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CD音源のラウドネスをどうするか問題

 皆さん、自作の楽曲をCD化するとしたらラウドネスはどのくらいにしますか?もし仮に最近のサブスクなどで採用されているラウドネス・ノーマライズの基準値である-14LUFSあたりに調整した場合、おそらく世の中の大半のCDよりかなり小さい音で再生されると思います(再生機器やアプリ側の設定にもよりますが)。

今回は僕の新譜のラウドネスについてのお話です。ボカロPや楽曲制作者だけじゃなく、リスナーの方にも読んでもらえたら嬉しいです。

※補足
いわゆるラウドネスノーマライゼーションに対する考える方については、以下の記事にまとめたので、よかったら併せて読んでみてください。

サブスク音源とCD音源

 ご存知とおり、YouTubeやニコニコ動画などの動画投稿サイトや、SpotifyやApple Musicなどの音楽ストリーミングサービス(所謂サブスク)では、ラウドネス・ノーマライズにより、基準値を超える大きさの音は自動調整され、各楽曲が一定の大きさの音で聴けるようになっています。これによりかつての音圧マシマシで、音はデカければデカいほどいい!みたいな音圧戦争は終わったと言われていますが、僕の中で戦いはまだ終わっていません。
 オマエは何と戦っているのか?と。はい、過去の自分の作品です。

 上に挙げたストリーミングのような各サービスでラウドネス・ノーマライズが導入されたからといって、物理CDの場合は何か基準となるラウドネスが存在するわけではありません。なので、世の中の各CDに収録された曲のラウドネスはバラバラな状態で、それがそのまま再生する音に反映されます。但し、再生するアプリ側などに音量の自動調整機能が付いている場合は、有効化することで一定の音量で再生することはできます。こういった音量の自動調整機能が必ず有効化されていて、誰もが同じ条件で聴くという前提であれば何も悩む必要はないのですが、自動調整機能の有無や、設定の有効/無効によっては、各CD音源の楽曲が一定ではない音量で再生されることがあり得るいうのが現状だと思います。(個人的には、この手の自動調整機能がある場合、ほぼ無効化しています。)

自分の中での基準

 そこで、あくまで僕の場合、ひとつの目安として自分の過去作を基準にしたラウドネスになるよう調整しています。僕個人の作品間では整合性のあるラウドネスにしたかったのです。

 ただ一方で、過去作がそれなりに大きめのラウドネスになっていることもあって、今もそこを基準にすることに少なからず抵抗を感じ始めています。過去と同等のラウドネスにしつつ、より今の自分が納得いくサウンドに仕上げようとするとき、どうしても過去の自分と戦ってるような気分になる。思ったように仕上がらなくて苦労することもある。これはなかなか悩ましい問題です。むしろ、過去作と同等のラウドネスにすることを目指すのではなく、過去と決別して今最も良いと感じるサウンドを目指す方が大事なんじゃないかと。最近はそう思うようにもなりました。

新譜のラウドネス

 そういうわけで、新作「Lost + Found」では、これまでよりほんの少しだけラウドネスを抑えて-7LUFSあたりに調整することにしました(これでもまだかなり大きい方ですが)。そして、今後は更にもう少し抑えるかもしれない。おそらく、自分の中で適度な圧縮感とダイナミクスを両立した心地よいサウンドは、-9LUFSあたりかなと思っています。この辺はジャンルとか個人の感覚によるものなので、あくまで主観ですけど。

 なので、いつも僕のCDを聴いていただいている方が(いつもありがとうございます!)、今回の新譜や今後リリースする僕の作品の音量が以前より小さく、物足りなく感じたら、再生機器側の音量を少しだけ上げて過去作と同じくらいの音量感で聴いてみてください。むしろ以前よりダイナミクスと迫力のあるサウンドを感じていただけると思います。
 人間の耳はより大きな音を良い音と感じる傾向がありますが、それは錯覚です。大事なのは同じ音量で聴いたときのサウンドを比較することです。(ここでいう音量は言わずもがなですが、つまみや設定の位置が同じということではなく、聴覚上の音量です)

 余談ですけど、リアルイベントで時々、スマホなどに入れた僕のアルバムのリストを見せて「いつも聴いてます!」とか、「このアルバム良かったです!」とか言ってくださる方がいます。いやー、これはほんとに嬉しい…。以前ツイートしたように、僕の音楽活動の理想としては、誰かの生活の一部にさりげなく自分の曲が溶け込んでいてほしい。スマホに曲を入れて持ち歩いてもらって、時々聴いてもらえているのなら、それはまさに理想的な溶け込み方です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。ではまた。

Header image: Freepik


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