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暑中お見舞い【feat.i野コーチ】



 i野コーチが体調不良らしい。以前は「熱中症かもー」とか言ってた。何にせよ辛いと思うので、お見舞い代わりにコーチの元気が出そうなことを書いていこうと思う。

 i野コーチのいい所、一つ目は「テニスが上手い人にやさしい」ところだ。ううん、全くもってディスってないよ。
 すごく分かりやすくて、生半可これが「いや、別に下手じゃないんだけど」レベルだと、試合の出来次第で結構ボロクソに言うことがある。ほんでそれが原因で来なくなる人も少なくない。

 思い出すのは、このクラスに来たての頃。サウスポーのボレーヤーがいて、その人は「自ら打ちこむ」というよりは「相手の力を最大限利用して、合わせてさばく」タイプだった。本人曰く「準レギュラー」で、当初隔週くらいでいたのだけれど、ある日を境にぱったり来なくなった。
 テニスは基本誰しもラリーから始めるから、ほっといてもストローカーは量産される。故に「ボレーもできる」ではない、マジもんのボレーヤーは貴重だ(区分はセンターT字を踏む回数に依存する)
 実際出会ったのはこの6年でたったの3人。以前文系と理系の話をしたが、戦に駆り出される順番がそのまま価値を表している。うーん例えがよくないな。

 ただそんな稀少な存在でさえも、例の通りコーチは「女の子に助けられるなんて別れさせるッ」の一言で追い出してしまった。さすがにこの時ばかりはちょっとだけコーチを恨んだ。あれ、コーチの元気の出る話をするんだった。ずれたごめんね。


 それもこれもi野コーチがこの競技を好きすぎる故。偏食に近い愛は人を選ぶ。
 でもだからこそ合う人には合うのだろう。「好き嫌いはあると思うけど」と前置きをした上で、「自分はi野コーチがいい」という声は度々耳にした。
 こと私の場合、好き嫌いじゃなくいつの間にか馴染んでた訳だけど、元々自由自立型でやってきた分、特に初期の頃は「どっちでもええやん」と思うことがまあまああった。未だやいのやいの言われることが多いのも、ツッコミどころ満載プラスアルファその名残りだと思っている。そうして私自身「バカ子程かわいい」を地で行くため、裏口入学の割に得してると思う。絶対「こいつしょうもな」と思われてるけど。時々心の中で「ごめんねコーチ」と思う。なんとなく伝わればいい。


 そいえばこないだコーチが休んだ時ずみに聞いたのだけれど、コーチはすごい人らしい(え?)教えてもらった戦績全然覚えてないけど、どっかのレベルでシングルス負けなしとか、とにかくすごい人らしい(え?)
 でも前もって知ってても今知っても、私にとってのi野コーチは、なんかちょっと捻くれてて、でもこの競技がすごく好きで、試合になると熱くて、熱くなりすぎちゃって度々空回っちゃう様な、そんな人だ。それ以上でもそれ以下でもない。だからたまに友人みたいな話し方をしてしまうことがある。

 敬語は相手を尊重する気持ち、敬意の表れ。けれど一方で警戒心、建前を内蔵する。だから私にとって敬語を使わない声は紛れもない本音だ。「赤似合う」も「サーブ良かった」も「コーチ大丈夫?」も、敬語に直した途端に社交辞令感が出る。ただこれもまた感性で、万人に通じるとは思わない。ローラやニコるん、ふわちゃんの話し方を不快に思う人は一定数いるし、正直私も好きじゃない(え?)

 ただ、内側から話をすると、決まってまず根に尊敬がなければ近づきもしない。次に非礼な自分を許してくれそうだと思わなければ(敬語を)外せない。だからラフに話すのは、水くさい、「邪魔じゃね?」と、とりあえずこちら側の壁を蹴り破った結果。周りからどう思われようと、本人さえ良ければいい。勿論空気読んで良くなさそうなら戻すつもりだけど、それとなく敬語交えて話してるから、現行犯逮捕はなかなか骨が折れると思うよ(うるせえ)


 また話が逸れてしまった。コーチのいい所ね。二つ目。まだまだ理想を追い求めているところ。
 そんな前のことじゃないんだけど、ダブルス組んで前衛で点取ってくれた時、私はいつも通り手を叩いてたんだけど、コーチが「浅いな。この角度で」とかなんとかぶつぶつ言ってたの、コーチ程の人でも納得してないんだってうれしくなった。教えるだけじゃなくて、自分でも律して、追及して、もっといいボールが打てたって欲が、何より自分が楽しむためのテニスが見えて、そういうのに立ち会えて良かったって。
 もっとノイズの多い「オイオイ大丈夫か?」って時にそんな声はきっと出なくて、それはそれなりのやり取りの中で生まれた。「コーチ」が「手元に集中」できる環境。それって同じコートに立つ側からするとすごくうれしくて、もしかしたら直接褒められるよりうれしかったかもしれない。


 最近調子悪かったからだけど、自分で残してきた記録を丁寧に見返す機会があって、コーチに言われたことたくさん出てきた。全く同じ練習メニューないんじゃないかってくらいいろんなことやってて、めっちゃコーチしてんじゃんって思った。上からみたいでごめんね。でも本当にすごいなって思った。

 いろんなこと教えてくれて、でも見返すとほとんど取りこぼしてて、それってやっぱりコーチのこと傷つけてるんだよね。変化を期待して言ってるはずなのに変わんないって、やっぱり切ないよね。
 平行陣とか、打って出て決めるとか、バックハンドのアプローチの仕方とか、共通して足りないのって全部勇気なんだよね。自信のなさに腰引けてて、それって自分を守ってるってことで、「こいつしょうもな」に甘えてる場合じゃなくて、当然「ごめんね」なんて言ってる場合でもなくて、

 気づけば自分が8割になってた。余裕のなさが恥ずかしい。
 でも気づけたのが今でよかった。まだいるから。定年何歳か知らないけど。

 だから早く元気になってねコーチ。いつだったかダブルスで「誰と組みたい? 選んでいいよ!」に対して、困った私がコーチのそばに行って「いやあしょうがないなあ」ってうれしそうにしてたのさえ、記録に残ってるんだから。しょうもないのお互い様なんだから。


 お大事にね。




















 あ、あと。
 前に「入ってやれ」ってどっかの誰かさんの背中を押したの、
 どうして分かったの?

 元気になったら教えてね。




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