見出し画像

まち全体を子ども~地域の居場所に

あけましておめでとうございます。
昨年中は本当にお世話になり、ありがとうございます。

新年早々に、能登半島の地震のニュースが飛び込み、びっくりしました。被害にあわれた皆様、心よりお見舞い申し上げます。とともに、テレビで何度も報道されていた、「地域の方同士声を掛け合って」という言葉。災害時だけではなく、日ごろからの地域のつながりの大切さを痛感し、私たちの活動こそこれからも大切にしていきたいと感じております。


昨年1年は、まちのカフェからNPO法人となって走り抜けた1年でした。4月からはまち全体に子ども達の居場所をつくるsoilネットワーク事業が始動し、自分たちの拠点の居場所に加え、ネットワークの事務局としての責任もあり、いろんな初めてのことだらけで戸惑う一年でした。

地域の居場所が求められる時代、なぜ今居場所が必要なのか、年頭にあたり私たちの活動から考えてみたいと思います。



soil ~子どもの居場所事業@ハートフル・ポート

soilの事業を始めたきっかけは、コロナの影響もあって子ども達を取り巻く環境が昔とは大きく異なり、いろんな生きづらさを感じる子どもたちが増えてきたこと。学校だけでは対応できない子どもたちも増え、地域に居場所をつくってほしいという声があったこと。昔は当たり前にあった子ども達が地域で育つ環境を整えていかないと、日本の将来が不安に思えるようになったこと。

ハートフル・ポートのフリースペースには、最初はスタッフの子ども達とその友達がちらほら来ていたくらいでしたが、徐々に子ども達の口コミで広がり、ここを自分の居場所と思って毎回来る子たちも増えてきました。

と同時に、同じネットワークを組んでいる他の居場所の子たちも遠くから来てくれるようになり、昼過ぎから夕方までいる子ども達もでてきました。小学生から中学生まで、近所の子たちからちょっと遠くの子たちまで。それぞれが思い思いの時間の過ごし方で、楽しんでいる姿も見られるようになりました。

何よりもうれしいのは、子ども達が「ここに来るとめっちゃホッとするんだよね」と言ってくれること。「家に帰ってきた気がする」と言ってくれる子もいました。ここが自分の居場所だと思ってくれると、少しずつ子ども達の変化がみられ、心を開いていろんな想いも語ってくれるようになりました。

 学校に行けない理由、
 家に帰りたくない理由、
 友達とうまくなじめないこと、
 学校がつまんないと思うこと、など。

そんないろんな子たちが
一緒に同じ時間を同じ空間で過ごす――
お腹がすいたら一緒に何かを作って食べる――
ゲームも一人でしないで、みんなで楽しむーー
宿題やってから遊ぶ――

いろんなことを何となくみんなで一緒にやる。
わからないことは、中学生のお兄ちゃんたちに聞く。
おじさんたちと一緒に歌ったり、アメリカ人に英語を教えてもらったり。

そんなことをやる中で、子ども達は挨拶をし、自然と人と触れ合うことを学び、少しずつ自分と他者との関係を理解し、自身のことも見つめられるようになってきているように思います。

自分が自分でいていい居場所。ホッとできる空間があると、子ども達はその場を求めて集まって来るような気がします。学校でもない、家でもない、第3の居場所――そんな場が本当に必要だと感じます。

soil@ハートフル・ポートでは、自由に過ごせる「フリースペース」、いろんなことにチャレンジをする「きょうのチャレンジ」、これからの時代に欠かせないICTについて学ぶ「ICTラボ」、学校に行っていない子たちもみんなで一緒にご飯をつくる「作って食べよう」など、子ども達にとっていろんな経験ができる場をつくっています。

これからの子どもたちは、これまでにはない新しい価値観と出会いながら、自分らしい道を一歩ずつ切り拓いていかなければなりません。未来を担う子ども達が、自分の興味関心に気づき、自分の才能に目覚め、自分だけの芽を出し、花を咲かせる場となればうれしく思います。

人生100年時代の居場所として

また、ハートフル・ポートでは、地域の方向けのいろんなイベントも開催していますが、実は高齢になってから、自分がやりたいことをやれる場が近所になかなかないような気がしています。

ちょっとした非日常を味わうことができる場。ワクワクドキドキ、心がときめく時間は、人生に潤いと刺激を与えくれ、脳が活性化され若返るとともに、自分ができることで誰かの役に立つことがある機会があると、シニアの皆さんはますます生き生きとしてきます。

