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昔の”苦手”は食わず嫌い

息子がサッカーを習い始めて1年になった。

習い始める前も友達とサッカーばかりして
遊んでいたらしいが
やはり習い始めて、色んなチームと戦っていく中で
明らかに上手くなったなと思うことが増えた。

特に息子は三苫選手に強い憧れを抱いているので
家に帰ってからもドリブルの練習を
繰り返しており、試合の中でもいいドリブルを
しているなと思うことがしばしばある。

そんな息子であるが、ある壁にぶつかっている。

それはリフティングの壁である。

サッカー経験者で大学までガチでやっていた元同期が
前職にいたのだが、
彼が「サッカーをしていた」と人にいうと
「リフティングは最高で何回したことがありますか?」
とよく聞かれると語っていたことがある。

それぐらい一般の人からすれば
”リフティングが上手い=サッカーが上手い”という
方程式が刷り込まれているのである。

私はサッカーの経験がないので
漠然とこの方程式を信じたまま大人になり、
そして息子がサッカーを始めた。

だが、やはりサッカーにとってこのリフティングは
基礎的な要素が非常に多く盛り込まれているらしく
息子が所属するチームでもリフティングを
連続50回できるようにならないと
トレーニングシューズ(普通の靴底)から
スパイクに履き替えてはならないというルールがある。

普通の靴底とスパイクでプレイの感じが
どれほど異なるのかは私にはまったくわからないが、
このようなルールがある以上はスパイクで
プレイをしたいと思うのが自然であろう。

他のチームメイトも「我こそは」とリフティング回数を
競うのだろうと私は勝手に想像していた。

ところがである。

息子も、そのチームメイトも20回前後までは
難なくできるようになったのだが、
それ以上になると一気にうまくいかないのである。

私からしてみれば20回も50回も
あまり変わらないきがするのだが、
どうやら20回前後に大きな壁が存在するらしい。

その壁を超えることで
きっと一つの成長を迎えるのであろう。

そんな風に私は思い、息子たちの様子を静観していた。

だが、20回達成したという報告から
数か月経ってもいまだに同学年のチームメイトは
だれも50回を達成していないというのである。

先日試合を観戦していた際に、
お兄ちゃんがこのクラブの卒業生である同級生の親と
この話題について話をしたのだが、
どうやらリフティングの状態は学年によって
差があると話をされていた。

そして、そのブレイクスルーとなるのが
誰か一人が50回を達成することらしい。

今のところ息子の学年は誰も達成をしていないが、
最初は「自分こそが一番になる」と思っていた
チームメイトたちも、
なかなか周りも自分も達成しない状況に慣れてしまい
ハングリーさが無くなったようである。

この状況は決していい状況とは言えないだろう。

リフティングが上手くならないからと言って
他の技術は上達しているので
別に問題ないと言えば問題ないが、
何だかお互いがなぁなぁになってしまう気が
私はしていた。

そこで息子に1番に達成してもらえば
他のメンバーも俄然やる気が出るのではないかと
息子の自主練に付き合うことにした。

だが、残念ながら私にはサッカーの経験がないので
当然の様にリフティングはできない。

YouTubeでコツなどを調べて
私なりに調べてみたのだが
言っているポイント自体はわかるものの
やはりボールを実際に蹴ってみないとわからない。

そこで、ここ先日寒い中夜に
庭でリフティング練習をすることにした。

私がいくら息子にアドバイスしたとしても
自分ができなければ説得力がないと思ったからである。

YouTubeで言っていたコツを意識しながら
ボールを蹴ってみるのだが、
どうにもうまくいかない。

蹴っては明後日の方向に飛んでいき、
それを繰り返していた。

だが、どうすればいいのかと
試行錯誤しながら蹴っていると
ボールに対して蹴るべき場所と
足の当てるべきポイントが
ピッタリとハマった時に
綺麗にボールが真上に上がることに気が付いた。

あとはそれをどのように再現するかを
考えながらトライすればいい。

そう思い、色々と試していると
驚いたことにリフティングが
かなり上達したのである。

息子たちがぶち当たっていた20回の壁は
難なくクリアし、
間もなく50回まで到達しそうになった。

まさか自分にリフティングができるなどと
思ってもみなかったので驚いたのだが、
ふと見てみると、練習し始めてから
40分も経過していた。

寒空の夜に、アラフォーのおじさんが
ボールを蹴っている姿は何とも言えず
滑稽であるが、
時間を忘れて私はボールを蹴ることに
夢中になっていたのである。

案外大人になって物事を考える力がついてから
こうしてスポーツに向き合ってみると
子供の頃とは違う楽しさがあるのではないだろうか。

以前に大人になってから部活に向き合ったら
楽しいのではないかという記事を書いたことがある。

それはあくまで自分が学生時代にしていた
スポーツに今になって向き合ってみると
楽しいのではないかという意味で書いたのだが、
実は自分が未経験だったとしても
それは同じなのではないだろうか。

何だかコツをつかむとリフティングも楽しいし、
球への足の当て方を変えることで飛び方や
回転も変わるのはとても面白い。

これは学生時代の私には全くわからなかった
楽しさである。

私達はこんなにも楽しめる機会が目の前にあるのに
それらを食わず嫌いして、
見向きもしていない状態なのだ。

そう思うととてももったいないことのように
思えてきた。

あなたにも自分には合わないと
昔に諦めてしまった物事はないだろうか。

それはあくまで過去のあなたに合わなかっただけで
今のあなたにはとても合うかもしれない。

もしあなたがそれに少しでも興味があるなら
大人になった今、ぜひ試してみてほしい。

きっと子供の頃には見えなかった
楽しさが見えてくるはずである。

ちなみにせっかくコツをつかんだので
大きい場所で思い切りボールを蹴りたい欲に
私はいま憑りつかれている。

今日は日曜日。
子供たちを公園に連れて行くという名目で
広い芝生の公園に行き
思い切りボールを蹴るのを今から楽しみにしているのは
ここだけの話である。





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