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ゲーム「月に寄りそう乙女の作法2」感想

※この感想は18禁ゲームの感想です。ご注意ください。

 「月に寄りそう乙女の作法」通称つり乙の続編です。

ジャンル:恋愛ADV
媒体:PC

■ 本作の時系列

 「2」となってるだけあって、前作から十数年後の時代の話になります。主人公は前作同様女装主人公かつ服飾学校に通う設定ですが、性格はかなり異なります。
前回と異なるのは、服飾学校に服飾科以外の学科が出来ていることでしょうか。攻略対象のキャラクターは服飾学科以外にもいます。


■ ゲームシステム

 可もなく不可もなく、普通のゲームシステムです。不便はない。以上!





~~~~ネタバレするよ~~~~





■ 主人公が特殊

 前作の主人公とは違った意味で特殊です。カルマ背負ってます。
母親であるルナを世界で一番美しい存在だと思っており、自身がその美しさを引き継いでるのでそこでこじらせており、父親に対してもこじらせてます。
父親へのこじらせ方が凄まじくて……。母親と父親の特殊プレイの性行為を覗いたせいで性欲の対象が女装した父親になってしまうとかどんな罪を背負わされたんだよ。やべえよ。
 まあこういうことが原因で、どのルートでも「そのキャラとちゃんと恋愛してるのかな?」って思ってしまう主人公でした。


■ エンディングについて

 攻略順に書いていきます。

・朔莉エンド

 主人公の容姿というか髪が変態的に大好きな女の子の話。
朔莉の変態性はとても苦手でしたが、それをひっくり返すあの展開は、あのシーンはとても可愛いものでした。声優さんの声も可愛くて!「もー」の言い方が最高で!
でも変態は見せかけと思いきや真性な部分も含んでるらしいので、うん、そこは個人的にいらなかったかな!
主人公にはちゃんとした恋心をもうちょっと育てて欲しかったかなと思いましたが、一応朔莉のことは大事にしてるし、相手も満足してるし、いいのかな。
 このルートでは演劇科内でのいざこざがメインですが、最後の最後、舞台の演出がすごく良かったです。正直、このルートをプレイしてる最中は「え、そこで恋人優先しちゃうの?」と引いていたし、恋人を言い訳にしちゃうと絶対後悔しちゃうなって思ってたんですけど、最後のシーンで全部飛びました。
舞台という装置のお陰で光と影を分かりやすく描写し、こうなりたいという願望と主人公が抱えてる悩み、憧れている母親と主人公自身。うまく「舞台」にハマったなーと思いました。そこから主人公が自己を認識する思考の動き方が好きです。
「ここに立っているのは自分だと理解した」
この一言に彼の人生の引っかかり全てが詰まってる気がします。自分と母が別個のものだと認識することが出来たという持って行き方が、「憧れている母になれない自分」から脱することが出来たような、そんな印象を受けました。

・パル子エンド

 服飾科の女の子の話。奇声は正直引きましたが、その後の可愛らしいパル子・マルキューのテンポに何度癒やされたことか。めっちゃ可愛い!BGMも可愛くてすごく好きです。
告白シーンも本っっ当に可愛くて!ちゃんと青春してる感が出てた!主人公もちゃんと恋をしたらしいので良かった!(豆粒並みの恋心だと思うけど)
 一般クラスと特別クラスの対立がこのお話のメインでしたが、実際にすごくありそうな対立で、なのに解決方法がとても可愛らしいのもこのルートの特徴だと思いました。パル子自身の抱えてるものはとても、めちゃくちゃ、ものすっっごく重いですが、パル子自身の性格もあって重荷にならないというか。
「よし、じゃあ一緒に頑張ろうか!」みたいな気持ちになれるヒロインでした。
 そして最後の衣装が、主人公が、ものすっっっっごく格好良くて!!ヒインなにその色気……すごい……

・ルミ姉エンド

 大蔵家のお祖父様の娘の話。気持ち悪いなあ大蔵家!!!!!!
ルート的にはヒロインの父によって引き起こされた事柄によるピアノ科内のいざこざ。初恋実って良かったし、不正発覚からのルミ姉の打たれ弱さや主人公が力になって助けるシーン、そこから恋をして、最後のイベントでの事件発生、困難に立ち向かってイベントを乗り越える。王道だと思います。思うんですけど……大蔵家気持ち悪すぎやしないか……?
 同じ題材を扱った「兄妹」の乙りろのりそなルートはそこまで拒否感はありませんでした。実際血がつながってるけど、りそなは個人として兄を慕ってたと思うので。でもこれは、血がつながってないからハードルは下がった気がするけども、なんというか、「姉弟」だから好きになった気がするんですよ……。うん、まあ、そういうの駄目でした!!
 話を変えて、このルートはおれつばー(俺たちに翼はないを好きな人)大歓喜な要素をちょこちょこ入れてきたのが嬉しかったですね!!
アンソニーJrくんがロスの話をした時、まさかYFBの3人とマルチネスが出てくるとは思いませんでした!興奮しました!立ち絵がぼかされていたのは面白かったなあ!
そして八十島壱与がおれつばのカルラの声で、「へべ☆らっ☆しゃああ!」と言ったのも嬉しかったー!!!普通の会話にしれっと入ってくるので不意打ちくらいます。噴き出します!楽しいです!!

