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ポケモンSVの、本当にただの感想

 さっき上げた記事の改稿版、というかあらすじを削って感想を抽出した記事にできればと思います。さすがに読みづら過ぎたので……。
 この記事は純粋な感想記事であり、考察とか穿った読み方みたいなものは一切書かれていないことをご承知おきください。また、SVの本編のほか、「ポケモン不思議のダンジョン 空の探検隊」と「ゼノブレイド2」あたりのネタバレを多少含みます。
 本記事では適宜ネタバレを交えつつ、ポケモンSVの雑感をまとめます。あんまり具体的に話さないようにするので、未プレイの方でも読めるように、なるといいな。あとは話題ごとに見出しを立てること、あらすじの説明に終始しないことを念頭に置いてやっていくぜ。ひあうぃご。

1.「スターダスト★ストリート」「スター団」について

 なんだかイマ風のお話でしたね。特にシンプルな勧善懲悪ではないことが印象的だったでしょうか。今作に登場する「スター団」は「いじめや疎外の被害者が不良の仮面を被って結束し、加害者に抗するとともに、自分たちの居場所を作るための集団」でした。ストーリー開始前になんだかんだ騒動があって、その不良性が一人歩きしてしまったり、不良としての引っ込みがつかなくなったりして、彼らは学校に行けなくなり、各地のアジトにたむろすることになったという流れ。主人公は彼らとの接触を通して学園の実情を知っていくのでした。
 スター団は、崇高な理想を持ったボスを戴いているわけでも、反社会組織として暗躍しているわけでもありません。その点が従来の「〇〇団」とは一線を画していて、いつもの対巨悪よりもごく身近で小規模なお話が展開されることになります。敢えてこのお話に「悪」を設定するならば、特定の個人や組織ではなく「集団」とか「学校組織」になるでしょうか。ちょっと「青ブタ」とか「氷菓」っぽさもありますが、そのあたり今回のポケモンはイマ風というか、特にこの「スターダスト★ストリート」については、学園ものとしてしっかり機能していたのではないかと思います。

守られた、彼らの居場所
下っ端はチンピラムーブをするが、情には厚い

2.「友達」について

 一番語りたいのがここですわな……。本作は、全ルートを通して何かしらの形で「友達」にフォーカスしていて、いろんな角度から「友達」の像が描かれました。上述のスター団の話では、団員同士、ボス同士がすでに友達の形でしょうし、ついでに主人公にもボタンという友達ができます(けっこう込み入ってて説明が面倒なので、詳細を知りたければこれを読むとか自分でプレイするとかで頼みます)。

 従来通りジムリーダーを倒してチャンピオンを目指す「チャンピオンロード」のルートは、強すぎるがあまりライバルを持ったことのなかった少女・ネモが、後ろを走っていたはずの主人公にいつしか追い越され、初めての敗北を経験することで、同時に初めてのライバル(親友とルビを振ってもいいでしょう)を得るというお話。いうまでもなく一対一の友情関係です。ネモは資産家の次女であり、順当に行けば跡継ぎを任される立場ではないので、けっこう自由にいろいろできる立場です。そのうえ才覚にも恵まれていて、ポケモンバトルも強すぎて相手がいないときたら、持てるものなりの退屈みたいなものは確かに感じていたでしょう(うわーイマっぽ!)。対等に競い合える友達ができたのはめちゃくちゃうれしかったでしょうね。

 アルセウスのシステムを踏襲し、各地のヌシポケモンを倒していく「レジェンドルート」では、片親が研究中に音信不通になったり、愛犬が大怪我から快復しなかったりと散々な青年・ペパーが主役を張ります。彼は愛犬を快復させるべく、主人公を連れ出して、不調がなんでも治るといわれる伝説のスパイスを探す旅に出ます(お前はトリコ?)。愛犬は戦えるまでに快復し、晴れてペパーと主人公は親友になりましたとさ……ってめちゃくちゃいい話なんだけど端的に言えすぎちゃいますね。自分でプレイしてね。ここで描かれたのは何も主人公とペパーの友情だけではなくて、ペパーと愛犬の友情も同様であると思っています(「友達」に括りたいからってちょっと無理してるけども)。

 人とポケモンの友情、という視点でいくと、その最たるものが主人公と伝説のポケモン(ミライドン、コライドン)との関係でしょう。種族を超えてこそいるものの、これはまじでボーイミーツガールでした。出会いはミライドンが主人公を守ったり、主人公はミライドンにサンドイッチを分けてあげたり。しかし、ミライドンは体力を失っているだけでなく、戦うことになんらかのトラウマを持っていて、まともに戦闘ができないことが判明します。来るべき時までは……。任天堂ボーイミーツガールの鉄板・「ゼノブレイド2」と同じですね!!!!……。というわけでまあ、ミライドンは最終的に、主人公たちを守るためにトラウマを乗り越えるのでした。

