忘れていく人の目は、猫の目に似ている

わたしが魔女、と思っている大叔母(戸籍上は母)がいる。数年前、糖尿が悪化してインシュリンになったが自己管理できず毎朝インシュリン投与しに行ったり、救急搬送されることが増えたり、まだらボケが悪化して半年で使途不明金が数百万あったりで自宅介護は無理だなと思って、半分騙す形で施設入所した。

彼女の中ではわたしが悪者になっていて、むしろそれで施設入所するならそれでいいやと思っていたが、当時今後のキーパーソンにしようとしていた実母がポンコツでなんとも言えない結果のまま、面会もできず気づけば数年経っていた。

先日実母から私や妹が会いに来ないと拗ねてる、という話を聞いて会うなら今しかないかと、まだ自宅にいたころから可愛がってくれていた長女を連れて面会に行ってきた。短期記憶がだいぶ保持されなくなっており、同じことを何度も聞く魔女。自分の妹がなくなったことを忘れたのか、最近会ってるのかと聞いてくる。それから私の名前は1度も呼ばず、私という存在を覚えているのかも怪しかった。

それについても色々思うことはあるが、なにより契約能力がなくなってしまうと相続関連で弊害が出てくる。もともと年齢的に悠長にしてられない、という焦りはあったが、より強固な焦りが押し寄せてきた。

なんというのだろう、あの認知症や精神疾患のある人の独特の目つき。先日、大叔母の目も、そんな目だった。猫のような、すべてを見通しているようで、なんにもわかっていないような目。

色々と物事をすすめていくために、これから定期的に面会せねばならないのだけれど、あの目が苦手だなあ。そもそも大叔母自体も苦手。でもそんな事も言っていられない、私以外にできる人がいない。嫌だからやらない、は理由にならないし。

あの猫の目、慣れる日はくるのだろうか。


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