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2030年発売、HeaR株式会社の歴史をたどる書籍のあとがき。

注意:こちらは、もし2030年にHeaR株式会社の歴史を振り返る書籍が発売されて、その書籍を私が書いたとしたら……? という妄想コンテンツです。


筆者あとがき

 HeaR株式会社、という名前はすでにビジネスの世界では有名になっている。かつてザッポスが「伝説」と語られるように、彼らが作り上げてきた採用や組織の新しい世界は、伝説という粋を超え、今後より多くのひとに知られるスタンダードなものになっていくだろう。

 本編でも触れたとおりだが、HeaRがまだスタートアップだった頃、「採用ブランディング」という言葉は限られた”意識の高い”企業のみが実践しているものだった。先見の明あるいくつかのベンチャーがアーリーアダプターとなって取り入れたものの、効果を出すためのフレームワークが明確に存在したわけではない。まさに採用ブランディング冬の時代。いまでは、採用ブランディングという言葉が廃れつつあるほど、人事であれば当たり前に取り組むべきものになっている。

 10年に渡るHeaR株式会社の歴史を描く中、細かな施策や努力についてその創業初期のメンバーに詳しく話を聞くことができた。インタビューの中で、HeaRの初期のメンバーである彼らは口を揃えてこういった。「しんどかったですよ、でも、死ぬ前にきっと思い出す”青春”でした」――。

 あとがきとして、この本を読んでくださった皆様にほんの少しのサプライズをしたいと思う。なぜ私がここまで詳らかにHeaR創業当初の様子を知っていたのか? そして、なぜ私がここまで深くHeaR株式会社という会社とその歴史に入れ込むことができたのか? その理由は単純である。

 私も、そこにいたからだ。

 本編で代表取締役である大上氏は、「HeaRの転換期があったとすれば、その最初は2020年だった」と語っていた。2020年の日本といえば、コロナウイルスのパンデミックにより混迷を極めていたころである。採用は止まり、ようやく売り手市場になった転職の現場はまた買い手市場に転じた。幾社もが倒産し、荒れ狂う世相とともにHeaR株式会社もまさに、再構築の時期を迎えていたその年。私は、五反田の小さなオフィスでHeaR初期のメンバーと一緒に働いていた。

 文筆家となる夢を叶えるため、私は自分でキャリアを歩み始めた。それでも未だ、私の人生の青春のとき、と言われるとあの小さなオフィスで泣き、笑い、肩をたたきあった日々が脳裏に浮かぶ。

 インタビューにも登場する創業期の各位は、かつて私の同僚だったのだ。

 創業期からのCOOの高谷さんには営業のいろはを叩き込まれ、現CMOの半田さんには何回も営業資料やマーケティングについて話あった。後にCHROとなりHeaRの組織を内側からを支え続けた安部さんは私の同期生だ。彼には、私の人格の強みも弱みもとことん教わった。そして何を隠そう、セールスとしてHeaRを数年に渡り引っ張り続けてきた高橋さんは、私がHeaRにスカウトした。――そして社長である大上さんには、何度も、何度も私の弱い部分を支えられた。会社組織というものに絶望していた私の前に現れ、笑顔でこういった大上さんの顔を忘れたことはない。「僕はビジネスの課題は、全て愛で解決できると思っています」。

 本書の発売日である1月14日は、私がHeaR株式会社に入社した日である。(この日に絶対に出版したいと私がわがままを言ったせいで、編集担当I氏にはどれほどの迷惑をかけたかしれない。この場を借りて謝罪する)。

 あの日から10年が経った。”元リク”に並んで、”元HeaR”はもはやブランドと化している。HeaRに在籍したメンバーたちが、すでに世界各地で夢を叶えている。あるものは教育業界に変革をもたらし、あるものは画家として世界で個展を開き、そして”あるもの”はこうして筆を執っている。

 会社に関わったすべての人を青春させようと取り組み、事業においても内部組織においても愛情を貫き通したHeaRのメンバーたちは、今や世界中で青春を植え、育てるエバンジェリストとなっていった。

 そして、今のHeaR株式会社を作っている数百名のメンバーたちもまた、こころから青春し、仕事の苦悩に真正面から挑み、手にした喜びをみなで喜んでいる。インタビューのため、五反田の一等地に構えられたHeaRのビルを訪ねたとき、私は涙で前が見えなかった。わたしが文筆家として死にものぐるいでやってこれたことは、間違いなくHeaRで過ごした時間に培われた覚悟や胆力が根底にある。

 一介の文筆家である私と、スタートアップを上り詰め、輝かしい実績のある彼らには今となっては大きな開きがある。しかし、HeaR上場のニュースを聞いたあの夏、私は原稿を進める手を止めて、歓喜に泣き叫んだ。HeaRは私の青春であり、夢であり、誇りだったのだ。

 最後になったが、HeaRの歴史を追う記念すべき本書の筆者として、そしてHeaR、激動の初期を見てきたものとして、本書が誰かにとっての希望や青春の芽となることを願ってやまない。

2030年、私のHeaR参画から10年を祝して。  田島彩名


▼というわけで、あなたも2030年に発売予定のHeaRの書籍に登場しませんか?


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