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訪問リハビリは「Time & Times」で手触り感を

脳は鈍感

突然ですが、昨日のあなたと、今日のあなたに違いを感じますか?
人の脳は自分の体を1日単位で大きく変わった時に「違和感」として感じることがあります。しかし、微小に変わった時には「平常」としか感じません。

バカの壁で知られる養老孟司氏は過去にこのように言われていました

生物の体の多くの部分は、いつも入れ替わっている。私たちの体も10年も経てば、かなりの部分は入れ替わってしまう。だから、10年ぶりに会った友人には記憶に残っているから「久しぶり」となるのだが、体としては「初めまして」となる。

これを読んで、面白いなって思いました。
10年経てば、代謝によって物質としての体は新しく、新しくなっていきます。しかし、脳は察知していません。
昨日のわたしと、今日のわたし、大きな変化がなければ「同じ」と感じてしまうのが脳の役割なんですね。

訪問リハビリで感じる効果とは?

私たちの仕事である訪問リハビリでは、鈍感な脳をどのように「変化した!」とわかってもらえる機会を作れるのでしょうか?

訪問リハビリでは制度上のルールで原則、週120分が限度となっています。
1週間で考えると10,080分間のうち、たった120分間だけです。

これだけ少ないと、リハビリを受けた人も「意味あるのかな?」と疑問に思ってしまうかもしれません。
無形商材サービスにとって、私たちにとって目指す第一関門は「リハビリやって良かった」と喜んでももらうことです。

そのために私が提案したいことがあります。
「Time & Times」です。

Time & Timesを上手く使おう

  • Time :時間を測る

  • Times:回数を測る

この2つを組み合わせて、訪問リハビリを提供します。

例①)リビングからトイレまでの移動で「時間を測ってみる」
すると、1ヶ月前は2分で行けてたのが1分30秒にスピードアップしていた。
Timeの使い方
例②)ベッドからの立ち上がりで30秒の中で何回立ち上がりができるのか「回数を測ってみる」
すると、2ヶ月前は5回だったのに、今回は9回にアップしていた。
Timesの使い方

リハビリの中で「どれだけ変化があるのか?」を「数字」で具体化してみることです。これによって、体が変化していることを意識することができます。

これって意味あるの?

正直に答えると、このデータに大きな意味はありません。
早くなったから「バンザーイ!」と歓喜する必要もありませんし、遅くなったから「調子が下がっている」と悲観する必要も無いのです。

伝えたいのはリハビリに「手触り感を持てるか?」になります。
時に訪問リハビリは長期戦です。業界内で「同じ訓練ばかり繰り返している」「ダラダラ続けている」と批判されることがありますが、そこに手触り感がまったく無いことが一つの理由だと思っています。

何か練習を繰り返しでおこなっていても、長期戦では「これで上手くなっているの?」「上手くなっていないの?」にご本人は、ほぼ分かりません。皆無といって間違い無いです。

6ヶ月以上の訪問リハビリをしている方、全員を対象に「訪問リハビリを始めた時の状態を憶えていますか?」と過去のADLを確認したことがあります。

悲しいことに、ほとんどの方が覚えておられません。
6ヶ月以上の時を経ると、良くなっていても脳は察知していないのです。
回復期を超えた生活期の方はゆるやかな体の変化を捉えることがとっても難しいのです。

だからこそ、記録でTime & Timesに気をむけてみましょう。
日々の記録にその回数を記録してみてください。そこにはきっと、手触りをお渡しすることができるはずです。

日々の訪問リハビリで「今やってることが患者さんに意味があることなんだろうか?」と悩まれている方は多いと思います。

そんな時こそ Time & Times。
患者さんだけでなく、訪問リハビリに従事する療法士も手触り感を持てる、強力なツールになり得るのです。

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