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越してきて思う、あれもパン、これもパン

あれもパン、これもパン

パンにもいろいろある


お料理やお菓子に比べると、パンの用途は多岐にわたります

それこそ名前に食事パンとか、菓子パンとか

用途を冠にし呼び分けるのが一般的なほど

ありとあらゆるフィールドに顔を出すくらいです


まあそれが、世のパン屋さんの労働過多の大きな要因であるわけですが(苦笑)


それはさておき

ここのジャンル分けの構成比率が

それぞれのお店のキャラクター付けの大きな要素になっています


いま、前とはかなり違うやり方でパンを作るお店を立ち上げようとしている私たちも

当然、自分たちのキャラクターについてあれこれ考えているわけですが


ただ自分たちが焼きたいものだけでそのキャラクターを決めてきた

従来のお店作りとは

モチベーションの中身としてちょっと違うなぁと

ここに来て感じ始めてる自分がいます


そこには、思想と思考と精神性がまずあって

パンを通してそれを実践してしていくことこそが正義であるといわんばかりだだった

一時のガチガチな自分たちを

俯瞰でみられるようになった事も影響していますが


食すること自体にいろんなハードルが生じてくる世代に

自分たちが差し掛かってきたり

周囲の目上の人たちのそういった問題の顕著さをひしひしと感じるようになって

食に携わる者のはしくれとして

そこに目が自然と向いていく自分たちを見過ごしちゃいけないなって

強く思うようになっているからです




新しくこの街に越してきて

古くから港町として続いてきているのどかで素敵な場所だからこそ

逆に、回転率や来客数を高く維持できてこそ持続可能な大手の商業施設にとっては

出店や存続が難しい地域であるという現実を目の当たりにしています


どこにでも当たり前にあるスーパーやコンビニがないこの地域で

古くから住む高齢のご近所の方たちの口から

「買い物難民」

という強いワードが頻繫に出てくることに、本当に驚いて

胸がかきむしられる感覚を覚えるんです


はっきり言うと

前のお店、harimayaで僕らが焼いてきたようなパンは

ここに住まれるご高齢の方たちには向いてませんよね


食も細くなったそんな地域の方たちにとっては、

たったひとつのパンで食事が完結する事が現実的かもしれません

そんな方にとって、いくら思想的、背景的に素晴らしいカンパーニュが焼けたところで

それは、残された人生を生きていくうえで、疎外感にしか感じられない、かもしれません


なんか、ちがうよなぁって

それが自分たちのいちパン屋としてのエスプリだろうか?って思うんです

それがこれまで重ねてきたキャリアを鑑みた

自分の承認欲求や自我に反するかというと、これが全く違うんです


人として、いちパン屋として

この地に骨をうずめる気で越してきました


寧ろこんなに気持ちの中から湧き上がる感覚に突き動かされることは

これまでなかったんですよね

今はまだ、どんな落としどころになるのかはわかりません

日々の散歩の中で、いろんなアイデアがわいてきて

様々な思いを実現してきましたが

どうやら今回は相当難産のようです笑



あれもパン、これもパン。

それは、パンそのものだけのことじゃなくて

作る側の思いのあれこれも、なんです


パン屋としての持続を踏まえた上で

最高のバランスの取れた

あれもパン、これもパンを実現したいなって思っています

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