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日本で唯一⁉復活劇を支えた練習法

みなさんこんにちは!
今回は復帰戦で良い走りができた一番の要因となった練習について綴っていこうと思います。

閾値トレーニングを重視した練習

復帰戦を迎える上で最も重要視したのは閾値トレーニングです。
このトレーニングは日本ではあまり浸透しておらず、知らない方も多いと思うので、まず内容について紹介します。

閾値トレーニングの閾値とは乳酸が急激に増え始める運動強度のことです。(乳酸は本気で走っていて、足がパンパンで動かなくなるアレ)運動強度が低くゆっくりなペースで走るとき、乳酸は走るスピードに比例して増えていきます。ところが、この閾値を超えると急激に乳酸が増え始め、運動を継続することが難しくなります。すなわち閾値トレーニングとは、この閾値直前のペースで持久走を行うトレーニングのことです。

この閾値トレーニングを導入した練習メニューは以下のようなものになります。ある週のトレーニングです。

月 70分jog    流し100m×3本
火 1000m×8 (3′10″/r400mjog)
水 60分jog    流し100m×3本
木 2000m×4本 (6′30″/400mjog)
金 70分jog 流し100m×3本
土 200m坂×10 (r下り)
日 120分LSD

閾値トレーニングは火曜日と木曜の練習で、設定は通常のインターバルより抑え目となっています。この閾値トレーニングを行うことで乳酸の処理能力が高まり、きついペースラインを引き上げることができます。一般的な考えとしてインターバルなどのスピード練習はレースペース以上で行わなければならないというものですが、運動強度が高すぎると速筋繊維が多く導入され、発生した乳酸を処理することができません。また、強度の高い練習は長く継続することが困難なため、乳酸を処理する量を稼ぐこともできず、尚且つ負荷が高い為、故障のリスクも上がってしまいます。それに比較して閾値トレーニングは負荷も抑えれますし、多くの量をこなすことができます。もちろん高強度の練習すべてが悪ではありません。坂ダッシュはほぼ全力でやりますし、レース前や時期によっては強度の高い練習は行います。しかし基本的には閾値トレーニング中心で、強度の高い練習は低頻度にするべきだと思います。

実際復帰戦の1500mでは閾値トレーニングの効果をもの凄く実感しました。中盤それなりにきつかったペースも維持しやすかったですし、離れそうになるところも耐えることができました。また、200m坂ダッシュで動きの切り替えしがスムーズになったのも結果が出た要因の一つだと思います。

世界では最もトレンドな練習法

この閾値トレーニングは日本で全く普及していないので、僕の記事で初めて知った方も多かったと思いますが、世界では一番行われている練習方法です。現在、中距離界最強ランナーであるノルウェーのヤコブ・インゲブリクトセンは閾値トレーニングを行い、飛躍的にタイムを向上させました。また、それに影響されるように欧米、欧州で閾値トレーニングを取り入れる中長距離選手が急増。昨年の世界選手権1500mでは陸上王国ケニア勢が表彰台に上ることができませんでした

ヤコブ・インゲブリクトセン
昨年の世界選手権5000mで優勝しました。
1500m優勝はイギリスのワイトマン
2位はヤコブ・インゲブリクトセン

この閾値トレーニングが日本に普及していないことが、トラック種目において世界と離されている原因の一つであると思います。今までは中長距離種目で上位を占めるのはケニア・エチオピアなどのアフリカ勢でした。彼らは生まれ持った能力も高く、環境も違うため負けても言い訳することができていましたが、今の欧州・欧米勢の勢いを考えると同じような言い訳はできないはずです。時代は欧州・欧米ですので、是非日本も流行りに乗ってほしいなと思います。

おわりに

今回はこの辺で終わろうと思います。
難しい言葉も多く、わかりにくい部分もあったと思うので気になる方は閾値トレーニングで調べてみてください。

次回の記事は「駅伝大国・日本が世界で通用しない理由」です。
乞うご期待ください!

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