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英語学習を継続するコツ

数年前に、ある出版社から「海外就職や海外フリーランスをするための英語学習法を本にして出版しませんか?」というお話がありました。この記事は、その際に書き溜めた下書きです。残念ながら、出版の話はなくなり、この文章はGoogle Driveに眠っていました。

もったいないので、とりあえずNoteで無料公開しますが、そのうち有料化するかもしれません。

2章では、英語独学の基礎、3章では飽きずに学習を続けるための100の独学法、4章では外国人の友達の作り方を紹介します。


前書き

「毎日運動して5キロやせる!」
「絶対に禁煙する!」
「TOEICで700点を取るために毎日英語を勉強する!」

体重計を見て、映画を見て、成功者の体験談を聞いて、「よし、がんばろう!」と決意します。

ところが、やる気は続きません。三日坊主どころか、次の日には、すっかりと熱が冷めてる。

そういう経験はありませんか?意志が弱いから?

いえいえ、そういう精神論的な話はやめましょう。

そもそも、人はみんな三日坊主なのです。体重管理ができない、たばこをやめられない一流の経営者なんてたくさんいます。

私だって、禁煙やダイエットは何度も失敗しています。でも、英語の勉強は続きました。この章では、英語の勉強を継続するための、コツを紹介します。

意思力とか、精神論はありません。心理学にもとづき、実体験で裏付けられた、意志の弱い私やあなたが実践的な英語学習を続けるための工夫です。

0. やる気の心理学の基礎を理解しよう

やる気を出すって難しいですよね!

「15分で終わるのに、なかなか始められない」
「始めれば集中できるのに、始めればつらくないのに、始めることができない」

っていう感じたことはありませんか?

じつは、「やる気が出ない原因」と「やる気の出し方」は、学べるのです。
実際に、欧米の一流企業は「やる気の研究」にもとづいた経営をしているし、成功している人は、それにもとづいて「やる気管理」をしています。本当は、本一冊分くらいになるほどテクニックがあるのですが、ここではそのエッセンスを紹介します。

1.1. 「やる気 = (報酬ー罰)x 確率」

心理学では、自分にとっての良いこと(良いと感じること)を報酬と言います。そして、自分にとって悪いことを罰と言います。アメとムチの、アメが報酬で、ムチが罰ですね。ちなみに、英語では「carrot and stick(ニンジンとムチ)」と言います。

報酬には、例えば、

  • テストでいい点を取ったときの達成感、

  • 勉強をがんばって褒められたときの幸せ感、

  • 外国人と英語で話して「私すごくない!?」という有能感

などがあります。

罰とは、例えば

  • テストで悪い点をとったときの無力感

  • 褒められなかったとき、けなされたとき

  • 成長が実感できないとき

  • 退屈や、つまらない、苦痛などの負の感情

実際に「報酬があるかどうか」ではなく「報酬や罰を感じるか」が、やる気のポイントです。では、「やる気 = (報酬ー罰)x 確率」の「確率」とは何でしょう?

「テレビを1時間見る」と「英語を1時間勉強する」を天秤にのせたら、テレビを選んでしまうのです。なぜなら、

  • テレビで得られる楽しいという報酬はほぼ確実に手に入る。

  • TOEICのテキストをつかえば、「わらかない」という無力感がほぼ確実にある。

  • 英語を勉強しても、ペラペラになれるという「成功確率」の実感がない

  • 英語を勉強するのは苦痛

  • テレビを見るのは楽

やる気を出すには、罰をなるべく小さく、報酬を大きく、報酬が得られる確率を高めます。

例えば、

  • 英語の勉強が終わったらケーキを食べる。

    • ケーキはご褒美。

    • ケーキを食べられる確率は100%。

  • 海外ドラマを見る

    • 罰=英語の勉強の苦痛が小さい

    • 英語の勉強自体が報酬になる

    • 楽しさという報酬は確実に手に入る

  • イケメンあるいは美人の英語の先生を雇い、宿題を見てもらう。

    • 褒められたり、「100点取ったらデート」とか、やる気出ませんか?