 そんなこんなで3ルートを束ねる最終章「ザ・ホームウェイ」では、主人公、ボタン、ネモ、ペパーの4人が、音信不通となっていたペパーの親を追って、地方の真ん中に空いた「パルデアの大穴」という禁足の地に踏み込んでいきます。
 大穴探索を通して彼らは互いを知り、友情を深めていきます。主人公がペパーを信じて「ここは俺に任せて先に行け」の言葉に従うくだりとか、いいよね……。あと特にペパーとボタンはたまんなかったですね。ペパーの家庭環境に踏み込みすぎちゃったことをちゃんと謝るボタンとか(ごめんなさいが言えるのも優しさの大きなひとかけらだと思うの)。吊り橋効果じゃないですけど、4人は穴の中で難関を潜っていくことを通して、確かに友情をはぐくんでいきました。ラスボス後の帰り道はもう青春そのものでしたね。肩を落とすペパーに対して、ネモたちは手を引いて、ミライドンは背中を押します。「押してあげるよ 引っ張ってあげる 見上げる太陽 なんだか眩しくて♪」。この引く、押すってのもなんだか象徴的でいいですよね。ペパーは親の研究の影響でミライドンのことをよく思っていなかったのですが、なんだかんだペパーとミライドンとの間にもちゃんと、友情というか愛情というか……確かなものが芽生えていたのでした。
 章タイトル「ザ・ホームウェイ」の意味を素直に受け取るなら、一つにはこの帰り道を指しているのでしょう(追記:孤独だったペパーやボタン、ある意味で同じくネモにとって「帰り道」があるということは「帰る場所」ができたということでもあって、いいよねというおはなし)。
 ここまで狂ったようにトモダチトモダチ言ってきましたが、エンドロール後のメッセージを読んで「ああやっぱ読み違えてはなかった……」とぷち安心したのでした。

君たちは宝物だぜ

3.親と子、大人と子供、本作のラスボスについて

 これも大きなテーマだったと思っています。スター団にまつわる「スターダスト★ストリート」のルートでは、校長やポケモンリーグが、生徒の自由を守るために大なり小なり活躍します。校長に関しては、学校関係者であることを隠して直接不良(スター団)に接触して話を聞き出すであるとか、ひとりで問題を背負おうとしたボタンやそれを止めんとした主人公をやさしい嘘で守ってあげようとするであるとか、子供の未来を本気で想っているんだろうな、という動きをします。
 あとはなんといってもペパーと親との関係です。ペパーの親はタイムマシンの研究者で、その研究のさなかの事故で命を落としています。物語中、ペパーの親(以下「博士」)が何度か主人公一行をパルデアの大穴へと(通話経由で)誘うシーンがあるのですが、このとき接触を図ってきていたのは、博士の情報をコピーしたAIでした。彼らの共同研究の成果であったタイムマシンは完成しており、無尽蔵に未来からポケモンを召喚し続けていて、これが大穴の内部にとどまっているうちはよかったのですが、次第に博士の張ったバリアをも突破して、パルデア地方へと出て行ってしまう個体が現れてしまいました。博士と博士AIはこの危険性について微妙に意見が食い違っており、博士はまあそんなもんやろという日和見派、博士AIは危惧派でした。博士AIは大穴のなんかすごいエネルギーで稼働しているため外に出られないだけでなく、自らがタイムマシンの安全装置として機能しているため、自力でタイムマシンを止めることもできないとのこと。そこでオリジナルの博士の息子であるペパーとか、その友人である主人公たちの助力を求めたわけですね。
 さて、タイムマシンを止めるということは、安全装置としての博士AIを止めることにもなります。何者かがタイムマシンにアプローチをかけた瞬間、博士AIは障害を排除するための戦闘AIに成り代わります。まあ主人公は普通に勝利するのですが、安全装置には予備があって、博士AIは暴走して第二形態へ移行します。このときなんかすごいエネルギーで主人公たちのモンスターボールは封印されてしまい、AI、ひいてはタイムマシンを止める手段が尽きてしまいます。……ここが上述の「来るべき時」というわけですが、この辺にしときましょう。
 暴走状態が解除されて正気を取り戻した博士AIは、「安全装置である自らをタイムマシンで未来に送ることで、タイムマシンの機能を停止させる」という決断をします。このときペパーに遺す言葉が、単純な「愛してる」ではなく「博士のコピーなりに愛情は理解している。この気持ちは本物だと思う」といった、ちょっと遠回しというか距離のあるものなのが、コピーAIの言葉らしくて、切なくもどかしい感じがするわけです。思えばAIが主人公一行を呼ぶときに使っていた人称は「子供たち」であって「君たち」などではなく、自分の子を含んだ一行を呼ぶにしては距離のあるものでした。愛情を理解しているのに、距離を置いてしかそれを伝えられないというのは、AIにとってももどかしいことだったんじゃないでしょうか。ペパーの言葉を借りるなら「ずるい」ですね。
 AI博士は未来へ転送されるにあたって「憧れの未来への旅立ちだ」みたいなことを言い残します。言い残すというか、自分に言い聞かせるというか……ですが(科学者の性として何割かは本音だったとは思いますが)。子どもたちに近未来のことを託し、同時に彼らの身を守るわけです。未来ある若者よ……、みたいなね。校長がボタンやスター団を守ったくだりといい、本作は「大人が子どもを守り、その行く末を選ぶ自由を守る」といった大人視点のお話でもあったのでしょうね。学園モノだなぁ……と平塚静や千石千尋を思い出すなどもしました。
 そんなこんなで本作のラスボスは暴走AIでした。が、黒幕というか「悪」が何者だったのかというと、それは博士でもAIでもありません。彼らは程度こそ違えど、研究がパルデア地方に及ぼす影響について考慮していて、そこに世界を滅ぼしてやろうとか、権力を握ってやろうといった悪意はありませんでした。いうなれば今回のラスボスは、悪意の産物ではなく好奇心の副産物でした。このパートにおける「悪」がなんだったのかと考えると、「科学」とか「好奇心」になるんだろうと思います。スター団の項でお話しした「シンプルな勧善懲悪ではない」ということにもつながりますね。