高齢者が行くところ=デイサービスばかりではなく、その人がその人らしく生き生きとなれる場、それが歩いていけるところにあるということが健康長寿をめざすにはとても大事なことです。

ここがカフェという場だからこそ、いろんな人たちが集まって来ます。
赤ちゃん連れの方も安心して来ることができ、多世代の交流が自然と生まれています。子育て世代の人も高齢者も孤立することなく、ここに来ればみんな家族のような関係になれます。80歳代の方と中学生とが一緒にイベントに参加して、同じことに夢中になったり、赤ちゃんや子どもも自然と会話が生まれたりする光景は日常よく見られることで、とても微笑ましく感じます。人生100年を楽しむ時代、高齢者にとっても若い人達にとっても、年齢に関係なくそれぞれ自分にとっての大切な居場所は必要なのです。


無農薬野菜の月一マーケット「旬菜マーケット」の役割

地場の無農薬野菜を毎月販売しています。私たちの体は食べるもので作られます。だから何を食べるかはとても大事なこと。無農薬野菜を作り続けている農家さんの想いを伺い、野菜のいろんな知識を直接農家さんから聞き、そのつながりを大切に、若いスタッフ達が安心して食べられる野菜を自分たちで選んで販売してくれています。

私達の想いは、農家さんを応援するとともに、消費者としての意識を変えていくこと。安心して食べられる無農薬野菜を地域で買える場をこれからも大切にしていきます。(しかも、旬菜マーケットの無農薬野菜としてはとてもお安いのです!)

また、旬菜マーケットはいろんな生きづらさを感じる子ども達もお手伝いをしてくれます。納品された野菜の値付けや陳列などとても助かっています。と同時に、スタッフ、農家さん、お客さんとの交流は彼らにとっての大きな社会勉強となっています。

月に一度だからこそ、いろんな人達が楽しみに集まり、交流の場にもなっているようです。

旬菜マーケット同時開催のレンタルカフェも、場づくりをしたい人達にとってもチャレンジの場、料理の腕を試す場にもなっています。お客様にとってもいろんな料理が食べられると、とても好評ですし、チャレンジする人をみんなで応援する関係も生まれています。(1月15日は、third placeさんによる、はじめての精進料理です)


出会いの場・チャレンジする場・癒しの場

ハートフル・ポートは、cafeにご飯を食べに来る人、いろんなイベントに参加するのを楽しみにしてくる人、子ども達が自分らしく、いろんなことにチャレンジしたり、いろんな人達それぞれが目的をもって集まってきます。時に偶発的な出会いがあり、多世代の人同士でつながる場にもなっています。

いろんな出会いがあり、そこから新しい何かが始まる。
どうせ自分にはできない、ではなく、失敗を恐れずにいろんなことにチャレンジし、小さな成功を自信につなげる。それは子どもにとっても、大人にとっても。
そのためにも、まずはここが自分が安心して居られる居場所であるということが大前提です。


soil~まち全体を子どもの居場所に~地域を豊かに

そんな居場所をまち全体に広げていく活動を進めています。
植物にとって、よい芽を出すには土づくりが必要であるように、子ども達が育つ土壌を作っていくことは、子ども達がその可能性の芽を出し、その花を開くのにとても大事なことです。

そのためにも、まち全体に子ども達が安心して立ち寄れる居場所をつくり、ネットワークをつくり、まち全体を子どもの居場所に…と考えています。まち全体が子どもの居場所になると、まちの中に自然と声を掛け合う関係が生まれ、地域が豊かになっていくことにつながると信じています。

いろんな理由で引きこもっている人、悩みを抱えている人、誰かに話を聞いてもらいたい人、孤立している人――そんな人たちも安心して行ける居場所がまちのあちこちにたくさんでき、心の拠り所が増え、人と人とのつながりから温かな地域社会を作っていけるよう、微力ながら頑張っていきたいと思います。


今年6月には、cafeハートフル・ポートがオープンして10年目を迎えます。これまで地域の皆様に支えていただいたことへの感謝の気持ちを忘れず、これからも子どもから高齢者の皆さまにとって安心して居られる居場所づくりに邁進してまいります。

NPO法人となって、活動の幅が広がり、皆さまからのご支援で支えていただいていること、心から感謝申し上げます。今後とも変わらぬご支援ご協力のほど、どうぞよろしくお願いします。
 ※賛助会員・寄付も随時募集しています。


皆様にとって、今年も素敵な一年となりますように。そして、ハートフル・ポートでお会いできることを楽しみにしております。

 NPO法人ハートフル・ポート代表 五味真紀
 NPO法人ハートフル・ポート (npo-hfport.blogspot.com)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?