というわけで、この章では、こんな感じで心理学に基づいたでやる気がでる勉強法ややる気が無くてもできる勉強法を紹介します。

1. 自分を理解し、自分に合った勉強を実験で見つけよう

有名ブロガーのすすめで英字新聞を読み始めたけど、ぜんぜん続かない。家だと、まったく集中できない。TOEICの問題集が、つまらなすぎてやってられない。

それは、あなたがナマケモノだからでも、意思力が弱いからでもありません。自分に合った勉強法をしていないだけなのです。

日本の新聞は毎日読んでいますか?新聞を読む習慣がないなら、英字新聞なんて続きません。

塾や予備校に行ってましたか?家で集中できないなら、カフェや図書館で勉強してみましょう。

中学の英語はきちんと理解していますか?そうでないなら、TOEICはまだ早い。まずは中学の勉強から始めてみましょう。

勉強しやすい環境、方法、英語のレベルは、人それぞれちがいます。ブログや友人がおすすめする勉強法が、あなたに合ってるとは限りません。だから、この本やほかの本、ブログなどに書かれているいろいろな勉強法を、まるで実験のように自分で試して、自分に合う勉強方法を探してみましょう
まずは、いろいろな環境、方法、レベルを試して、自分に合った英語の勉強方法を見つけましょう。

2. 効率的だけどつらい勉強で挫折するより、非効率でも楽な勉強を継続しよう

意思力とか、精神力とか、目的意識とか、そういうのは「やめ」にしましょう。

つらいことは続かない。そして、続かなければ意味がない。

まずは、これを受け入れましょう。「今度こそがんばる!」とか、そのときは強い決意をしても、熱は冷めるんです。冷めた状態でも、続けられる、つらくない勉強をめざしましょう。

参考書や問題集は、短時間で効率的に英語を伸ばせるのかもしれません。
でも、続かなければ意味が無いんです。今までも続かなかったなら、今度も続きません。

あなたの意志が弱いわけではありません。意志が強い人なんて、本当にほんの一部なんです。天才と同じくらい珍しいのです。

だから、今度は、自分の決意とか、精神力とか、目的意識とか、ふわふわしたものをあてにするのはやめましょう。

私や、あなたのような、普通の人でも続けられる勉強法を探しましょう。
勉強の効率よりも、つらなくないこと・続けることを最優先にしましょう

心理学では、つらいことを「罰」と言い、つらいことがやる気に与える影響を「罰効果」と言います。なるべく罰効果が小さい勉強をしましょう。

3. 自分を飽きさせないように、いろいろな英語学習の方法を組み合わせよう

英語の勉強を8時間できますか?私はできます。

TOEICの問題集で英語の勉強を8時間できますか?私はできません。30分で飽きます。

では、どうやって8時間も勉強するのか?

それは、いろいろな方法で英語を勉強して、自分が飽きないように工夫することです。

例えば、テキストブックを1時間がんばったら、次は海外ドラマ(英語字幕付き)を1時間見る。その次は、違うテキストブックを1時間頑張る。その次は、家事をしながら、オーディオブックや洋楽を聴く。その次は、タブレットで洋書を読みながら音読する。その次は、ストレッチをしながら、また海外ドラマを見る。その次は、外国人の友達メールする。

飽きたら次、飽きたら次。これなら、ずっと英語の勉強をできる気がしませんか?

ずっと机に向かって勉強する必要なんてありません。とにかく、英語を学べて、続けられるなら、形にこだわることはありません。勉強らしい勉強にこだわらず、いろいろな形で英語に触れれば、ずっと飽きずに英語の勉強ができます。

4. 英語で何かする、短期的な「プロジェクト」を持とう

英語や楽器って、なかなか上達した実感がつかめないですよね。まるでゴールが見えないジョギングです。しかも、目標が遠い。楽器をやったことはありますか?本当に、上達が遅いですよね。自由自在に弾けるまでは何年かかることか・・。

英語も同じです。外国人と話している人を見て、「私もああなりたい!」と思って勉強を始めても、実際の上達速度と、目標までの距離を考えると、やる気がなくなります。

目標が遠いと、やる気はなくなる
ならば、目標を近くしましょう。

「アドリブで、何でも弾けるようになる」ではなく、「まず一曲レコーディングしてみる」です。それを何度も繰り返せば、ギターがうまくなります。
英語も同じ。

「外国人とアドリブで話す」ではなく、「まずは海外文通のサイトに、英語で詳しい自己紹介を書いてみる」ならどうでしょう?それが終わったら、「英語で、海外文通サイトで、誰かにメールを送ってみる」はどうでしょ?

