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ドーピング問題は氷山の一角

先日、箱根駅伝常連校である某S大学駅伝部の選手がドーピング違反により、3年間の出場停止処分を受けたとのニュースが入ってきました。

以前から出雲駅伝出場選手の中にドーピング違反があったとの情報は出回っており、ある程度予想はされていたのですが、今までこのような問題が日本学生長距離界に出回ることがなかったこともあり、世間に衝撃を与えました。

大学側が発表した文書では、強い倦怠感を改善するために友人から薬を購入し、結果その薬から禁止物質が検出されたとのことですが、検出された禁止物質がアナボリックステロイドの一種である「ナンドロロン」だったことから、故意的に服用したのではとの声も少なくありません。

実際どのような経緯で服用したのかは、本人や大学、駅伝部関係者の方々しか分からないので、大学側の文書を信じるしかないのですが、どういった形であれ、このような出来事が起こったことはとても残念に思います。

ただ、このドーピング問題は氷山の一角にすぎず、そして日本陸上界全体のドーピングに対する意識の甘さが露呈したものだったと言えるでしょう。

今回検査に引っかかった選手は出場した9月に行われた日本インカレ後のドーピング検査により、禁止物質が検出されました。しかし、ドーピング検査は出場選手全員に行われるわけではなく、あの国民的行事である箱根駅伝ですら、上位10チーム一人ずつの計10人だけとなっています。これでは選手各々のドーピングに対する意識というのは、低くなるのは当然のこと、検査がないのをいいことに、ドーピングやドーピングまがいのことをしている選手やそれを推し進めている指導者は多く存在していると思います。

実際大会前になると、病院で鉄剤注射を打ってもらったり、注射を打ちすぎて肝臓を悪くしたという選手の話を身近で聞いたこともありますし、ある関東の大学では「血液コントロール」と評して、状態の良い血液を保存し、それを選手の体内に戻すと言った行為があったことも事実です。

そして、今回のドーピング問題でもう一つ気になったのが、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)から選手への通達があまりにも遅かったことです。その選手はドーピング検査を受けた日本インカレ後の10月9日に行われた出雲駅伝に出場しており(今回の件によりチーム順位及び個人成績は全て失効)、JADAからの通知は10月12日。より慎重に行ったためだったかもしれませんが、通達まで約1ヶ月は時間がかかりすぎなのではと思ってしまいます。しかも、そのチームは出雲駅伝で過去最高順位&区間新記録を出した選手も数名いましたが、前述した通り、今回の問題によってチーム成績及び個人成績は全て無効。もちろんドーピングをしなければよかっただけの話なのですが、もっと早く知らされていればと思わざるを得ないでしょう。

今回の問題を機に、日本陸上界のドーピングに対する意識が高まっていくのか。今後、注目していきたいところです。




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