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漂白剤と黒いカバン

あなたは衣類を漂白していないだろうか。

お気に入りの服に付いてしまったシミを落とすため。
服やフキンを清潔に保つため。

色んな理由はあるだろうが、
もしあなたが漂白する理由が2番目に上げた
”清潔に保つため”ならば
認識を変えてみてほしい。

今日はそんな話をしようと思う。

「なんでまた急にそんな話題なんや」
と思うかもしれないが、
ようこさんが書かれた下記の記事を読んで
ふと記事にしようと思い立ったのだ。

ぜひようこさんの記事も読んでみてほしいのだが、
この記事では黒という色についての
気持ち悪さについて書かれている。

色そのものの話ではなく、黒という色がゆえに
汚れても目立たず、逆にどれだけ汚れているかが
わからないという気持ち悪さがあるということである。

実際私にはカバンについて苦い思い出がある。

中学生の頃、当時うっすら気になっていた
Nさんという女子が生成りの帆布でできた
カバンを持って通学していた。

そのかばんに近いものが欲しいと思い、
私はカバンを買い替える時にNさんと同じような
生成り綿の生地でできたカバンを選んだのだが、
使い始めて1か月もすると見事なまでにカバンは
汚れてしまい、
持つのが恥ずかしくなってしまったのだ。

それまで使っていた黒のカバンでは
全く問題なかったのに、
白に近い色を選ぶのは難しいものだなと
その時に私は強く感じた。
(Nさんは不思議なぐらい汚さずに使っていたが
逆にどうしていたのか不思議である)

しかし、これも黒がゆえに汚れがついても
わからなかっただけだと思うと、
黒いカバンの表面はとんでもないことに
なっていた可能性が高い。

見えないという有難さを享受すると
汚れている可能性も常につきまとうのだ。

この話と漂白に何の関係があるかと
思われるかもしれないが、
実は漂白するという作業は
黒のカバンを持つことと同じことなのである。

これは漂白という作業で起こっている化学反応を
考えてみるとよくわかる。

実は漂白とは繊維についた有色の汚れ成分が
漂白剤により色素成分が分解されて無色に
なったに過ぎないのである。

醤油をこぼして服にシミが付いたとしよう。

醤油の中には色んな成分が含まれているが
その色素成分はアミノ酸と糖が反応したものである。

醤油を作る工程で大豆からでたタンパク質が
分解されてアミノ酸が出てきて、
そこに糖が反応して、酸化を繰り返すことで
独特の褐色が生まれるのである。

その成分が繊維の奥に入り込んで
乾燥してしまうと、
含まれているタンパク質が固まってしまい
シミになってしまうのだ。

こうなった時に私たちはたいてい漂白をする。

漂白をすれば醤油のシミもキレイに落ちるからである。

だが、化学的に見れば漂白剤に含まれる
強烈な還元剤の力によって、
醤油の色素成分還元されてしまい、
色が見えなくなっただけなのである。

つまり、本質的に汚れの成分が落ちたわけではないのだ。

それゆえに、しばらく使ってその汚れ成分に
長らく空気が触れると酸化が起こってしまい、
再び色素が出てきてしまうことになる。

夏物衣料を漂白して使っていたのに
一冬越して再び出したときに妙に汚く見えることがあるが、
これはまさに汚れ成分が再び酸化したからである。

まさに、これは黒の服やカバンを持つことと
何ら変わらない。

汚れはそこにあるのに、ただ見えていないだけ。

もちろん、最初から見えない黒ならば
そもそも洗わないという可能性もあるので
そこには大きな隔たりはあるが、
本質的には黒を使うことと漂白することは
同じなのである。

なので、冒頭に書いたように
繊維製品を清潔に保つために漂白をしているならば
それは少し間違っているのである。

もちろん漂白剤はその強い還元作用ゆえに
菌やウイルスにも効果があるので
その意味では清潔に保てているという側面はあるが、
別に菌やウイルスを除去するのが目的ならば
何も繊維を傷める漂白剤である必要はない。

いかがだろうか。

こうして見てみると漂白剤に対する
見え方が変わってきたのではないだろうか。

ちなみに我が家は上記の理由で
漂白剤は基本的に使わなくなった。

シミができたなら、基本的に中性洗剤でもみ込んで洗うし
どうしてもそれが落ちないならば、
繊維全体を染めてしまうか、潔く捨ててしまう。

今の時代、エシカルな消費を考えるならば
むしろ多少のシミがあっても気にせず着るぐらいが
理想なのかもしれない。

この記事であなたの漂白剤に対する考え方が
少しだけでも変わったなら嬉しい。

久々に情報のある内容を記事にしたら
なぜだかとてもまとめるのに苦労してしまった。

何となく書いていくスタイルに慣れてしまった
せいなのかもしれない。

最近Kindleを書いていないが、
有料で情報量の多い文章を書くことも
たまにはしていくべきなのかもしれない。


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