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大日本主義は、日本に限定された考え方ではない〜『大國民讀本』を読む〜(6)

大日本主義は、全ての日本人に共通する主義(考え方)でなければなりません。それによって進めば、国家も国民も共に栄えていくのが大日本主義です。日本主義である以上、まず日本を大事にし、日本人であることを大切にすることから始めます。

と同時に、注意しておきたいことがあります。

日本を大事にし、日本人であることを大切にするといっても、外国の利益(りえき)を無視し、自分たちだけ豊かになればいいという狭(せま)い考え方ではない。

ということです。

ある善良(ぜんりょう)な一家があって、その家では家族をとても大事にしています。我が家の幸せを第一に生きているのですが、だからといって他の家に損害(そんがい)を与えることはありません。自分の家も他人の家も、共に幸福でありたいと願っているのが善良な一家です。

それと同じで、日本を第一に考えることと、他国に害を及ぼすことは一緒(いっしょ)ではありません。むしろ日本を尊ぶ(たっとぶ)からこそ、他国のことも大切にしたくなるはずです。

ところが、あらかじめ敵を仮想(かそう)し、想定(そうてい)した敵への対策(たいさく)を国の基本方針におき、国民の気持ちを敵に集中(しゅうちゅう)させようとするやり方があります。

これは「敵本主義(てきほんしゅぎ)」という、わがままで全然(ぜんぜん)よくない考え方です。もしも友達(ともだち)の誰かが「おまえは敵だ」と言ってきて、みんなから悪者扱い(わるものあつかい)されたらいやでしょう。

日本には、そういう悪い考え方が決してあってはなりません。

一国や一民族、一国民のみの繁栄(はんえい、よく栄えること)に限定(げんてい)された主義は、世界からなくさねばなりません。

人類全体の幸福から考えたら、よくないことがすぐわかるはずです。

こうして大日本主義は、日本国の発展と他国の繁栄を両立(りょうりつ)させていくものです。

日本があるから他国が繁栄し、他国のお陰で日本も発展するという考え方が大日本主義なのです。

〜『大國民讀本』を読む〜(7)につづく


上記は、昭和2年(1927年)1月25日に出版された、文部省認定・林平馬著『大國民讀本』の内容を、林英臣が、こども向けに“翻訳”したものです。

「戦前は立派だった」いや「戦前はひどかった」、「戦後、日本は良くなった」いや「戦後、日本はダメになった」などと、大東亜戦争(第二次世界大戦)で歴史を前後に区切ることが一般的です。

ところが、『大國民讀本』を読むと、日本は明治から既におかしくなっていたことが分かります。90年以上前の本とは思えない内容が本書に記されているのです。これから取り戻すべき日本の原点が、余すところなく示されていることに読者は気付くはずです。

戦前の日本の実態をよく知り、これから祖国再生を進める上で、心得とすべきことが沢山出てまいります。

昭和に入ってから出版された本ですが、90年以上前の内容ですから古典の意訳に近い作業が必要でした。そこで、子供から大人まで世代を超えて読んでいただけるよう、できる限り分かりやすく書きました。

親子一緒に学んでいただいていただいても、楽しい本になったと自負しています。また、明治以降の日本史を正しく学べる本として、読者のご研究の参考になれば幸いです。

意訳者 林英臣

『大國民読本』を読む〜はじめに〜より(一部追記)

昭和2年に出版された著書ながら、今読んでも新しく、胸に突き刺さる指摘ばかりです。新しいがゆえに、我が国の抱える病巣や問題の根が深いことが良くわかります。

戦前の日本が良くわかる本『大國民讀本』

林英臣の元氣メール(メルマガ)」で、こども向けに優しく噛み砕いて連載していた内容を、〜『大國民讀本』を読む〜として刊行しています。

これからnoteで、逐次紹介して参りますが、下記からお求めいただき、共に「日本の原点」を取り戻すべく、ご家族ご友人と学んでくだされば幸いです。
https://hayashi-hideomi.com/books

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