英語の勉強を、英語の勉強とか考えずに、「英語で何かするプロジェクト」にしましょう。

これなら、目標が近いから、やる気が出ますね。

例えば、こんなプロジェクトがおすすめです。

  • 海外文通サイトを使ってみる

  • 小さいテキストブックをこなす

  • 英語で日本を紹介するブログを書いてみる

  • 英語で100の質問に答えてみる

  • 英語で映画のレビューを書いてみる

  • 海外のオンラインショップを使ってみる

  • 今四半期は、前置詞をマスターするために、前置詞に関する薄いテキストブックを3つこなす

プロジェクト選びのコツは、3つあります。

1つ目は、目先の報酬を用意することです。

遠い将来の得られる報酬のことを遅延報酬と言います。
まだ英語を始めたばかりなら、「TOEICで満点を取る」「外国人と話す」は、遅延報酬です。

遅延報酬は割引されます。明日もらえる1万円は、1年後にもらえる2万円より、価値があるように感じるのです。

だから、達成感という報酬が短時間で得られるような、短いプロジェクトがおすすめです。

2つ目は、自分にレベルにあったものを選ぶことです。

プロジェクトは難しすぎないもの、目安としては「8割わかるけど、2割わからない」レベルのものを選びましょう。すると、有能感(自己効力感)が得られるので、より深い集中状態(フロー状態)に入りやすくなります。

3つ目は、ゲーム性があるものを選ぶことです。

私は、大学を卒業するまで、自分が英語の勉強に使ったノートを一枚も捨てませんでした。すると、ゲームのレベル上げや、ポイントカードのように、ノートを積み上げること自体が楽しみになってきました。

ノートの束を捨ててしまったら、心が折れていてかもしれません。ゲームと同じで、セーブデータが一度消えてしまうと、一から始めるのはおっくうになります。

ちなみに、これを心理学の用語でこれをゲーミフィケーションと言います。勉強自体をゲームにしてしまえば、楽しく英語学習を継続できます。

ほかにも、自分の興味に合わせたプロジェクトを考えてみましょう。
この本では、英語の勉強に使えるたくさんのプロジェクトを紹介します。

5. タスク管理・Todoリストを活用しよう

「英語の勉強しなきゃ。でも、今日は何しよう・・・」

なんて考えているうちに、いつの間にか部屋の掃除を始めてることってありませんか?

「何をすればいいのか、わからない」は、やる気の最大の敵です。
「やることが多すぎる」もやる気の敵です。

その解決策が「タスク管理・Todoリスト」です。

でも、タスク管理って、「できるビジネスマンの仕事術」っていうイメージですよね。でも、実は、主婦や、学生、おじいちゃん、お医者さんなど、たくさんの人が仕事以外で使っています。

例えば、

  • 子供の宿題や、学校の行事、家事を忘れないようにする

  • 夫婦間で買い物リストを共有する

  • 見たい映画のリスト

  • 筋トレやダイエットの予定

  • 英語など、語学の勉強

  • ゴミ出し

  • 車検や免許の更新アド、数年単位のタスクのリマインダー

などに使っている人もたくさんいます。

「今日は、疲れているから参考書を開く気にならない。じゃあ、何をしよう。」「今日は、まだ時間もやる気もあまってる。じゃあ、何をしよう。」
こういうときに、Todoリストでタスク管理をしたら、すぐにそのときの気分と、時間と、場所に合わせた勉強方法を思い出せます。

タスク管理について、くわしく学びたい方は、こちらの本がおすすめです。

また、別のマガジンでタスク管理について連載する予定です。

6. スケジュール管理をしよう

「英語の勉強をしたいけど時間がない」

気持ちはわかるけど、時間は絶対あります。1日15分や1時間くらいあるでしょう。

通勤・通学時間、食事時間、テレビを見てる時間など、1日1時間くらいは作れるはずです。

ないのは時間ではなく、気力と計画です。

自分より忙しいはずなのに、なぜか勉強できている人もいますよね。そういう人は、時間の使い方が上手なのです。勉強時間が確保できない人は、時間管理、タスク管理、手帳術、スケジュール管理などの本を読んでみましょう。

