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夏はどうにも悩ましい時期

昨日娘が保育園のイベントに参加するので
家族でそれを見に行くことにした。

雨が降ったりやんだりしている中だったので
イベント自体が開催されるかハラハラしたが、
なんとか開催されることになった。

そんな天気だったので、昨日はとても湿度が高く
少し外に出るだけで汗なのか湿気なのか
わからない水分が肌にまとわりついてくる。

なので、私はTシャツに薄手のズボンという出で立ちで
出かけようと着替えをしていた。

だが、そこで一つ気になることが出てきた。
それは何色のTシャツを着るべきかということである。

昨日のイベントは屋外で開催されるものなので
泥ハネしてしまうと、白Tシャツは汚れてしまう。

白Tシャツはその白さが持つ清潔感が命である。

汚れてからすぐに処理ができない外出の場合は
白は適切ではないと思い、
白Tシャツを却下した。

次に目に付いたのは黒Tシャツである。

これなら少々泥ハネしても、後で長せば目だたないし
何の問題もないように見える。

だが、私には黒Tシャツに苦い思い出があった。

中学生のころ、夏休みに友達と近くの川に
釣りに行く際、黒Tシャツを選んだ私は
汗をびっしょりかきながら釣りを楽しんだ。

暑い日だったせいか汗はすぐに乾き、
自分自身は特に不快感もないまま釣りをしていたのだが、
悲劇は帰り道に起こる。

自転車で家路に向かっていると、
当時私が好きだったAちゃんと偶然出会ったのである。

「あれ、しんちゃん釣り行ってたんや」
Aちゃんが話しかけてくる。

それが嬉しくて少し会話をしていると
「それにしてもスゴい汗やね」とAちゃんが
おもむろに言った。

どういうことだろうと思って自分のシャツを見ると
見事なまでに汗が乾いて塩が浮き出ていたのだ。

いまの私なら軽く答えられるのであろうが、
当時中学生の頃の私はそれがたまらなく恥ずかしく、
何だかよくわからない会話をしてAちゃんと別れた。

そんな苦い記憶があるのだ。

昨日の屋外はとても暑かったので、
もしかすると同じように黒いシャツに
汗の塩分が出てきて目立つかもしれない。

そう思うと、何だか黒も選びにくくなってきた。

ではこれでどうだとグレーのTシャツを出して
ズボンと合わせてみる。

色のバランス的には悪くない。

グレーなら黒と同じく汚れも比較的目立ちにくいし、
少々汗をかいて乾いて塩が浮いても目立たないだろう。

これがベストアンサーかと思い、
結局私はグレーのTシャツを着る事にした。

そうして、イベントに出かけると
開催自体ぎりぎりという状態だったにもかかわらず
多くの人が会場につめかけていた。

イベントで頑張る娘を目を細めながら見ていると
息子が私にふと声をかけた。

「パパ、すごい汗かいてるな」

ん?

今日は色々考慮してグレーのシャツにしたはずなのに
なぜだ?

と思いながら自分のシャツを見て
グレーは汗で濡れた箇所がくっきりとわかることに
気がついてしまった。

グレーがベストチョイスと思っていた私の考えは
実は違ったのである。

では、夏は一体何色のシャツを着るのが
ベストアンサーなのであろうか。

汚れることを気にしないのであれば白が
一番いいのだが、
子育てをしていると汚れからはどうにも逃れられそうにない。

かといって、汗をかくのはどうしようもない。

冬ならば、アウターを着るので全く問題ないのに
夏というのはどうにも悩ましい時期である。

そんなことを考えながら、娘のイベントが無事終わり
シャツの話を妻にしていると
「そんなん気にせんかったらいいだけじゃない?」と
至極まっとうな言葉を頂いてしまった。

私が考えるべきはシャツの色ではなく、
細かな事を気にしてしまう自分の心なのかもしれない。

夏はどうにも悩ましい時期である。

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