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ロジカルであることとは一体なにか?

2週間ほど前にとある業者を訪問したときのこと。

その業者の持つ特殊な加工技術を使って
今までにない商品づくりができないかと
相談に行ったのだが、
実際お会いしてみると私が想像していたよりも
ずっと面白そうな技術が沢山あって、
同行した営業企画のN部長と「へぇ~、面白いですね」を
連呼するばかりの1時間となった。

この面談の結果、先方も是非面白いものを
作ってみたいという意向をお持ちだったので
1月の中旬までに双方でどのようなことができるかを
アイデア出しして、
実際に形にしてみようということになった。

面談を終了して、先方の会社を出てから
私はN部長と並んで駅まで向かっていたのだが
私の頭の中では既にアイデアがいくつか浮かび、
早く関連部署の人とブレーンストーミングをしたいなと
思っていた。

恐らくN部長も同じだろうと思い、
「早く部署に帰ってアイデア出しをしたいですね」
と私が発言すると、N部長は顔をしかめてこう言った。

「うちの部署にはT君以外はロジカルな
考え方ができる人はおらんからなぁ」

この言葉を聞いた時私の頭の中には疑問が浮かんだ。

N部長の部署にいる方々と過去に話をしたことがあるが
そんな風に感じたことはなかったからである。

そもそもロジカルな考え方ができないとは
どういうことなのであろうか。

非常にありがたいことに私はよく人に
ロジカルや論理的だと言われることがある。

私が尊敬するnoterのお一人、shogoさんには
ロジカルnoterという称号を頂いたことがあり
今も私の心の名刺にその肩書を刻んでいるほどである。

だが、私自身は決して自分が取り立てて
ロジカルな思考を持っていると思ったことはない。

なぜなら、周りの人もロジカルだと思っているからである。

日常生活を送る上でも人は色んな選択をしている。
その選択をするときに人は必ず何かしらの
論理を持っているはずである。

もちろん時にはなんとなく選ぶこともあるだろうが、
基本的には何かしらの論理に基づいて
物事を考え、判断しているはずなのだ。

あまりテレビを見ないのでわからないが、
かつてテレビでは健康番組がよく放映されていた。

その中で健康にいいと言われる習慣には
必ず論理が説明されていたはずである。
(その論理が正しいかどうかは別の議論だが)

それを当たり前のように受け取っている時点で
多くの人はロジカルな考えを持っていると
私は思っていた。

だが、N部長曰く、部署の人たちは
ロジカルな考えができないという。

では一体ロジカルである人と、そうでない人は
何が違うのであろうか。

そう考えた時にふと私がよく言われる言葉が
頭に浮かんできた。

「よくそんなことに疑問を持つよな」

この言葉は私が何かを調べたりするときに
その結果を人に言うと言われる言葉なのだが、
半ば呆れられたような口調で言われることが多い。

この言葉を発する方からすれば
表面的な疑問だけ解決できればいいのに
なぜそこからさらに掘り下げるのかが
わからないという意味なのであろう。

だが、私からすればそこまで掘り下げないと
本当の理由や原因が見えないと思っている。

何か物事に出会ったとき、それがなぜ起きるのかと
疑問に思うことは誰しもある。

そして、それを調べ掘り下げることは誰もがする。

だが、その時に得られた答えが真の原因であるケースは
あまり多くない。

風が吹けば桶屋が儲かるという話があるが、
現実の世界で起こる物事の多くは
これと同じように連鎖的に何かが起こり
その結果として起こっているのである。

例えば、道に銀杏が落ちているのに遭遇するとする。
ご存じのように銀杏は独特の匂いがあるが、
この時に「銀杏の匂いは一体何だろう?」と思ったとする。

この時にGoogleか何かで調べれば
その匂いの主成分が酪酸であることがわかる。

ここで「へぇ」と思いスマホをポケットに入れたとする。

だが、これで分かったのは単に匂いの主成分が
酪酸ということだけである。

これは全くロジカルとは言えないだろう。

だが、そこでもう一つ疑問を考えてみる。

なぜ銀杏は数多ある匂い成分から
酪酸を選んだのであろう?

そうして調べてみると、酪酸が人間以外の動物にも
不快に感じられる成分であること、
だが微量ならばその匂いは我慢できないレベルではないことが
わかるはずである。

余談ではあるが、匂いの強いチーズの
香り成分には間違いなく酪酸が含まれているからである。

どうしても動物に食べられて欲しくないならば
シンプルにもっと毒性の強い毒を仕込むか
もっと嫌悪感を持つような匂いを使えばいい気がするが
そこであえて酪酸を選んだのは
特定の動物には実を食べてほしかったからと
考えるのが妥当である。

恐らくその動物はあまり咀嚼をせずに飲み込むので
フンという形で自分の子孫を物理的に
拡散させることができる。

そう考えると銀杏が臭いことも納得できるだろう。

ロジカルな考え方とはまさに一つの疑問に出会ったとき、
そこからさらにもう一掘りする考え方のことを言うのだ。

そして、私はそうして物事を掘り下げるのが
たまらなく好きである。

何事に対しても掘り下げてみたいと思うし、
その結果得られた結果を見てとてもワクワクする。

まさにロジカルであることを楽しんでいるのであろう。

N部長は自分の部下がロジカルでないと言ったが、
私は彼らがその楽しさを知らないだけだと思っている。

せっかく面白い技術を持っている業者さんに出会い
それを自分たちの技術とどう組み合わせるかという
エキサイティングなテーマにであったのだから
彼らにも仕事の中でロジカルに掘り下げてみる楽しさを
知ってもらういい機会にできれば嬉しい。

新しいプロジェクトを進めるのは
骨が折れることも多々あるが、
そんなことを想像するとワクワクしてくる。

来年も楽しい年になりそうである。

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