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なぜ”うれしいひなまつり”は寂しいのか

先日の日曜日、ひな人形を出した。

毎年存在を忘れてギリギリに出すのだが、
今年は娘が自ら出したいと言い出してくれたので
珍しく1週間以上部屋に飾られることになった。

まずは土台から組み立てていき、
次に人形や餅などの飾りを置いていくのだが、
毎年どこに何を置くかわからなくなる。

タブレットで正しい置き方を調べ
それを見ながら娘と並べていくと
ものの20分ほどで作業は完了した。

出す前は1時間ぐらいかかるようなイメージだったので
何だか拍子抜けしてしまったが
やはり部屋に人形があると雰囲気が出るものである。

娘が折り紙で作った人形もあちこちにいるが(笑)

ひな人形を出したので
これで一つミッションが完了したと
ひと安心したところで娘がおもむろに
「パパ、一緒にひな祭りの歌を歌おう」と言い出した。

娘の中ではひな人形を自分で出したことで
気分が盛り上がっているらしい。

せっかくこのように提案してくれている娘に
「一人で歌っといて」というのもなんだか
可愛そうな気がするので、
快諾して歌を歌うことにした。

とはいえ、私はこの歌が子供の頃から
あまり好きではないので、
1コーラスだけ一緒に歌うことにした。

その歌詞がこちら。

あかりをつけましょ ぼんぼりに
おはなをあげましょ もものはな
ごにんばやしの ふえたいこ
きょうはたのしい ひなまつり

童謡「うれしいひなまつり」の歌詞より抜粋

歌詞自体はひな祭りにぴったりな感じである。

だが、いかんせんメロディが寂しいのだ。

私が子供のころからこの曲を苦手なのは
まさにこれが理由である。

最後に「今日はたのしいひな祭り」などと言いながら
全く楽しそうな感じがメロディからは
伝わってこない。

一体なぜこんなに寂しいメロディにしたのだろうか。

タイトル通り「うれしいひなまつり」ならば
もっと明かるいメロディをチョイスすればいいのに
わざわざ寂しいメロディを選ぶのは
この曲の裏に何か悲しい物語でもあるのではないか。

昔から童謡には都市伝説のような話が
付きものなので、
私は勝手にこの曲もそうであろうと
思っていた。

だが、今の時代にはGoogle先生がいるではないか。

仮に都市伝説があるならば
それを知ることで曲のイメージが変わるかもしれない。

娘と歌い終わった後に
「なんでこの歌はこんなに寂しい音なんやろうな」
と勝手な仮説を立て合いながら
一緒にGoogleで調べてみることにした。

すると、何のことはない。

この曲が書かれた昭和の初期に
日本の音楽でよく使われていた
ヨナ抜き音階というもので作曲されたため
西洋音楽的にいう短調になるという理由であった。

私は音楽には極めて疎いので
このヨナ抜き音階というものに
イマイチピンとこないのだが、
通常の音楽が7音(ドレミファソラシ)に対し、
5音で構成する音楽技法らしい。

有名なものだと沖縄の琉球音階も
同じ5音音階の一つ。

この時どの音を飛ばすかの違いがあり
ヨナ抜き音階とはファとシがない音階の
ことを指しているらしい。

これが理由でなぜ短調になるのかは
理屈がわからないが、
どうやらこの影響で「うれしいひなまつり」は
寂しいメロディになってしまうというのだ。

これは当時の流行りのようなものらしく、
今でも演歌などではヨナ抜き音階が
主流として使われているそうである。

言われてみれば演歌は何だか寂しいメロディが多いが
それはまさに「うれしいひなまつり」と同じ
理屈だったのだ。

かつて日本では演歌が今のポップスのような
感覚で聞かれていたというので、
この「たのしいひなまつり」のメロディが
寂しいことに当時の日本人は何ら違和感を
持つことがなかったのであろう。

何だかそう思うと
この曲の聞こえ方も少し変わってくる気がした。

まだまだ2月20日なので、スーパーなどで
「うれしいひなまつり」を聞く機会があるだろうが
今の時代あまり触れることのないヨナ抜き音階を
あえて楽しんでみてもいいのかもしれない。

ちなみに同じ5音音階である
琉球音階はどちらかというと
明るいメロディになる音階である。

「たのしいひなまつり」を沖縄音階アレンジしてみると
また一味ちがって面白くなりそうである。

なんて思いながらYouTubeを調べてみると
こんな動画があった。

何ともスゴイ世の中になったものである。
い~や~さぁ~さぁ~


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