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愛する薄グレーのジャンパー #買ってよかったもの

つい先日購入した、薄いグレーのナイロン地と、フリース地の面との、リバーシブルジャンパー、あるいはブルゾン。

首までファスナーがくる、極めてシンプルな形状で、見ようによっては競馬や競艇場のおじさんが着ている、そこらで、どこでも売ってそうなものであるが、それが、実際はそうでもない。

確かにそれっぽいものは数多あるが、そのほとんどに"今風"が取り入れられている。
それにも良し悪しはあるが、ここ数年続く"オーバーサイズ"は個人的には苦手だ。

実は昨年も同じような形状のジャンパーを買ったのだが、それも多少オーバーサイズ気味の作りであった。
でも、どうせ中に着込むし、このくらいは許容範囲だと、気持ちに折り合いを付けて、ワンシーズン活用した。

しかし、やはりこのオーバーサイズというのがしっくり来ず、また似合わないとも感じ、新たに探し求め、ようやく巡り合った次第である。

それこそ、その"おじさん"が着ているものを買うという手もある。
若い頃は、スーパーの衣料品売り場などで、"あえて"そういったものを見繕って、独自性を出そうとしたこともある。
しかし、それは若いからこそ通用する、少し前に流行ったダッドスニーカーのような"逆に"、であり、もうとっくにおじさんの年齢になっている私がそれをやったら、おじさんがおじさんの服を着ている以外の何でもない。
だが、それは普通なことで、それでも良いはずだが、良しとしない自分がいる。

この普通を追い求める様は、もはや普通ではないと言えるのかもしれない。

その値札を目にした妻からは「これの半額以下で買ったんだよね?」と問われた。
セール品で、さらにポイントバックもあるが、そこまでではない。
しかし確かに、我ながらに"安見え"するとは感じている。
はたから見れば、なんせ普通のおじさんジャンパーだから。
このこだわりは自身にしかわからないだろう。
普通を手に入れるのは大変だ。
人生のみならず服においても、である。

ただ比較的、風通しの良い素材のため、真冬は厳しそう。
でも、確実に買って良かった、間違いなく今一番お気に入りの上着であると、"戒め"として、ここに記しておく。

というのも毎年、同じようなことをしている気がするのだ。

その昨年のオーバーサイズ気味のやつも、買った当初は、数年はこれで行こうとの気概があり、当時の"今一番のお気に入り"であったのだが、その気持ちはシーズン途中でとっくに失せた。

また、10年程前には、一生着続けるぐらいの、本当に気に入ったものを買おうと決心し、定めていた上限をはみ出した価格のものを購入した。
もちろん、そうはならなかった。
惰性で無理矢理3シーズンほどは持たせたように思う。

だから薄々わかっている。
このジャンパーも、きっとそうだろうと。

そして、今年買ってよかったものを挙げるとなると、このように、やはり日の浅いものとなるような気がする。

流行語大賞も、下半期の、まだ強くインパクトの残るものが選定される傾向にあるように思う。
年初めの言葉を振り返っても「ああ、そんなのあったな」程度で、それは女性の心変わりのように、あのときの感情は、もう戻っては来ない。

だから、記しておく。
そこに、確かに愛があったことを、自戒の念を込めて。

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