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読切小説「家具屋の椅子」

読切小説「家具屋の椅子」

時間の渦が私を飲み込んだ時、そこには非現実的な椅子が存在した。

非現実的な椅子が存在すること自体、非現実的な話ではあるが、これは明らかに非現実な椅子が存在していたのだ。

その前に時間の渦について説明がいるだろう。この体験は私が大学教授をしている時の体験談である。

大学教授とカッコ良く言っているが、実際は臨時の大学教授なんだよね。本来は家具屋の店長で、小さな街でひっそりと小さな家具屋を営んでいる。

そんな私が何故、臨時の大学教授をすることになったのか?それを説明するのは大変難しいことなので今回はしない。

その辺の文句は、区役所か大人相談室に電話して欲しい。

まずは、時間の渦について説明するが決して難しく受け止めるんじゃない。簡単に考えて欲しい。

時間という概念は、遙か昔から存在を意義なくされた概念であるということだ。

つまりは誰が誰に対して、時間の意味を考えたのかが問題なのだ。言うなれば私を例えにすると、私はこの生きている人生で、いや今もそうなのだが、時間を時間と思ったことがないと言うことだ。

だから他人から時間を聞かれた時、普通のことなんだけど困る訳だ。

生まれて一度も腕時計をしたこともなかったし、家にも時計という物が存在していなかったから。

そんな私が、時間の渦について説明するのはいささか問題があると思わないでほしい。

何故なら、そんな私が時間の渦に飲み込まれたのだから。

これは、非現実的な話ではあるけれど私が時間の渦に飲み込まれて、非現実な椅子が存在している話しなんだ。

そんなことを体験したからって、決してこれからの人生に影響があるわけではない。それだけは知って欲しい。

もしかしたら、私の話しを聞いたあと、あなたの目の前に非現実な椅子が存在して現れるかもしれない。

それでもあなたは私と同じように、その椅子を見た時、非現実的な椅子だと感じて困惑するだろう。

前フリはこれぐらいにして、そろそろ本題に入ろうと思ったけど、時間が時間なので店を閉めようと思います。

話の続きはまた今度にしましょう。

そう言って、私は非現実的な椅子を片付けるのだった。

〜おわり〜

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