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バトンを繋ぐこと

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先日、最近すっかりご無沙汰している近所のコンビニの店長さんとばたりとお会いして、話す機会がありました

最近どうよー?と聞かれて、移転のご報告や近況をお話ししながら、ある記憶が蘇り、気がつくと深々と頭を下げている自分がいました

僕には、数年前まで思うように仕事がいかず、いろんな問題が山積みでした

しかも解決の方法が全くわからなかったんです

努力したら神様がなんとかしてくれる
そう信じていたくらいでした

だから兎に角、考えることから逃げるような、そんな気持ちでずっと休みなく働き、体も心も疲弊し切ってました

そんな頃、コンビニでコーヒーと菓子パンを食べるのが唯一の楽しみだったんです

で、ある日の配達帰り、いつものようにコンビニに車を停めて、買い物し会計をしていたら、面した大通りがどうにも騒がしいことに気づきました

疲れてボーッとしてたんでしょうね、サイドブレーキを引き忘れた自分の車が、駐車場の傾斜で勝手に走りだして、コンビニの看板を薙ぎ倒して、中央分離帯にぶつかって止まっていて、大渋滞を引き起こしいたんです

疲れもあって、しばらく呆然として動けませんでした

クラクションと人集りがあって、かなりザワついていた筈なんだけど、何かがコト切れたんでしょうね、一切音が聞こえなくて、モノクロで、なんだか止まって見えた

ハッとして慌てて車に駆け寄って、クラクションを浴びながら、車を切り返すんだけど、上手く行かず焦るんだけど、何処か夢見たいな、自分ごとじゃないような不思議な感覚があったのをはっきりと覚えてます

なんとか車を撤収して、周りの人にペコペコと頭を下げて、ズドーンとした気持ちでめちゃめちゃに壊れた看板を兎に角片付けて、店長さんにお詫びを伝え、看板弁償しますと話しました

それを聞くや否や、店長さんが、あんた疲れてるんよ、なんも心配せんでいい、後片付けもやっとくから、それにお金もいい。
これ食べて元気出しなと、菓子パンと珈琲の入った袋を差し出してくれました

そんな自分の身の上を話したことは無かったけれど、大変そうだなと、いつも感じてらしたんだと思います。

思わぬお言葉に、恥ずかしいけど、涙が出ました

自分に余裕がないことで、たくさんの人に迷惑をかけるんだと、つくづく思いました。

本気で変えなきゃ、そう思いました。

お店を始めてからこの12年ほどの間に、たくさんの人の温情に支えられてきたと思います。

それにずっと甘えてきたままです。

多分、僕に温かく接してくれた沢山の方にも、同じような経験があったんだと思うんですよね。

だから僕の気持ちが理解できたのかもしれません。

その人が大変な時に、別の誰かから受けた愛のバトンを、僕に渡してくれたんだと思います。

皆さんの支えのおかげで、今の僕がある。

皆さんのおかげで、自分を変えなきゃ、問題としっかり向き合わなきゃ、そう思いました。

やっぱり人は自分だけで生きてはいけないし、人の支えの温かさや大きさは凄いです

今度は僕がバトンを渡す番です。

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#優しさ
#ご恩
#バトン
#和歌山パン屋

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