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過去と現在と未来の嘘とまこと。

「嘘」と一言で言っても、嘘にも
いろいろな種類があると考えられる。

たとえば、その一つはね、
学歴詐称とか経歴詐称とか、つまり
これまでの出来事について真実とは違うことを言って、
相手を騙すかのような嘘、それはさ、
これまでの出来事に対する嘘なのだから
「過去の嘘」とでも言えるかなあ。

そしてまたもう一つは、
振り込め詐欺や結婚詐欺のごとく、
そのときの状況やじぶんの気持ちについて
本当とは別のことを言って、
相手を騙すかのような嘘、これはね、
そのときの状況や気持ちに対する嘘なのだから
「現在の嘘」と言おうかなあ。
寓話『オオカミ少年』の中で少年が叫ぶ嘘も、
この嘘に含まれるだろう。

「過去の嘘」そして
「現在の嘘」と来たのだから、
「未来の嘘」というのもあるんだろう、と考えれば
それはなんだろうかねえ? えーっと、たとえば、
相手と今後のスケジュールの約束をして、
その後、その約束を破る、みたいなことは
約束をした時点では「嘘」では無かったとしても、
結局のところ、この約束は果たせなかったのだから
「嘘」をついた、みたいなふうになっているかなあ。
はたまた、このことと似たこととして
ぼく自身も経験あるっちゃあるとも思うけど、
たとえば、あるものを制作・企画していて
何日後、何か月後、何年後かに
それが完成する、及び、日の目を見る、
というのを宣言して、でも、
それが果たせなかった場合には、宣言した手前、
「嘘」のようになってしまっているから、これもまた
「未来の嘘」と言えるやもしらない。
このケースのことで言うならば、
バンドやミュージシャンさんの新曲や、もしくは、
ゲームや書籍や商品などの発売延期、及び、
作品の制作中止などなどについても、
そのように言えるのかもしれない。

このことから考えられるのはね、
未来の予定について、
相手と約束を交わしたり、かつ、
じぶんなりに宣言をするようなときには、
100パーセント確実に成し遂げられるだろう、という
たしかな目処が立っている場合にだけ、
するべきだなあ、とも思うのよね。

たとえば、でも、制作においては
とある宣言をすることによって
じぶん自身へと発破をかける、
という場合もあると思うけど、それでも
それが達成できなければ、そのことばは
じぶんでじぶんに「嘘」をついた、
というふうにもなってしまうから、むつかしい。

ここまでブログをしるしながら思い出したのは、
河合隼雄先生の書籍『こころの処方箋』では、
【うそからまことが出てくる】(新潮文庫、74頁〜)
ということも書かれていたので、ならば、あながち
「嘘」が完全に悪いものだとは思ってないけど、でも、
「嘘」とは、ことばの中でも
むつかしいものだなあと思うの。

令和5年8月23日


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