・BADエンド

 フラグ回収が秀逸だったエンドです。エストルートの派生(だと思う)なのですが、つり乙のBADからのフラグを綺麗に回収している!素晴らしい!こういう使い方をしてくるとは思いませんでした!
東さんの書く文章では、勢いのあるギャグが好きなのですが、このエンドだとギャグがとても良くて!!
 個人的な好みを言えば、エピローグは特にいらなかったかなと思いました。「付いてんじゃん」+シャッター音で終わりの方が、私好みの勢いで終われたかなーと。
 いやでも、エロゲで男の上半身裸が拝めるとは思ってなかったよ。あれこの感想なんかデジャビュ…?それ散る(それは舞い散る桜のように)で似たような事言ったな…?

・エストエンド

 服飾科の女の子というか、学校に通うために主人にした女の子との話。「みんなでテーブルに座ってるけど見えない所で手を握り合う」っていうシーンがとてつもなく可愛かったです。物凄く萌えました。
ラフォーレに拉致される所も全く予想してなかったシーンで、しかも遊星と同じポジションなので「おお!」と思いました。
 このルートで主軸となるのはエストの姉と主人公の正体バレ。このルートで前作での衣遠のポジションとして、ラフォーレが表立って関わってきます。が、前作は衣遠が本当に苛烈で、絶対に勝てそうにないキャラだったから楽しかったのですが、今作だと、うーーん、ぶっちゃけるとちょろいなって思いました!衣遠兄様もちょろいけどね!
 ただ、自分の髪を使うシーンはとても良かったと思います。自身を強く見せようと築き上げてきたメッキがぼろぼろと崩れる描写には胸が傷んだものです。途中まですごく楽しかったのですが、ラフォーレがデレるのがあまりにも早くて(もっと苛烈な事をするのかと思ってた)、そのギャップに戸惑ったままエンディングを迎えてしまいました。
 あ、このルートのコレクションの演出はすごく良かったです!ランウェイの中、曲に合わせてシルエットが浮かび上がるのがすごく格好良かった!!
ジャス子といせたんのじゃれあいなどもとても可愛かったです。このルートに入るまでカトリーヌのこと全く気づかなかったのは悔しい。いやでも声変わりすぎですからね!!そりゃー気づかないよ!!!


■ おまけ

・従兄妹理論とその周辺

 このゲームを買った理由がこれです。これがプレイしたかった!!!
2014年エイプリルフール企画で、「乙女理論とその周辺」で登場したキャラクターが出てきます。も~~~~これだよこれ!大蔵家かわいすぎ!見ることが出来なかったルートも見れてキャッキャ出来ました!楽しい!
 しかしこの世界線は私にとって受け入れがたいものです。だってこれ、ルナアフターアフターで明言されてしまいましたが、ルナルートの後日譚なんですよ。私がものすごく楽しんで興奮して感動して泣いた「乙女理論とその周辺」と一緒の流れになっちゃってるんですよ。
でもこの繋がり方、つり乙ヒロインでルナ以外だと絶対に起こらないでしょう?間接的に「ルナルートこそが至高であり全てのルートを包括する」って言われてる気分なんですよね。そうすると、「乙女理論とその周辺」ってなんだったのって思っちゃうんです。
「乙女理論とその周辺」は、りそなと遊星が手を取り合って、通常の兄弟愛じゃ駄目で恋愛面でも支えていくからこそ対抗出来たお話だったんじゃないんですかね。妹と関係を持つことこそが乗り越えられる条件だと思ってたけど、妹をやる気にさせれば乗り越えられた試練だった、と。それなら、「乙女理論とその周辺」は最初からルナルートの後日譚でやれば良かったのになぁと思ってしまいます。

・ルナアフターアフター

 お優しい衣遠お兄様によって、従兄妹理論→ルナAFAF→つり乙2という流れが分かってしまうお話でした。うん、一から十まで説明してくれてありがとう…どうしてそうなったのか、同じシーンを使ってても流れが違うのは分かったけど、個人的に受け入れがたいのは過程が一緒(同じシーンを使う)ってところなんだよ…。結末が一緒なのは受け入れるよ…。
 しかし、しかしです。ここでも大蔵家はすごかった。というか駿河がすごかった。
「むしろ肉体の関係はその気になればでいいんだ。否定はしないけど特別興味もない」
この台詞見た時リアルで叫んでしまいましたね!そんな台詞で釣れるかってね!爆釣りですよね!!!
 最初駿河のあまりにもストレートな物言いは苦手だったんです。隠せよ、と思いました。でも、まっすぐに伝える事が美徳ですよね。それが彼の美徳ですよね。その美徳は憚られるものではないですよね。誰か駿河の同人誌作ってもらえないですかね????





■ まとめ(ネタバレなし)

 「乙りろの事を切り離せれば楽しかった」です。ウンマア切り離せないから心の底から楽しめなかったけど!
でも今回は前作とは違って、「これはプレイしなくていい」っていうルートがなかったのは良かったです。どのルートも微妙なところはあれど、楽しかったなーと思えるシーンが多々ありました。楽しめました!

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