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はざまの女神基金 タイ

タイの寺院「ワット・プラバートナンプ」が運営するAIDS患者救済看護設備に、はざまの女神基金の支援金が一部寄付されたことをご報告致します。

皆様の温かいご支援ありがとうございました。

玄野マハさんにより、無事に手渡されました。

AIDSとは、HIVに感染したことで免疫が下がり、指定される23の合併症を引き起こした状態を言います。現在の医学ではHIVを排除する術がなく、一定数の感染者がAIDSを発症してしまう現実があります。 感染経路は性感染、血液感染、母子感染などさまざまで、どのタイミングでどのように感染したかを知るのが難しいことも特徴です。

タイは東南アジアのなかで最もHIV感染率が高く、CIAワールドファクトブック(2013年版)によるとタイのHIV感染率は1.10%。たった約1%とも思えますが、世界ランキングでは170位中41位、117位の日本の11倍です。不衛生な環境でのセックスワークをはじめ、タトゥーやドラッグ使用の際に使い回される針などが主な感染原因と考えられています。

家族や地域の偏見の目から逃れるべく、多くのAIDS疾患者が、感染の事実をを明かさず、最低限の治療すら受けられぬままひっそりと暮らしています。あるいは家族によって家から追い出されてしまうことも……。


タイ王国ロッブリー県にある寺院ワット・プラバートナンプ。ここには高僧プラ・ウドムプラチャティによって設立された財団が運営するAIDS疾患者救済施設があります。

ワット・プラバートナンプは「エイズ寺」「エイズホスピス寺」とも呼ばれ、現地人をはじめ国際医療従事者や東南アジア圏ボランティアの方の間ではよく知られています。本格的にAIDS疾患者を受け入れるようになったのは1992年からのこと。AIDSホスピスとして20余年のキャリアを誇る施設です。

病そのものはもちろん、偏見や貧困、孤独にも苦しむAIDS疾患者たちが、最後まで人としてよく生きる権利を持ち、穏やかに最後の時を迎えられるよう開かれています。

仏像の後ろに積まれた土嚢のような袋は、すべてAIDSで亡くなった方の遺灰・遺骨です。写真に写る範囲以外にも数え切れないほどの袋が置かれています。遺族に遺灰を送っても拒絶されてしまうケースも多く、こうして寺院で直接お祀りしているそうです。施設はここを「Life Museum」とし一般公開しています。

施設内「After Death Room」のAIDS疾患者のご遺体。生前、ご本人が「AIDSについて人々に知ってもらいたい」と自ら献体を申し出、このような形で公開しているそうです。この考えに至ったのも、ホスピスで日々静かに死と向き合ったからでしょうか。

AIDSで亡くなった方の遺骨を使い、哀悼の意を込めて作ったモニュメントアート。
先程紹介した遺骨・ご遺体も含め、亡骸を禁忌としないところにタイの文化潮流を感じます。


彼らは残された一日一日をこの寺院のある山の麓で過ごします。
屈託のない笑顔とワイ(合掌のしぐさ)、サワディークラップ(カー)の優しい声、その目は生きる力に溢れていました。

施設内は決して悲壮感ばかりに溢れているわけではないようです。
病とともにありながらも笑顔で生きる彼ら。

この施設で死を待つ人々を起点に、世界中のAIDS疾患者が少しでも安らかにあれるように、HIV感染者のAIDS発症リスクが低まるように、そして何より、HIV感染リスクそのものが低まるように祈りを込めて、寄付をいたしました。


はざまの女神の祝福あれ。

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書記:牟礼菊乃


【追記】
今回の舞台 ワット・プラバートナンプのAIDSホスピスとしての活動や、タイにおけるAIDSの社会的文脈などを知りたい方は、ぜひこちらの論文を読んでみてください。

タイ上座仏教寺院と HIV/AIDS を生きる人々 ── プラバートナンプ寺院を事例に ──
佐々木香澄/櫻井義秀



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