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【詩】侵食


頬を伝うその感触

生温かい柔らかさ

立てた爪のその先から

幾重にも零れ落ちる赤

貴方の中に

わたしという細胞の

ほんの一欠片を埋め込んだ

ゆっくりじっくりねっとりと

わたしが脳内を侵食する

貴方がわたしを創造する

わたしという人格が

貴方に創られるその快感

奥の奥が疼きだして

震えるほどにぞくぞくさせる

貴方の中で増殖するわたし

貴方の脳内を占領していくわたし

あぁ 悶えるほどのこの快感

貴方を犯していくほどに

絶頂の波間を往来する

きっと死ぬまで気付かない

わたしが貴方を犯したこと

貴方を喰べてしまったこと

あぁ 悶えるほどのこの快感

狂わせるようなその感触

わたしと共に堕ちていけ

細胞のひとつひとつが壊れてく

溶けてどろどろに混じり合う

あぁ 悶えるほどのこの快感

狂わせるようなその感触

わたしと共に堕ちていけ

せかいに貴方とわたしだけ

この上ない快感に

堕ちる悦びに絶頂を迎えながら

貴方と共に死んでいこう

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