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家族時間と心のトゲ

昨日は忙しい午前だった。

色んなイベントが朝からあり、
朝活が終わったぐらいから
非常にバタバタしてしまった。

そんなあわただしい午前がようやく終わり
少し家でゆっくりしたいと思いながら
帰宅すると、
そこからは家事が待っていた。

食事の準備や食器洗いを済ませ
家族で食事をとり終わった頃には
なんだか心がピリピリとしているのを
感じ始めたのだ。

私は昔から一定の疲れを超えると
心の中にトゲのようなものが
表れるのを感じることがある。

これは子供の頃からあった気がするが、
それがトゲのようなもので
疲れをトリガーにして出てくるのを
認識したのは割と最近である。

このトゲが出てくると
何となくイライラしたような気分になり、
あまり人と話したくなくなるのだ。

しかし、子供たちはそんなことはわからないので
つぎからつぎへと話しかけてくる。

子供たちにトゲの話をしてもいいのだが
この概念はなかなか理解してもらえそうにない。

そこで、思い切って寝室に行って
少し眠ることにした。

寝ているパパにまで話しかけることは
さすがに子供たちでもしないだろうし、
何よりこのトゲを消すには疲労を取ることが
一番の解決法だからである。

昼寝をするときにはいつも20分ほどで
自然と目覚めるのだが、
昨日はかなり疲れていたらしく
なかなか目覚めなかった。

すると妻が寝室に私を起こしに来て
家族で買い物に行こうと言い出した。

私的にはもう少し寝ていたかったが、
家族との時間も大切である。

とりあえずトゲが心の中から
消えているのを確認してから
出かける準備をし始めた。

家族で買い物と言いながら
買うものは妻のほしいものである。

我が家では妻の買い物に家族で付き合うのが
休日の定番スタイルである。

早速目的のお店に着いて
お目当てのものを探しに行った。

どうやらそのお店にあるものは
シックリこないらしく、
違う店に行こうと言い出す妻。

少しブーブー言い始める子供たちをなだめ
そこから30分ぐらいの場所にある
違う店に車を走らせた。

午前動き回った疲れが出たのだろう。
目的地に着いた頃には
子供たちは眠ってしまっていた。

さすがに寝た子供を2人もつれて
買い物には行けないので、
一人で店内に入る妻。

しかしその店から出てきた妻は
手ぶらだったのだ。

なぜかを聞いてみると、
その店にあったのも悪くなかったが、
比較をしてみると最初の店にあったものが
よかったとのことであった。

そう言われては仕方がない。
同じお金を出すのに納得のいかない買い物は
してほしくない。

ちょうど帰り道に最初の店があるので
その店に寄って買って帰ることにした。

そうして家に帰るともう晩御飯の準備を
しないといけない時間になっていた。

急いで料理をしはじめ、
食卓に料理を並べ終わったころには
また心の中にトゲが出始めていた。

トゲがあるまま家族と接してしまうと
自分の言葉にもトゲが混ざってしまうことが
しばしばあるので、
私は子供たちを風呂に入れたあと
そのまますぐに眠りについた。

布団に入りながら私は
自分の父親のことを思いだしていた。

私の父はあまりペラペラ話す人ではなく
どちらかというと気難しい人だった。

楽しそうにしているかと思えば
ピリピリしている時もあり、
そのピリピリしたときのイメージが
子供の頃の私には強かった。

もう亡くなって20年近くになるので
今では楽しそうにしていた頃の思い出が
不思議と強く残っているのだが、
もしかすると当時の父も心の中に
トゲがあったのではないだろうか。

父はそれがいつどのような条件で
出てくるのかを自覚してコントロールが
できなかったがゆえに
私たち子供にとって気難しい印象が
残ってしまったのであろう。

今となっては推測することしかできないが、
こうして当時の父と同じような年齢になって
理解してやれることが多くなった気がする。

今はSNSに自分の思いや考えを
誰もが発信できる時代である。

そうして発信することで自分の中の
トゲという存在に気づくことができたのは
私にとってとても大きなことなのだ。

年々父が亡くなった年に近づいていく。

これからもあの時父がどのようなことを
考えていたのかがわかる日が来ると思うと
寂しくもあり嬉しい気持ちもある。

年を重ねるとは不思議なことだと
感じながら眠りについた一日であった。







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