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翻訳について、翻訳家について

【その11】


「作家の喜びは、書くという行為そのものにあり、書くことで心の重荷をおろすことにある。ほかには、なにも期待してはいけない。称賛も批判も、成功も不成功も、気にしてはならない」


サマセット・モーム
『月と六ペンス』
訳者 金原瑞人 
新潮社 平成26年 15頁


新潮社からサマセット・モームの新訳が平成の終わりから令和にかけて出版されていて、全て購入して読んだのだけど、これはとても良かった。



サマセット・モームの書いた小説が面白いことは大前提として、訳者である金原瑞人さんの仕事による部分も大きい。
翻訳ものを沢山読んできた身としては、翻訳家の仕事というのはすごく重要だと思っているし、実際に重要で間違いないと断言できる。

読んでいて、作家本人よりも翻訳家の顔がチラつくとがっかりしてしまい、新訳だろうが昔の訳のバージョンを求めて古本屋へ行くことになる。


その作家へのリスペクトが感じられる翻訳は、読んでいて気持ちがいい。きっとかなりの読書家で、読書が好きなんだろうと想像してしまう。

私は素晴らしい仕事をする翻訳家たちのことを心から尊敬している。




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