4.ポケモンシリーズの集大成、みたいな

 はい、先述した「博士AIが自らを未来に送ることで云々」ですが、じつは同じポケモンシリーズでも同じような場面を描いた作品があります。それが「ポケモン不思議のダンジョン 空の探検隊」です。
 「空の探検隊」では、未来からやってきた巨悪・ヨノワールを元の世界へと送り返すべく、同じく未来からやってきたジュプトルが道連れになります。ヨノワールとジュプトル、そして主人公の間にはけっこう複雑な因縁があるのですが、あまりに興を削ぐので、ここで全てを語ることはしません。プレイするなり、プレイ動画を見るなりしてね。

 あと、SVから見て前作にあたる「ポケモンレジェンズ アルセウス」は、シリーズを俯瞰すればかなりの意欲作だったと思いますが、これは同時にSVにオープンワールドまわりのシステムを導入するための試験紙でもあって、アルセウスを通じてファンの出方とかウケとかを測る目的もあったんじゃないかと思います。それだけですが、SVって今までの「○○世代」にあたる正統シリーズだけでなくて、本当に2022年の今できるポケモンゲームの集大成なんだなあ、という感じがいたしました。

5.保健室のミモザ先生

 結婚してくれ~(本性)!!!!
 本作では、授業やメインストーリーを進行させることで学園の教師陣と絆を深めることができる、ペルソナシリーズみたいなシステムが導入されています。
 中でも保健室のミモザ先生だけはちょっと特殊で、一切学園の授業を受けなくても親密になることができます。保健室には教室に生きづらい生徒のよりどころという側面もあることを考えると、「保健室の先生」のコミュとしてめちゃくちゃ真摯にあたたかく作られているのではないかと思います。
 コミュ自体もやっぱりあったかい。なにより先生がかわいい。いまここまでで一番鼻息を荒げています。

「はい」と即答した

 お話もあったかいものです。保健の授業を受け持つための「養護教諭」の資格に受からず、保健室勤めの「学校保健師」として働くミモザ先生は、毎日保健室で退屈していました。そんなところに現れた主人公から旅の土産話を聞くことで、養護教諭に対するモチベが再燃していきます。
 マイナーチェンジとか追加コンテンツで静かに「保健」の授業が選択できるようになっていたら、最高だなあ……。

6.とりあえず終わり

 はい、というわけで「ポケモンSVはいいゲームだったぞ!」というお話でした。見出しを小分けにしてあるので、これからプレイしていく過程でどんどん追記できるようになってます。ですがまあ、とりあえず今のところはここまでです。ほいじゃまた。



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