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アシストとは何か

昨日息子とサッカーの話をしていたときのこと。

海外のリーグで活躍する選手の話題になった。

いまでこそ海外のリーグで活躍する選手が
日本代表には沢山いるし、
むしろ海外勢がスタメンの多くを占めるほどだが
今から20年ほど前にはそんなことはなかった。

そんな話を息子にしていたとき、
私の頭の中にずっと引っかかっていて
ほこりをかぶっていた言葉が
ふと浮かんできた。

それは「アシスト」という言葉である。

サッカーではゴールを決めた選手が
シュートした際にパスを出すことをアシストという。

いうまでもなく英語のAssistから来ており、
assistは”手伝う、手助けする”と言うような意味である。

アシスタントなどという言葉でも使われるので
私達日本人にとってもなじみ深い英単語の一つだが、
この「アシスト」という言葉が一時ニュースで
よく使われていた。

当時珍しかった海外リーグでプレイする選手が
「昨日の〇〇選手は2アシストの活躍を見せました」
などのような言い方でいつも紹介されていた。

今もそうであるが、私は当時からサッカーに
あまり興味がなかったので、
この時に初めて「アシスト」という言葉を聞いたのだが、
日本人選手が海外で活躍するのはやはり嬉しいので
何となく好意的な意味合いでこの言葉を捉えていた。

だが、ある時からこの言葉に対する違和感を
感じるようになってきたのである。

それはなぜか?

この言葉を褒め言葉として使うことで
何となくゴールに絡むことだけが素晴らしいように
見えてしまうからである。

言うまでもなくサッカーには攻めるポジションと
守るポジションがある。

攻めるポジションの選手はゴールやアシストの数で
評価をすることができるかもしれないが、
ディフェンスの選手にはそのような指標は
私が知る限りない。

しかし、それは大した問題ではない。

ディフェンスとしてしっかりとチームに貢献すれば
それは試合の結果に表れるからである。

だが、攻める側だけに「アシスト」という言葉を
使うことに私は大きな違和感を持ったのだ。

先ほど書いたようにアシストとは
手伝う、手助けするという意味であるが、
ゲームに対して手伝い、手助けしているのは
決して攻める側の選手だけではない。

さらに、攻める側の選手にしても
ゴールにつながらなくとも相手に対して
プレッシャーをかけるようなパスを
出す事は間違いなくあるであろう。

つまり、何が言いたいかというと
全員がゲームに対してアシストしているはずなのに
選手をゴールに絡むパスの数字で評価するのは
非常にナンセンスだということである。

私は数年前からテレビのニュースを全くというほど
みなくなったので、
今でもテレビでこの「アシスト」というモノサシで
選手を評価しているかはわからない。

しかし、息子がサッカーをし始めて
少なからずサッカーに触れる機会が多くなった
いまだからこそ、
余計に「アシスト」という言葉に違和感を
強く持つようになった。

中には「そんなことどうでもいいやん」と
思われる方もいるかもしれないが、
言葉というのは思ってい以上に人の心に
影響するものである。

実際子供たちのサッカーを見ていても
圧倒的に攻める側のポジションを希望する子が多いのは
ゴールを決める、アシストをすることに
価値を感じる子供が多いからであろう。

職業に貴賤はない。
それと同じようにポジションにも貴賤などない。

多様性を認めようと声高に叫ばれるこの時代だからこそ
「アシスト」という言葉は
全員に使われてしかるべきではないかと思うのだ。

私達が生きている社会でもどうしても
目に見える部分がフィーチャーされがちだが
目に見えない部分でも間違いなく支えてくれている人がいる。

皆が自分なりの形でアシストしている社会を
皆で賞賛し合っていければいいなと思う。

ちなみにアシストの定義を調べてみると
どうやらJリーグで明確な基準があるわけではなく、
マスメディアが独自にカウントしているものらしい。

つまり定義はあるようでないということである。

この記事があなたにとって何らかの
アシストになっていれば嬉しい。


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