。

最近の日本は交通網の発達を引き換えに、どこに行っても駅前や街道沿いは変わり映えがせず、風景がまるで金太郎飴のように均一化されてしまいました。しかし早川は国道から枝分かれした県道の、行き止まりの町。いまだコンビニもありません。だからこそ残っている文化や風景がたくさんあり、それをひとりでも多くの人に知ってもらいたいのです。自分でこしらえたナイフを持って森へ入り、山の恵みをいただくなんて、これこそ本当のクールジャパンじゃないかと。

写真集『日本一小さな町の写真館』より
写真集『日本一小さな町の写真館』より
写真集『日本一小さな町の写真館』より
写真集『日本一小さな町の写真館』より

写真集にまとめた後も、北岳や七面山に登ったり、息子を連れて温泉に行ったりとたびたび早川町を訪れていますが、きちんとカメラを向けるのは7年ぶり。コロナ禍もあったりして、町の皆さんの顔をしばらく見ていません。そこで町民が大勢集まる10月29日の「奥山梨はやかわ紅葉と食まつり」から撮影を始めることにしました。これもコロナ禍があって2023年は実に4年ぶりの開催。ちなみに僕が写真集の撮影をしていた頃は、「そばまつり」としてさらに町の奥で開催されていました。

会場の早川町民スポーツ広場に着くと、懐かしい顔、顔、顔…。Facebookで繋がっている方も多いのですが、やはり実際に顔を合わせるのはなんともいえないうれしさがあります。2016年の写真集に写っている小さな子供たちも、立派な中学生や高校生になっていました。

すでにこの後、何度か町内を取材しているのですが、伝えたいことが多すぎて、果たしてどこまでお伝えできるか、すでに頭を抱えております。そんな「日本一小さな町のnote」、しばしお付き合いいただければ幸いです(=フォローお願いします!)


早川町の観光に関するお問い合わせは、早川町観光協会(TEL0556-48-8633)までお気軽にどうぞ。県道37号沿いの南アルプスプラザには、スタッフが常駐する総合案内所もあります(9〜17時・年末年始以外無休)。


■写真・文=鹿野貴司
1974年東京都生まれ、多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーランスの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるかたわら、精力的にドキュメンタリーなどの作品を発表している。公益社団法人日本写真家協会会員。http://www.tokyo-03.jp/

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