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鉄塔のガイコツ

ネオンのゼリー、という歌詞が夜景を見ていると思い浮かぶ。GOING UNDER GROUNDの名曲、トワイライト。
高校生くらいの頃、ミラージュという曲のMVを祖父母宅で見てから、彼らが好きになった。ちょうど夏休みの昼下がりだったように思う。今でも夏に聞くと、心がぎゅっとなる感覚に襲われる。

昨日、市川にあるアイリンク展望室にこどもたちと散歩した。ひと駅だけ電車に乗って、45階までエレベーターで上がる。エレベーターはガラス張りなので、どんどん上がる高度と、視界の広がりにちょっと足がすくんだ。こどもたちは興味深そうに外を眺めていた。

展望室より階段で、さらにテラスに上がれたので階段を登った。スカイツリー、江戸川、富士山とそれ以外の山々、いつも車で通る大きな交差点、道路を行き交う車、いつもは見えない建物の屋上。天気はそこそこだったので、奥まですべてが見える感じではなかったが、こんなに遠くまで見えるものかと驚いた。久々の高い建物からの展望を目の当たりにして、いつも見ているものでも見え方が変わるだけで、こんなにいつもと違うもののように感じるのだなとぼんやり思った。

こどもたち(といっても次女はまだそこまで遠くは見えないから、主に長女が)も何が見えるかを楽しそうに教えてくれた。無料で楽しめるもののなかでは、とてもいい刺激になったようだ。

帰りはドーナツと、お昼ご飯に車の形をした容器のお弁当を買う。長女が嬉しそうにドーナツの箱をもって歩くのを見ると、子どものちいさな喜びをじんわり感じて、こちらも嬉しくなる。ただドーナツを買っただけなのに、こんなに喜べる純粋さが羨ましくもあり、そういう感性を守ってやらなきゃな、みたいな気持ちになったりもした。

今度は冬晴れの、空気がどこまでも澄んでいるような日に行こうねと約束をした。そのときの彼女の目に映るものはなんだろう。わたしは何を見るだろう。日々の惰性に物事を捉える視点が濁らないように、ときどきはこういう日も必要だなと思った。

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