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[連載小説] episode.1 Is there love in the air? はじめての夜

白熱球のあたたかな灯りと、大理石の床。リコはエレベーターのボタンを押し、ゆっくり深呼吸をした。

川瀬さんが指定したホテルは、地下のエレベーターから直接客室フロアに行けるようになっていて、今のリコにはちょうどよかった。こういう時に人の多いロビーを抜けて、フロントの前を通っていくのは余計に緊張するのだ。妙にかしこまった感じで出迎えられるのも落ちつかない。

エレベーターに乗り込むと、リコはもう一度深く息を吸い込んだ。吐く息がふるえて、15階のボタンを押そうと伸ばした人さし指もふるえて、リコは苦笑した。

初めてなわけでもないのに、と。

ラグジュアリーホテルとでもいうのだろうか。鏡や柱が、やけにキラキラと照明を反射する。エレベーターが上昇するにつれて、リコの心拍数も上昇している気がした。

初めてなわけでもないのに。リコはもう一度心の中で思う。

だけどほんとうはわかっているのだ。極度の緊張の理由が、ホテルの格や豪奢な装飾とはまったく関係ないことに。

正直、こうなることは予想外だった。

一方で、予感してもいた。



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