例えば、

  • 夜は疲れて勉強する気力が無いから、朝に勉強する。

  • 一週間の予定を組むときに、あらかじめ、勉強時間を天引きする。

  • すきま時間をうまく活用する

  • 習慣化、仕組み化で、作業効率を改善して時間を増やす

などのテクニックが見つかります。

時間の使い方がうまくなれば、英語の勉強に使える時間が増えます。
くわしく学びたい方は、こちらの本がおすすめです。

7. 勉強をしやすい環境を整えよう

「やる気があれば、何でもできる」
とりあえず、こういう考えはやめましょう。
「やる気があれば、何でもできる」と思うと、何も続きません。
なぜなら、やる気はコントロールできないからです。
でも、勉強のための環境はコントロールできます
例えば、

  • 集中のジャマになるものは、全部しまって、目に入らないようにする。

  • 参考書はページを開いた状態で机の上に置いたままにする

  • 家で集中できないなら、図書館やカフェに行く
    (心理学では「他者から見られることで、やる気や仕事の量、スピード、質が変化する現象」のことを「見物効果(観客効果)」と言います。)

  • スマホをサイレントモードにして、取りに行くのが面倒なくらい遠くに置く

  • パソコンの電源を抜く

  • がんばった自分へのご褒美(心理学では、「報酬効果」と言います。)

  • 勉強しなかった日はおやつ抜き(罰効果)

  • がんばっている最中にご褒美(テンプテーションバンドリング)

など、やる気を高め、誘惑をなくす方法はたくさんあります。
いろいろな場所・状況で勉強をして、自分が勉強誌やしやすい環境を見つけましょう。

ちなみに、人間の脳は、目の前にある報酬(価値)を過大に評価するようにできています。だから、勉強して良い大学に入れば、いい会社に入って、良い暮らしができるという単純な論理を理解をしているのに、その通りに行動できないのです。「目的意識があれば勉強できる」なんて、迷信ですよ。
だから、遠い将来の報酬のための、今は我慢(英語の勉強)するのではなく、報酬を近くにする英語学習を楽にしましょう。

8. 食生活・ライフスタイルを改善しよう

「やる気があれば、何でもできる」
しつこいようですが、こういう考えはやめましょう。
「やる気があれば、体調が悪くても勉強に集中できる」は間違いです。
できる人もいるでしょう。でも、そういう人も、体調が良い方がより集中できます。
最低限、これだけは気をつけましょう。

十分な睡眠をとる

疲れて帰ってきたら、勉強をしようとしてもやる気なんてでません。
すぐに寝て早起きして勉強した方がいいでしょう。

炭水化物や砂糖を控えめにする

やる気には、ブドウ糖が必要です。
でも、血液中のブドウ糖の量、つまり血糖値が、一気に高くなるのもだめです。
血糖値が下がりすぎると頭が働かず、急に上がると眠くなってしまいます。
だから、血糖値を一定のレベルに保ちます。
血糖値を一定に保つためには、GI(グリセミック指数:血糖値の上昇速度)が低いもの食べます。
例えば、野菜、果物、ナッツ、チーズ、肉、魚なのです。
逆に、砂糖(お菓子や清涼飲料水など)や、炭水化物(ご飯、パン、じゃがいも、めんるいなど)は、GIが高いので、だめです。
ちなみに、GIが高いものを食べても、すぐに血糖値が下がってしまうので、またお腹がすきます。そのため、GIが高いものはダイエットの敵でもあります。

適度な運動をする

「体を動かすと頭も働く」は、精神論ではありません。
運動が脳に与えるプラスの影響は、きちんと科学的に証明されています。
毎日30分ほど、海外ドラマを見ながら、ルームステッパー、トレッドミル、フィットネスバイクなどで30分ほど運動したり、あるいは器具なしで、立ったままできるボクササイズもおすすめです。
「どういう運動をしたらいいかわからない・・・」という方は、Youtubeで検索してみましょう。

9. 英語「で」楽しもう

「数学で楽しむ」
「応用物理学で楽しむ」
「世界史Bで楽しむ」
ってないですよね?

でも、「英語で楽しむ」はあるんです!
英語は、映画や会話など、勉強っぽくない勉強をするだけで、自然と伸びるようになります。
「でも、すでに英語ができる人じゃないと、英語で楽しめない」と思いましたか?
そんなことはありません。
どんなレベルの人でも英語「で」楽しむことはできます。
必要なのは、わずかな時間と工夫、そしてすぐにあきらめないことです。
英語を一緒に勉強する人を見つけたり、
ミートアップイベントに参加したり、
海外文通したり、
海外ドラマを見たり、
Facebookグループでディスカッションしたり、
試す価値がある英語の学習方法はいらくでもあります。
いろいろ試してみましょう。


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