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猫病



トキソプラズマ:寄生虫の一種。感染したネズミは猫を怖がらず、食べられてしまう。


体育座りしてテレビを見ていると、隣に来て「にゃあ」と鳴く。仕方ないので足を伸ばすとその上にそろりと乗って横座りになる。再びこっちを見上げて「にゃあ」仕方ないので調整して膝を折ると、私の身体に手をついてぺたんと座り直す。少しして膝から飛び降り、ソファに座って再び「にゃあ」仕方ないのでソファに横になると、どふん、とお腹に飛び乗る。背もたれと座面の間。私の右手を下敷きにすると、鼻キスをして目を閉じる。ぐるぐる鳴らすのど。ようやく鳴き止む。


「……その他問診には『膝の上で気持ちよさそうに寝てる時は足しびれても限界まで我慢する』『基本、グッズは青天井』『壁が削れたら削られた壁の方がヒヨいと認識。カーテンも服も同様』とありますね」

「……先生、どうでしょう」

「おそらくトキソプラズマ感染症でしょう。あと、ただの親バカ」

「治る見込みはあるんでしょうか? 最近打ちっぱ行けてないんです」

「無理でしょう。生後半年の猫かたわらに『猫 かわいすぎて辛い』『猫 死んだらどうしよう』なんて検索してる段階で既に手遅れです」

「猫は9つの命を持ってるらしいですよ。で、死んだら虹の橋に行って」

「処方はありません。辛くても我慢してください。お大事に」






トキソプラズマ:寄生虫の一種。感染したネズミは猫を怖がらず、食べられてしまう。同じく感染した人間はマインドコントロールされ、猫の下僕と化すという一説がある(参考、『ねこほん』)





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